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5.初めての襲撃者
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初日の命令を出し終わったあと。
僕は横倒しになると、フリーダと一緒に眠っていた。
いくらダンジョンマスターやエリアマスターになったとはいえ、こんな薄暗い夜の中で1人で寝るというのは孤独だし、危険なものである。
どれくらい眠っていただろう。僕の耳は、微かな物音を感じ取った。
「起きてフリーダ……何か来たよ」
「え……?」
フリーダもエルフの耳を地面に当てると、徐々に険しい表情になっていく。
「本当ですね。この足音は……ゴブリン?」
「うん。それも……けっこう多いな。数は……8匹くらいか」
そう言いながら様子を見ていたら、ゴブリンたちは真っ直ぐ僕のいるボスエリアへと向かってきた。
僕自身のウマの臭いにつられたのか、それともダンジョンをくまなく捜索する能力が無いのかはわからない。
「イタ……ウマト、エルフ……」
片言の言葉を喋ったのは、リーダー格と思しきホブゴブリンだった。
取り巻きの一般ゴブリンと比べると、ホブゴブリンの背丈は高く180センチ近くある。
「コイツラ、タオセ、ダンジョン、オレタチ、モノ!」
「ギョエッヘィ!」
そう言いながらゴブリンたちは一斉にナイフを構え、ホブゴブリンの号令と共に向かってきた。
さすがに数が多いと思ったとき、フリーダは手をかざして水魔法をゴブリンたちに向けて放った。
彼女の放った水塊は、一発で5匹のゴブリンを薙ぎ払い、魔法攻撃を受けたゴブリンは樹木に叩きつけられたり、他のゴブリンに突っ込んだりして戦闘不能になっていく。
無事だったゴブリン2匹は、それでも僕に向かってきたが、1人を前脚で蹴飛ばすと、後ろにいたゴブリンも巻き込んで樹木に叩きつけて一蹴した。
「うおおおおおお!」
手下が壊滅しても、ホブゴブリンは臆するどころか果敢に向かってきた。
恐らく、自分は一般のザコゴブリンとは違うと思っていたのだろう。
「アクアスプラッシュ!」
しかし、フリーダの水魔法を顔面に叩きつけられると、ホブゴブリンは目の前が見えなくなったらしく、更に僕が前脚蹴りを股下に命中させると、ホブゴブリンは叫び声を上げながら、頭から木に突っ込んでいった。
「…………」
「…………」
2人で、ひっくり返っているホブゴブリンを眺めていると、その肉体は夜の闇に消えるように消滅していき、遂には跡形もなく消え去っていく。
フリーダはこちらを見て言った。
「どうやら、他のゴブリンたちも、残らず消滅したようですね」
「ああ、君の活躍が無ければ、さすがに厳しかったよ……ありがとう」
そうお礼を言うと、フリーダは嬉しそうに微笑んでくれた。
「おや……あるじさま。これを見てください」
そう言いながら彼女は歩いていくと、ホブゴブリンが倒れていた辺りで何かを拾って戻ってきた。
手のひらには、小銀貨が2枚と銅貨が6枚ほどあり、それとは別に刃先は少し錆びているが、ナイフのようなモノもあった。
「これは……戦利品か!」
「はい。一般ゴブリンたちもわずかながら所持金を持っていたようです。少し集めてきます」
どうやら一般ゴブリンも、銅貨1枚~3枚ほどの所持金を持っていたようだ。
それらを全て拾い集めると、小銀貨2枚に銅貨23枚となり、ちょうど酒場などで飲み代になるくらいの金額が集まったことになる。
「戦利品用に、新しい宝箱でも出そうかな……」
そう言いながら鏡に視線を向けてみると、僕のスペシャルポイントもわずかながらポイントが増えていることに気が付いた。
【SP317/350】
―――――――――――――――――――
100P 魔将軍の求人票作成
100P 分身召喚(最大2頭まで)
50P エリアマスター除名チケット
10P 宝箱設置
50P 鍵付き宝箱設置
30P 大銀貨5枚生成
50P 小金貨1枚生成
―――――――――――――――――――
先ほどまでは、確かに310ポイントだったはずだ。
ゴブリン1匹辺りを倒すとプラス1。ホブゴブリンを倒せばプラス5ということだろうか。
そう思いながらフリーダを見ると、彼女のポイントも50から56ポイントに回復している。
「どうやら、一般ゴブリンを倒すと、1ポイントだけ回復するようですね」
「そうみたいだね。何かの役に立つかもしれないし……覚えておこう」
僕はそう答えると、アイテム欄から新たに宝箱を1つ出してボスの間の隅に設置すると、そこに手に入れた小銀貨と銅貨をまとめて保管することにした。
【SP317→307】
【この世界のお金の価値】
大金貨(日本円に直して100万円くらい)
家やウマを買うときなどの支払いに使われる金貨。
都市部の労働者や寒村の農家は、1年を通して1~2枚の年収となる。
小金貨(日本円に直して10万円くらい)
武器や家具などを買うときの支払いに使われる金貨。
月収を貰っている兵士や労働者などは、多く目にすることになるコイン。
大銀貨(日本円に直して1万円くらい)
家賃や税金の支払いに使われる銀貨。
1日働いて1枚もらえるのなら、この世界では高給取りな方。
小銀貨(日本円に直して1千円くらい)
飲み代や日用品の支払いに使われる銀貨。
使い勝手が良いため、主婦が持っていることが多い。
