ほのぼの生きますか

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ギルドのお仕事

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ギルドに入ると、場違い感を感じる。

むさ苦しいおっさんが、昼間っからカウンターで酒を飲んでいるのだ。

「ようこそギルドへ。初めてのご利用ですか?」

入り口に立っていた女の子が話しかけてきた。

「はい、初めてです」

「では、教えて差し上げますね。あちらは、パーティ募集の待合所です。軽食やお酒も飲めます。身分証を作るカウンターは此方です。どうぞ」

丁寧に案内されて、カウンターに来る。

「では、この紙に必要事項を記入してください。出来るだけ詳しく正直に書いてくださいね。嘘はダメですよ」

紙には、名前欄と属性・種族・得意な武器名を記入するらしい。

「あら?属性が多いですね。魔法が使えますか?」

「はい、少しですが…戦闘に向いているかは…わかりません」

得意な武器名はナイフにした。

「仕事の依頼所は、彼方に張り出されています。依頼はランク分けがされていて、自分のランクに似合わない依頼は受けられません」

「ランクですか?」

「はい、初めはFランクから始まり、Eが討伐依頼、Dがベテラン、Cが集団討伐、Bがプロ級、Aが英雄、Sが伝説なんて言われていますよ。Fは、基本の採取依頼です。やって見ますか?」

「あの、何個か薬草を採取してきているのですが…討伐も…それでも構わないですか?」

「はい、前もって狩った素材は、あのカウンターで受け付けていますよ。依頼達成にもなるので、ドンドン持って来てくださいね」

「他に注意事項はありますか?」

「はい、基本町や村での武器使用は認められていません。ギルドの加入者は武器をお持ちなので、揉め事で使用しないように気をつけてください。また、身分証がこれから発行されますが、無くさないようにしてください。再発行はお金がかかりますので」

「ありがとうございます。それと、いろいろ紹介して欲しいのですが…」

ギルドの紹介で、宿屋と雑貨屋、武器屋・防具屋、魔道具・本屋を教えてもらう。

「あの、魔獣の解体を覚えたいのですが…どうしたらいいですか?」

「はい、有難いですね。素材の状態がよくなります。あちらの素材引き取りカウンターでもう一度お聞きください。お持ちの素材の解体を教えてくれますよ」

「ありがとうございます。言ってみます」

俺は、身分証を受け取って、素材引き取りカウンターに行く。

「毎度!どうした?」
威勢のいい、ガテン系の兄さんだ。

「素材を幾つか持って来ました。あと、解体を教えていただきたいのですが…」

「はいよ!あっちの解体場に移動しようか!」



ついて行くと、石の大きい机が置いてある広い倉庫にやってきた。

「ここに持って来た素材を置いてくれ!」

素材を置く。

結構いっぱいある。

薬草、葉っぱ、木の実、鉱石、木の素材、何かの羽、何かの骨、ゴブリン、ウルフ5体

「おお!アイテムボックス持ちか?」

「アイテムボックス持ちは、珍しいですか?」

「まあ、お金があれば、亜空間付きカバンを買えるから、それほど貴重ではないが、ギルドに加入したての初級者には、有難いだろう?」

「そうですね~。荷物が少ないのは、楽です」

色々聞きながら、素材を鑑定してもらう。

「薬草は根からが基本だ。こうして持ってこないと…効能が落ちる。この葉は、ヒノハと言って魔力回復に最適のお茶が入れられる。木の実はクコノミだな。体力回復剤が作れるぞ。おお!この石は、クリスタルの原石だな。いいものだ。魔力の媒体となる杖とかに装飾する。この木は、ヒノキだな。木材屋が喜ぶ。この羽はカクチョウの羽だ。矢の材料に最適だ。この骨はウルフのものだ。武器の材料に使われる。」

うん、俺の鑑定と誤差はない。

「では、ゴブリンの解体だ。これは、簡単だから見ていてくれ!」

ゴブリンは、素材に向かない。
使われるのは、胸にある魔石ぐらいらしいです。
ちなみに持っていた武器はヒノキでした。

「では、ウルフを実際に解体してみよう。見よう見まねでいい。隣で真似て見てくれ」

「はい、道具はナイフでいいですか?」

「ああ、いいナイフだな。包丁でもいいぞ。俺はナイフを使う」

「はい、お願いします」


皮を剥ぎ、筋に合わせて部位を切り分ける。

一言で言うと簡単だが、かなりの重労働だ。

「魔石を取り忘れるな。一緒に内臓もとってしまおう」

一通り終わった。

「血抜きがちゃんとされていたので、やり易かったよ」

褒めてもらえた。

「1匹目よりも、2匹目の手際が良かった。スキルを身につけたかもしれない。良かったな」

自分を鑑定して見る。

成る程、ちゃんとスキルを身につけていた。

「全部の素材を受け取る。この紙を、初めのカウンターに持って行ってくれ!お金がもらえるぞ。ランクも上がるな!」

「ありがとうございます。ご教授代はどうすれば?」

「解体は、元々ギルドでサービスされているものだ。無料だよ」

何度もお礼を言って、手を外の井戸で洗って、カウンターに戻る。

「これをお願いします」

「はい、素材解体ご苦労様です。少々お待ちください。身分証を預かりますね」


ほんの少し待つと、すぐに受付嬢が戻ってきた。

「ランクアップおめでとうございます。Eランクです。今回の品は鮮度が良かったので、薬草が10ギン、ヒノハ20ギン、ヒノキ10ギン、クコノミ30ギン、クリスタルの原石500ギン、カクチョウの羽10ギン、ウルフの古い骨50ギン、ウルフの新しい骨100ギン×5体、ウルフの毛皮200ギン×5体、ウルフの牙500ギン×5体、ウルフの肉100ギン×5体、合わせて5,130ギルです。お確かめください」

ふあ?!大金??

