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24.ディディのイカサマ
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どうやらアーリマンは、小生が密かに行ったイカサマを暴露するようだ。
ノワールが前かがみになって視線を向けると、アーリマンは小生の声で得意げに語った。
――実はね、小生は能力発動した時に、黒ダイスに仕掛けをしたんだよ
「しかけ?」
――そう。転がす瞬間に目を瞑ると、黒いダイスは5か6しか出ない。だけどこれにはリスクがある
「リスクとは?」
――うん。黒いダイスは灰色のダイスと連動してしまうんだ。だから、使えば灰色のダイスも5か6しか出なくなる
「…………」
秘密を打ち明けられたノワールは、苦笑する様子で笑みを浮かべると「悪魔を相手にイカサマするなんて」と、言いながら小生を眺めてきた。
「おもしろい……お馬さんねぇ」
小生は思わず息を呑んだ。どうやらノワールも本気になったようだ。
「じゃあ、あたしも少しばかり……本気を出そうかしら?」
そう言いながら両目を瞑ると、ノワールは白と黒のダイスを両方とも転がした。
出てきた目は……両方が6という数字だ。
ノワールは、そのまま12歩進んでいき、かつてのスタート地点を通り越し、2つオーバーして26マス目に立っていた。
「では、お楽しみの……暴露時間ね」
『その必要はないよ。小生はイカサマをしていたから、そのペナルティということで……』
そう伝えると、ノワールは「そう……」意外そうに頷きながら聞いてきた。
「張り切りすぎてしまったかしら。次は2歩下がってもいいのよね?」
『構わないよ』
小生もまた、白いダイスを蹴ると目は3。続いて黒いダイスを蹴ると、こちらは6を出した。
小生もまた、25マス目に来るとノワールは嬉しそうに笑っていた。
「1つ違いなんて、貴方も日頃の行いが悪いんじゃないの?」
『それはお互い様だよ。次は君の番だね』
ノワールはニヤッと笑うと、白ダイスを振った。
小生の足元に転がってぶつかると、出た目は2。ノワールはニコニコとしながら2マス戻ってスタート地点に立った。
「これで、私が先にクリアね。せっかくだからもう一周しようかしら?」
その直後に、小生が2つ進んでスゴロクのマス外へと出た。脚先にぶつかって2マスを引いたのだし、ルール上は問題ない。
小生が自ら退場すると、ノワールはバカにしたように笑っていた。
「あらあら、負けを認めて自ら退場? それとも、親御さんでも呼んで来るのかしら~?」
ノワールは子供のような声を出した。
「おと~ちゃんにおか~ちゃ~ん、変なBBAにイジメられたからやっつけてよぉ~~~キャハハハハ!!」
小生はといえば、ノワールのテリトリーから出ると、そのまま角を光らせて外側からカギをかけた。
どうせ魔族のことだから非常口を仕掛けているに決まっているけれど、カギさえかけてしまえば、出入り口の数を減らすことは出来る。
小生は人形化させた仲間たちを元に戻すと、アレックスたち4人は、驚いた様子で周囲を見回していた。
「あれ……僕たちは……?」
『小生がクリアしたから、予定通り特殊空間から脱出することができたよ』
「そ、そうなのか……」
彼らは立ち上がると周囲を見回していたが、人間の感覚では魔族のゲートを発見することは困難だろう。見つけたとしても、小生の力が無ければ空けることも出来ないだろうし。
こうして、小生たちは普通の生活へと戻ってきたのだが、実はノワールは特殊空間に取ったままだった。
なにかまた、良からぬことを企んでいるのかと最初は感じていたが、それにしても留まっている期間が長すぎる。
それなりの地位にいる人物なのだから、当然ながらこなさなければいけない仕事も多いはずだ。
『…………』
『…………』
まさか、あれほど大掛かりな特殊空間を作っておきながら、バックドアを作るのを忘れていたのか……?
特殊な空間を作れるのなら、まず最初に非常口を作るってユニコーンなら魔法学のさいしょに習うことだぞ!?
