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7.ジルーの必勝法を暴け!
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ジルーが目の前に立つと、ケヴィンやアレックスは身を引いた。
彼女を恐れる気持ちはよくわかる。まともにやり合えば強いであろう奇術師の子供を相手に、彼女は5連勝もしたのだ。そんな人物が敵に回られれば万に一つの勝機もないだろう。
小生はすぐに、ギルドの受付嬢ソフィアを見た。
「ねえ、ソフィアさん」
「なんでしょう?」
「どうしてジルーは5連勝も出来たんだろう? 彼女は特異なアビリティを持っていたのかい?」
ソフィアは困り顔になって答えた。
「書類上の彼女の専用特殊能力はスプリント。素早く動く能力だけのはずです」
「…………」
素早く動く能力か。
それなら確かに、じゃんけんの手を出す刹那のあいだに、相手よりも強い手を出すことも可能だろう。だけどジルーは奇術師の子供が左手が手元を見えないようにしても、正確に相手の形状を把握していた。
考えを巡らせていると、ケヴィンは苛立った様子で言った。
「ああもう、こうなったら次は俺が……」
「よせ! ジルーが百戦錬磨なのは、さっきの奇術師とのやり取りでわかっただろう!」
「じゃあどうするんだよ!」
アレックスは、険しい顔をしながら言った。
「逆に考えるんだ。どうして……最後の1回だけ彼女は負けた?」
「そりゃ、あのクソガキが大声で叫んで驚かせたからだろ!」
彼らのやり取りを聞いて、小生はハッとした。
彼女がもし素早く動く能力で、相手の手の形より強い手を作っていたとしたら、叫び声をあげられたくらいでは影響はないのでは? むしろ慌てさせたら、反射的に同じ形にして引き分けになると考えた方が自然なはず。
「…………」
つまり、あの場で負けたのは偶然というより、ジルーのイカサマが露呈したと考えた方がいい。
奇術師の子供は、その方法を見破るのに4回くらいかかり、5回目で確信して、最後の1回でトドメを刺した。そして、操られたジルーはイカサマをこちらに仕掛けてくる。
こういう状況になった際の最善の一手は、ジルーを見捨てて先に進むことだろう。だけど、それではアレックスやケヴィンは反発するだろうし、小生としても危険を顧みずに5回も勝ち数を揃えてくれた少女を見殺しにするのはナシだ。ユニコーンのやることじゃない。
考えを巡らせていたら、奇術師の子供は手を叩いて大きな砂時計を出した。
「ああ、ちなみにボーナスステージには制限時間が必要だね。5分間以内に挑戦者が現れなければ受付を終了しよう」
「……なに!?」
ケヴィンはすぐに前に出ようとしたが、アレックスは彼を止めた。
「まて、ケヴィン!」
「いや、待てるかよ!」
これは、奇術師の子供からのダメ押しの一手だろうか。いや、どちらかというと奇術師も奇術師で、焦りを感じているように思える。
ここは一か八か……小生が行くべきだろう。
「わかった。小生が行く!」
一同が驚いて小生を見るなか、奇術師の子供は薄ら笑いを浮かべながら言う。
「僕とジルー、どちらを相手に戦うのかな?」
「ジルーさ」
その一言にアレックスは反論してきた。
「お、おい、君は……ジルーが百戦錬磨なのを……」
「わかっているよ。彼女がどんな手を使っているのかということもね」
「…………」
ジルーはゆっくりと小生の前へと歩み出した。
実は先ほどまでのセリフは、仲間を落ち着かせるためのブラフ。つまりウソだ。本当はジルーがどんな方法で5連勝したのかはわからない。だが、ジルーの今までの表情から、偶然5連勝したわけではないのは容易に察しが付く。
よし、こうなったら、アレを使うか。
ジルーはじゃんけんの体勢になった。
「最初はグー」
「じゃんけん」
その直後に、あえて小生はお腹に力を入れた。すると……ブーというガスが尻から出る音が響き、近くにいた奇術師の子供は鼻を抑える。
思い出して欲しい。小生は彼らと仲間になった直後に、ツーノッパドクダミ草をたっぷりと食べているのである。これは加工法によっては毒消し薬になるものだが、とにかく臭いことで有名だ。
ただでさえ臭う草が、小生のお腹の中で発酵して熟成し、それが鼻の利くウェアウルフのジルーの鼻を突く。今までは虚ろだった彼女の目には意識が戻っただけでなく、涙目になっている。
「アビリティ・オン」
さらに、小生はジルーの瞳に向かって専用特殊能力【コンパス】を使用した。