「はい、魔獣の素材は、高値で取引されています。勿論、魔獣素材の品物は、もっと高いですよ」

何も聞いていないのに…顔に出たのかな?

「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしてます」


疲れたので、教えてもらった宿を探す。

「小鳥の止まり木か。可愛い名前の宿屋だなぁ」

村の中心から奥の方に行くと、宿屋があった。

「ヘイ!らっしゃい!」

どっかの寿司屋のような掛け声だ。

可愛い名前の宿屋だと思ったら…中はマッチョなおっさんがいる。

「部屋空いていますか?」

「一人部屋一晩40ギンでさあ!食事は別料金!隣の食堂へ行ってくだせ!」

「一人部屋お願いします」

「出掛ける際は、鍵は必ずお預けくだせ!」

体を流したいと言うと、タライにお湯を沸かしくれた。
5ギル取られた。
タオルは、自前を使うらしいです。
貸してはもらえなかった。

部屋で体を拭きながら、外を見る。
まだ、明るい。
ちょっと買い物に出てみよう。

少しだけ、部屋で休んでから、外に出た。

武器屋を覗く。

「うわ~…高いなぁ。魔獣素材は…」

「そうですね~。魔力を通しやすいので、色々魔法寄与し易いのもありますね」

気さくに店のお兄さんが、受け答えしてくれた。

魔法付与されていると、力が増したり、素早くなったり、火を出せたりする。

だからどれも、10,000ギン越え…日本円で100万円以上です。

「しばらくは、普通のナイフで過ごします」

「いいナイフですね~!魔力付与できるかもしれません。見せてもらっても良いですか?」

「あ!お願いします」

武器屋お兄さんは、安物のナイフを見ながら、何かの魔法を唱えた。

「刃が痛まないように、再生の付与が出来ました。これで、研ぎに出さずに済みますよ」

「あの、お代は?」

結局、初見ということで、20ギン取られました。

「普通は、200ギンですが…」

そう言われると…払わない訳にはいかないですね。


このまま、防具屋に行く。

防具は買おうと思っている。
服装が日本人のままだからだ。

「……いらっしゃい……」

静かに遠くから声をかけてくる店員さん。

何も言って来ないので、自由に店内を見て回る。

俺は俊敏がないので、鎧はつける気はない。
服を中心に見て回る。

「髪が黒だから、少し明るい色の方がいいかなぁ?」

風属性だから、青や緑の爽やかな色合いにしようと思う。

風属性寄与コーナーがあったので、そこで服を合わせる。

靴も手袋も帽子もマントも一式揃える。

「はい…全部で54,890ギンです」

かなりの買った。
満足です。

緑の色合いが◯ナフキン…みたいだが…気にしない。

「うーん、魔法使いみたい…」

トンガリ帽子が気になるけど…この際、楽器でも買ってみる?

そのまま、魔道具屋に入る。

おお~!ギターに笛…買えと言っているのか?

「楽器は、武器にも成る程丈夫です。手にとってみますか?」

店のお姉さんに言われるがまま、手に装着する盾のような変わった形のキーボードのついた楽器を持たされる。

「ン?なんかしっくりくるなぁ。弾いて見ていいですか?」

「どうぞ」

楽器なんて、中学校以来触ってない。
元々、ピアノは少しやっていたくらいだ。
でも、なんとなく曲のイメージが出てきて、弾いてみた。

「御上手ですね。癒しの曲ですね。何かが癒されていくようです。どうでしょう?何かの縁です。買ってみませんか?」

「…そうですね。利き手ではなくて、腕周りの邪魔にもなりませんし…購入します」

こうして、衝動的に30,000ギンの買い物をしてしまう。

でも、本当にしっくりくるなぁ。この楽器。

音属性もあるし、損はないだろう。


そのまま、雑貨屋に行こうと思ったが…お腹大きな音で鳴った。

「宿屋の隣の食堂へ行くか」


美味しそうな匂いにつられて、食堂へ入る。

メニューを見ると、魔獣素材は…高い。隣に魔獣素材の効果が書かれていた。
ウルフ素材は、俊敏が増える効果がある。
スライムは、魔法防御。
オークは、体力。
大蝙蝠は、視力。
色々ある。

「俊敏が低いし、体力もないから…ウルフとオークのステーキにしようかな」

「あら、お兄さん?自分の得意分野を伸ばす食材の方をお勧めするわ~!」

オネエな美人のお兄さんに声をかけられた。

「…??何でか聞いてもいいですか?」

「そうね~!苦手な効果は、食べ物ではそうそう伸びないのよ。得意分野なら、食べ物でも効果は絶大よ!」

「じゃあ、両方食べて効果を見てみます。まだ、自分に何が必要で、何が本当に得意なのか?わかっていないので…」

俺は風属性だ。もしかしたら、俊敏が伸び易いかもしれない。

「良い判断ね~!気に入ったわ。私がおごっちゃう。何食べたい?」

男とわかっていても…美人に可愛がられると…恥ずかしい。

「おいおい!ミュート。少年をからかうなよ~可哀想だろ!少年。美人に見えるが、これ男だから、間違えるな?」

食堂が、和気あいあいとした雰囲気になる。


こうして、美人のミュートさんとミュートさんの知り合いのドガさんと食事をする事になった。


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