……いや、まさか、魔族がそんなミスをするはずがないか。何か良からぬことを企めないように、もう少しゲートを厳重に閉じておくことにしよう。
ノワールが前かがみになって視線を向けると、アーリマンは小生の声で得意げに語った。
――実はね、小生は能力発動した時に、黒ダイスに仕掛けをしたんだよ
「しかけ?」
――そう。転がす瞬間に目を瞑ると、黒いダイスは5か6しか出ない。だけどこれにはリスクがある
「リスクとは?」
――うん。黒いダイスは灰色のダイスと連動してしまうんだ。だから、使えば灰色のダイスも5か6しか出なくなる
「…………」
秘密を打ち明けられたノワールは、苦笑する様子で笑みを浮かべると「悪魔を相手にイカサマするなんて」と、言いながら小生を眺めてきた。
「おもしろい……お馬さんねぇ」
小生は思わず息を呑んだ。どうやらノワールも本気になったようだ。
「じゃあ、あたしも少しばかり……本気を出そうかしら?」
そう言いながら両目を瞑ると、ノワールは白と黒のダイスを両方とも転がした。
出てきた目は……両方が6という数字だ。
ノワールは、そのまま12歩進んでいき、かつてのスタート地点を通り越し、2つオーバーして26マス目に立っていた。
「では、お楽しみの……暴露時間ね」
『その必要はないよ。小生はイカサマをしていたから、そのペナルティということで……』
そう伝えると、ノワールは「そう……」意外そうに頷きながら聞いてきた。
「張り切りすぎてしまったかしら。次は2歩下がってもいいのよね?」
『構わないよ』
小生もまた、白いダイスを蹴ると目は3。続いて黒いダイスを蹴ると、こちらは6を出した。
小生もまた、25マス目に来るとノワールは嬉しそうに笑っていた。
「1つ違いなんて、貴方も日頃の行いが悪いんじゃないの?」
『それはお互い様だよ。次は君の番だね』
ノワールはニヤッと笑うと、白ダイスを振った。
小生の足元に転がってぶつかると、出た目は2。ノワールはニコニコとしながら2マス戻ってスタート地点に立った。
「これで、私が先にクリアね。せっかくだからもう一周しようかしら?」
その直後に、小生が2つ進んでスゴロクのマス外へと出た。脚先にぶつかって2マスを引いたのだし、ルール上は問題ない。
小生が自ら退場すると、ノワールはバカにしたように笑っていた。
「あらあら、負けを認めて自ら退場? それとも、親御さんでも呼んで来るのかしら~?」
ノワールは子供のような声を出した。
「おと~ちゃんにおか~ちゃ~ん、変なBBAにイジメられたからやっつけてよぉ~~~キャハハハハ!!」
小生はといえば、ノワールのテリトリーから出ると、そのまま角を光らせて外側からカギをかけた。
どうせ魔族のことだから非常口を仕掛けているに決まっているけれど、カギさえかけてしまえば、出入り口の数を減らすことは出来る。
小生は人形化させた仲間たちを元に戻すと、アレックスたち4人は、驚いた様子で周囲を見回していた。
「あれ……僕たちは……?」
『小生がクリアしたから、予定通り特殊空間から脱出することができたよ』
「そ、そうなのか……」
彼らは立ち上がると周囲を見回していたが、人間の感覚では魔族のゲートを発見することは困難だろう。見つけたとしても、小生の力が無ければ空けることも出来ないだろうし。
こうして、小生たちは普通の生活へと戻ってきたのだが、実はノワールは特殊空間に取ったままだった。
なにかまた、良からぬことを企んでいるのかと最初は感じていたが、それにしても留まっている期間が長すぎる。
それなりの地位にいる人物なのだから、当然ながらこなさなければいけない仕事も多いはずだ。
『…………』
『…………』
まさか、あれほど大掛かりな特殊空間を作っておきながら、バックドアを作るのを忘れていたのか……?
特殊な空間を作れるのなら、まず最初に非常口を作るってユニコーンなら魔法学のさいしょに習うことだぞ!?
……いや、まさか、魔族がそんなミスをするはずがないか。何か良からぬことを企めないように、もう少しゲートを厳重に閉じておくことにしよう。
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