無視された公爵夫人

n-n

文字の大きさ
上 下
42 / 49
マドレーヌの狂気

時間を稼ぐルーファス

しおりを挟む

怒りを抑える為なのか?

ルーファスはわたくしにキスをする。

情熱的なのに…何も感じませんわ?

ドン!

拒絶するように、押す。




ガチャン。

ルーファスが檻に入って扉を閉めた。

へぇ…

無意味だと思うけれど?


「何を始めるつもり?」

「時間を稼ぐ…」

ガチャン
ガチャ

装備していた武装を外すルーファス

「で?どうやって?」

怯えてる?
愛してるって言っていたわよね?

パサッ
シュル
バサっ


服を脱ぎ捨てるルーファス。

「良い身体だろう…コレを育てたのはマドレーヌだ…違うか?」

「捨身ね?」


パーン!


わたくしがルーファスの頬を叩く音が聞こえる。


「最低…」

「何しても構わない…気が済むまで」


ドン!ドン!

ルーファスの胸元を拳で叩く。


「手が痛いじゃない…最低」


「魔法を使えばいい…マドレーヌの手が…傷んだら…みんなが心配する」


「心配?誰が?」


微笑む頬に…涙が?

なぜかしら?

悔しくてたまらない。


「済まない…」

何で優しく抱きしめるの?

「ルーファスなんて…嫌い」

わたくしが何をしたのか?

「済まない」

「何が悪いのか…わからない癖に…謝らないでよ」


「…教えてほしい。色々、教えてくれたように…」

「はっ?…最低」

「座って話をしよう」

「裸で?…バカなの」

この部屋に椅子なんてない

あるのはベッドだけなんですけど?



「恥ずかしがっているのか?」


「最低」



「ベッドに座るだけだ」



「怒りが…治らないわ」


「どうすればいいのかわからない。どうして欲しい」


「知らない」
 

ーーーーーーーーーー

ルーファス視点


拗ねているのか?

まさか…泣かれるとは思ってなかった。


実は…散々無視されて来た、辺境伯からの手紙を読んだのは…最近の話だった。

それで…シフォンがマドレーヌに対して…悪い男だと知った。

マドレーヌを今まで守っていたのは…バールだ。
バールは凄い男だが、身分が足りない。

「悔しいことに…マドレーヌ様を助けるのはあなたです」

そう、報告されたと同時に…王様に呼び出された。



他国の王の誘拐事件。


犯人はシフォン。


誘拐理由はマドレーヌの離婚の為。


「どれだけ…嫌われているんだ?」

義兄に認めてもらえない…

そんな単純な話ではなかったのに、私は深くは考えてなかった。



だから、パーティーでシフォンが仕組んだ断罪劇を演じることも苦ではないと思った。



マドレーヌの悲しそうな顔を見るまでは…。





「あー!スッキリしたわ!余裕があるように生きるあの女に何も伝えずこのお芝居見せれて…満足だわ。初めての社交デビュー…人生の汚点ヨネ?」
意地悪なセリフを言ったのは、王妃だった。

「大丈夫。マドレーヌはとことんルーファスに甘い。今回も許してもらえるさ」
王は楽しそうだった。


流石にマドレーヌの為とはいえ…取り返しのつかないことをしたのではないか?



「他人の話しはスンナリと聞くのね?ルーファス」

それは…俺のセリフだ。
そう言って怒るはずだった。
しかし、声が…台詞が…出ない。

俺はマドレーヌに何をした?

急に自覚した。

これはマドレーヌの為にしたことではなかったか?

でも、マドレーヌに秘密にする内容か?

感謝されるためにやっていた。

マドレーヌを裏切っている行為ではないか?




急に肝が冷えた。


一晩中…マドレーヌの怒りを抑える為にどうすればいいか考えた。
マドレーヌの強さは知ってる。

おそらく、止められるのは…ツキナの神秘の力だけだ。

ツキナが女帝と行方不明なのは知っている。

マドレーヌを止める役は…夫の私だけだった。




怒られる。

そう思って…

檻に入った。

許してもらうには…どうすればいいかと安易にまだ考えていた。




「最低」

そう言って泣いているマドレーヌ。


…泣かれるとは思ってなかった。




いつもとは絶対違う。

許してもらえないかもしれない。



パーティー前までは…上手くやっていたではないか?

…本当に?

…ずっと合わせてもらっていた。


「私は不誠実だった。いつも周りに流されて、結果…傷つくのはマドレーヌだった。それを自覚していなかった。…今回も、マドレーヌの為だと思うことで、マドレーヌを裏切る行為だとは、思ってなかった。…最低だなぁ」

「愛してるなんて…言えないはずでしょう?ルーファスは最低だもの…許してなんてあげない。恨むことはあっても…もう、側にいたくないわ」


この後、私は1週間、嫌がるマドレーヌとこの檻で過ごして…色々な手で謝り続けた。


「ルーファスなんて嫌い」

そう言って拗ねるマドレーヌは、とても可愛くて…
一週間はすぐに終わりを見せた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。

ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。 即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。 そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。 国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。 ⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎ ※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!

ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~

柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。 その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!  この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!? ※シリアス展開もわりとあります。

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

旦那様、離婚しましょう

榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。 手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。 ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。 なので邪魔者は消えさせてもらいますね *『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ 本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

処理中です...