彼女の目は光を放つと、小生のコンパスが映し出される。グーなら小生から見て右目に、チョキなら小生から見て左目に、パーなら両目にコンパスが映る。
奇術師の子供は、ジルーの後ろ側にいるので見えていない。
「じゃんけん」
「ポイ!」
ジルーの手はチョキ。小生はグーを出した。
じゃんけんに勝つと、ジルーは気が遠くなった様子で倒れ込んできて、小生は彼女を抱き寄せたまま、奇術師の子供を睨む。
「さあ、次は君だよ!」
「くっ……6勝は6勝だ! 後半のステージで待っているよ!」
そう言うと、奇術師の子供は指を弾いて姿を消した。
「さすがだよ! ディディ!!」
仲間たちは駆け寄ってくると、ソフィアとレティシアは、すぐにジルーを介抱していたが、全員が意識を小生に向けてきている。
ケヴィンは不思議そうに言った。
「でも一体、ジルーはどんな方法で5回も勝ったんだ?」
「いや、勝ってないよ。彼女は……幻術を使ってイカサマをしていた」
「幻術!?」
「うん、軽戦士の中には、補助的に幻術を用いて命中率や回避率を上げる人がいるんだ」
つまりジルーは、相手の一手を見てから後だしジャンケンをしていた。
ただ、そのやり方は……
1.テキトーな手を出す。
2.相手の手の形状を見る。
3.自分の手を幻術で、相手よりも強い形状にする。
4.相手が騙されている間に、本当にその手にする。
5.幻術を解除。
もちろんこれは、素早く行わないと奇術師の子供にバレる。
彼女は1から5を、遅くても1秒以内に済ませていたのだろう。
小生たちはお互いを見合った。
「よし、じゃあ……次のステージに行こう!」
「ああ! 次もやってやろうぜ!!」
間もなく、アレックス隊は、ドアを通り抜けて次の部屋に入った。
【オオカミ耳のジルー】
アレックスチームの軽戦士・細工担当。
ウェアウルフの少女で、やや鋭い目つきをしているが、意外にもムードメーカーも担当しているオモシロ女の子。そのギャップが良いのか、冒険者ギルドフェイルノートの中では人気がある。
一人称はあたし。兄弟は兄が2人、弟が1人、姉が1人、妹が2人いる(7人兄弟の第4子)。
因みにスィグ作品には、よくジルーというウェアウルフ女子が登場するが、基本的に彼女たちは全員が別人である。古の英雄にジルーという英雄がいるため、それにあやかって両親が命名するようだ。
彼女を恐れる気持ちはよくわかる。まともにやり合えば強いであろう奇術師の子供を相手に、彼女は5連勝もしたのだ。そんな人物が敵に回られれば万に一つの勝機もないだろう。
小生はすぐに、ギルドの受付嬢ソフィアを見た。
「ねえ、ソフィアさん」
「なんでしょう?」
「どうしてジルーは5連勝も出来たんだろう? 彼女は特異なアビリティを持っていたのかい?」
ソフィアは困り顔になって答えた。
「書類上の彼女の専用特殊能力はスプリント。素早く動く能力だけのはずです」
「…………」
素早く動く能力か。
それなら確かに、じゃんけんの手を出す刹那のあいだに、相手よりも強い手を出すことも可能だろう。だけどジルーは奇術師の子供が左手が手元を見えないようにしても、正確に相手の形状を把握していた。
考えを巡らせていると、ケヴィンは苛立った様子で言った。
「ああもう、こうなったら次は俺が……」
「よせ! ジルーが百戦錬磨なのは、さっきの奇術師とのやり取りでわかっただろう!」
「じゃあどうするんだよ!」
アレックスは、険しい顔をしながら言った。
「逆に考えるんだ。どうして……最後の1回だけ彼女は負けた?」
「そりゃ、あのクソガキが大声で叫んで驚かせたからだろ!」
彼らのやり取りを聞いて、小生はハッとした。
彼女がもし素早く動く能力で、相手の手の形より強い手を作っていたとしたら、叫び声をあげられたくらいでは影響はないのでは? むしろ慌てさせたら、反射的に同じ形にして引き分けになると考えた方が自然なはず。
「…………」
つまり、あの場で負けたのは偶然というより、ジルーのイカサマが露呈したと考えた方がいい。
奇術師の子供は、その方法を見破るのに4回くらいかかり、5回目で確信して、最後の1回でトドメを刺した。そして、操られたジルーはイカサマをこちらに仕掛けてくる。
こういう状況になった際の最善の一手は、ジルーを見捨てて先に進むことだろう。だけど、それではアレックスやケヴィンは反発するだろうし、小生としても危険を顧みずに5回も勝ち数を揃えてくれた少女を見殺しにするのはナシだ。ユニコーンのやることじゃない。