銅貨(日本円に直して100円くらい)
果実やお菓子などの支払いに使われる銅貨。
子供への駄賃や、教会などへの賽銭代わりに使うことも……。
僕は横倒しになると、フリーダと一緒に眠っていた。
いくらダンジョンマスターやエリアマスターになったとはいえ、こんな薄暗い夜の中で1人で寝るというのは孤独だし、危険なものである。
どれくらい眠っていただろう。僕の耳は、微かな物音を感じ取った。
「起きてフリーダ……何か来たよ」
「え……?」
フリーダもエルフの耳を地面に当てると、徐々に険しい表情になっていく。
「本当ですね。この足音は……ゴブリン?」
「うん。それも……けっこう多いな。数は……8匹くらいか」
そう言いながら様子を見ていたら、ゴブリンたちは真っ直ぐ僕のいるボスエリアへと向かってきた。
僕自身のウマの臭いにつられたのか、それともダンジョンをくまなく捜索する能力が無いのかはわからない。
「イタ……ウマト、エルフ……」
片言の言葉を喋ったのは、リーダー格と思しきホブゴブリンだった。
取り巻きの一般ゴブリンと比べると、ホブゴブリンの背丈は高く180センチ近くある。
「コイツラ、タオセ、ダンジョン、オレタチ、モノ!」
「ギョエッヘィ!」
そう言いながらゴブリンたちは一斉にナイフを構え、ホブゴブリンの号令と共に向かってきた。
さすがに数が多いと思ったとき、フリーダは手をかざして水魔法をゴブリンたちに向けて放った。
彼女の放った水塊は、一発で5匹のゴブリンを薙ぎ払い、魔法攻撃を受けたゴブリンは樹木に叩きつけられたり、他のゴブリンに突っ込んだりして戦闘不能になっていく。
無事だったゴブリン2匹は、それでも僕に向かってきたが、1人を前脚で蹴飛ばすと、後ろにいたゴブリンも巻き込んで樹木に叩きつけて一蹴した。
「うおおおおおお!」
手下が壊滅しても、ホブゴブリンは臆するどころか果敢に向かってきた。
恐らく、自分は一般のザコゴブリンとは違うと思っていたのだろう。
「アクアスプラッシュ!」
しかし、フリーダの水魔法を顔面に叩きつけられると、ホブゴブリンは目の前が見えなくなったらしく、更に僕が前脚蹴りを股下に命中させると、ホブゴブリンは叫び声を上げながら、頭から木に突っ込んでいった。
「…………」
「…………」
2人で、ひっくり返っているホブゴブリンを眺めていると、その肉体は夜の闇に消えるように消滅していき、遂には跡形もなく消え去っていく。
フリーダはこちらを見て言った。
「どうやら、他のゴブリンたちも、残らず消滅したようですね」
「ああ、君の活躍が無ければ、さすがに厳しかったよ……ありがとう」
そうお礼を言うと、フリーダは嬉しそうに微笑んでくれた。
「おや……あるじさま。これを見てください」
そう言いながら彼女は歩いていくと、ホブゴブリンが倒れていた辺りで何かを拾って戻ってきた。
手のひらには、小銀貨が2枚と銅貨が6枚ほどあり、それとは別に刃先は少し錆びているが、ナイフのようなモノもあった。
「これは……戦利品か!」
「はい。一般ゴブリンたちもわずかながら所持金を持っていたようです。少し集めてきます」
どうやら一般ゴブリンも、銅貨1枚~3枚ほどの所持金を持っていたようだ。
それらを全て拾い集めると、小銀貨2枚に銅貨23枚となり、ちょうど酒場などで飲み代になるくらいの金額が集まったことになる。
「戦利品用に、新しい宝箱でも出そうかな……」
そう言いながら鏡に視線を向けてみると、僕のスペシャルポイントもわずかながらポイントが増えていることに気が付いた。
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―――――――――――――――――――
先ほどまでは、確かに310ポイントだったはずだ。
ゴブリン1匹辺りを倒すとプラス1。ホブゴブリンを倒せばプラス5ということだろうか。
そう思いながらフリーダを見ると、彼女のポイントも50から56ポイントに回復している。
「どうやら、一般ゴブリンを倒すと、1ポイントだけ回復するようですね」
「そうみたいだね。何かの役に立つかもしれないし……覚えておこう」
僕はそう答えると、アイテム欄から新たに宝箱を1つ出してボスの間の隅に設置すると、そこに手に入れた小銀貨と銅貨をまとめて保管することにした。
【SP317→307】
【この世界のお金の価値】
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家やウマを買うときなどの支払いに使われる金貨。
都市部の労働者や寒村の農家は、1年を通して1~2枚の年収となる。
小金貨(日本円に直して10万円くらい)
武器や家具などを買うときの支払いに使われる金貨。
月収を貰っている兵士や労働者などは、多く目にすることになるコイン。
大銀貨(日本円に直して1万円くらい)
家賃や税金の支払いに使われる銀貨。
1日働いて1枚もらえるのなら、この世界では高給取りな方。
小銀貨(日本円に直して1千円くらい)
飲み代や日用品の支払いに使われる銀貨。
使い勝手が良いため、主婦が持っていることが多い。
銅貨(日本円に直して100円くらい)
果実やお菓子などの支払いに使われる銅貨。
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