考えを巡らせていたら、奇術師の子供は手を叩いて大きな砂時計を出した。
「ああ、ちなみにボーナスステージには制限時間が必要だね。5分間以内に挑戦者が現れなければ受付を終了しよう」
「……なに!?」
ケヴィンはすぐに前に出ようとしたが、アレックスは彼を止めた。
「まて、ケヴィン!」
「いや、待てるかよ!」
これは、奇術師の子供からのダメ押しの一手だろうか。いや、どちらかというと奇術師も奇術師で、焦りを感じているように思える。
ここは一か八か……小生が行くべきだろう。
「わかった。小生が行く!」
一同が驚いて小生を見るなか、奇術師の子供は薄ら笑いを浮かべながら言う。
「僕とジルー、どちらを相手に戦うのかな?」
「ジルーさ」
その一言にアレックスは反論してきた。
「お、おい、君は……ジルーが百戦錬磨なのを……」
「わかっているよ。彼女がどんな手を使っているのかということもね」
「…………」
ジルーはゆっくりと小生の前へと歩み出した。
実は先ほどまでのセリフは、仲間を落ち着かせるためのブラフ。つまりウソだ。本当はジルーがどんな方法で5連勝したのかはわからない。だが、ジルーの今までの表情から、偶然5連勝したわけではないのは容易に察しが付く。
よし、こうなったら、アレを使うか。
ジルーはじゃんけんの体勢になった。
「最初はグー」
「じゃんけん」
その直後に、あえて小生はお腹に力を入れた。すると……ブーというガスが尻から出る音が響き、近くにいた奇術師の子供は鼻を抑える。
思い出して欲しい。小生は彼らと仲間になった直後に、ツーノッパドクダミ草をたっぷりと食べているのである。これは加工法によっては毒消し薬になるものだが、とにかく臭いことで有名だ。
ただでさえ臭う草が、小生のお腹の中で発酵して熟成し、それが鼻の利くウェアウルフのジルーの鼻を突く。今までは虚ろだった彼女の目には意識が戻っただけでなく、涙目になっている。
「アビリティ・オン」
さらに、小生はジルーの瞳に向かって専用特殊能力【コンパス】を使用した。
彼女の目は光を放つと、小生のコンパスが映し出される。グーなら小生から見て右目に、チョキなら小生から見て左目に、パーなら両目にコンパスが映る。
奇術師の子供は、ジルーの後ろ側にいるので見えていない。
「じゃんけん」
「ポイ!」
ジルーの手はチョキ。小生はグーを出した。
じゃんけんに勝つと、ジルーは気が遠くなった様子で倒れ込んできて、小生は彼女を抱き寄せたまま、奇術師の子供を睨む。
「さあ、次は君だよ!」
「くっ……6勝は6勝だ! 後半のステージで待っているよ!」
そう言うと、奇術師の子供は指を弾いて姿を消した。
「さすがだよ! ディディ!!」
仲間たちは駆け寄ってくると、ソフィアとレティシアは、すぐにジルーを介抱していたが、全員が意識を小生に向けてきている。
ケヴィンは不思議そうに言った。
「でも一体、ジルーはどんな方法で5回も勝ったんだ?」
「いや、勝ってないよ。彼女は……幻術を使ってイカサマをしていた」
「幻術!?」
「うん、軽戦士の中には、補助的に幻術を用いて命中率や回避率を上げる人がいるんだ」
つまりジルーは、相手の一手を見てから後だしジャンケンをしていた。
ただ、そのやり方は……
1.テキトーな手を出す。
2.相手の手の形状を見る。
3.自分の手を幻術で、相手よりも強い形状にする。
4.相手が騙されている間に、本当にその手にする。
5.幻術を解除。
もちろんこれは、素早く行わないと奇術師の子供にバレる。
彼女は1から5を、遅くても1秒以内に済ませていたのだろう。
小生たちはお互いを見合った。
「よし、じゃあ……次のステージに行こう!」
「ああ! 次もやってやろうぜ!!」
間もなく、アレックス隊は、ドアを通り抜けて次の部屋に入った。
【オオカミ耳のジルー】
アレックスチームの軽戦士・細工担当。
ウェアウルフの少女で、やや鋭い目つきをしているが、意外にもムードメーカーも担当しているオモシロ女の子。そのギャップが良いのか、冒険者ギルドフェイルノートの中では人気がある。
一人称はあたし。兄弟は兄が2人、弟が1人、姉が1人、妹が2人いる(7人兄弟の第4子)。
因みにスィグ作品には、よくジルーというウェアウルフ女子が登場するが、基本的に彼女たちは全員が別人である。古の英雄にジルーという英雄がいるため、それにあやかって両親が命名するようだ。
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