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無視された公爵夫人
いきなり来た手紙
しおりを挟む『そちらに遊びに行く』
いきなり、辺境伯から便りが来た。
わたくしの資産から、貧乏な実家に少しながらも資金提供をして来た。
そのお礼だろうか?
先の他国との戦争で、狙われたのは浮世を流す公爵領だったが、同時にわたくしの実家からも出兵があり、挟み撃ちのようにして勝利を収めたのだ。
また、公爵様が行くへ不明となった時、率先して捜索を手伝ってくれていました。
だから、恩があるのは公爵家の方だ。
無論、戦争のお礼として、資金や物資は贈ってある。
戦争の褒美として王から、帰属した敵国の領地を分け与えられている。
「いきなりねー?誰が来るのかしら?成人した5番目の弟かしら?」
まさか…何人も来ないわよね?
辺境伯の男は、敵国5カ国と陸地で面しているだけでなく、敵国から追い払われた魔物を狩る仕事もしている。
そのため、男手が必要で、辺境伯の血筋の男は辺境伯の領土から出て行くことは出来ない。
領土を広げ、自分で伯位を得るしかないのだ。
辺境伯の男には、婿養子という方法はない。
しかし、旅行や修行の旅は認められている。
貧乏だから…旅費は出ないけれど…
「バール、ルーファス様に面会の予約をお願い出来る?ミーニャ騒動が終わったから、本宅も静かなのでしょう?受け入れ準備してもらわないと…」
ミーニャは、公爵…高位貴族を騙していたとされて、捕まった。平民が高位貴族を騙す行為はかなり悪質だと言われ、処刑となる。
子は漁村に戻された。
それなりの金品をミーニャの親戚に預けたのでどう育つかはわかりませんが…。
その後始末は全てルーファス様がした。
お金はわたくしから出てますけど。
「かしこまりました」
バールが静かに出て行く。
ーーーーーーーーーー
「ルーファス様、よろしいでしょうか?」
「久しいな…バール。入ればいい。何を遠慮している」
「ルーファス様のご命令で、ここを出されまして、今はマドレーヌ様のところにおります」
「…そうだったな…記憶がないとは言え…済まないことをした」
「いいえ、王家に愛想が尽きておりましたゆえ…逆らって試向けました。」
「…王家に?兄上が何かしたのか?」
ルーファスは自分のことも言われているのに気が付かない。
こんなにも腹芸が苦手な王家も珍しい。
だから、歳のがあってもあの王太子よりも王になれないのだ。
公爵になってからは王家でもないが…
「『王命』をマドレーヌ様に出されております」
「『王命』……聞いてないぞ」
「『王命』の内容に…しばらく公爵様方には秘匿にすることが書いてあります。知らなくて同然かと…」
スッと、書類を出す。
「ハハハ…マドレーヌは、まだ私の妻だったのか?」
「知らぬは本人だけです」
「そのようだ…」
長い沈黙の後。
「他に用が?」
「マドレーヌ様の御家族が遊びに来るそうです。そのためにマドレーヌ様が面会を希望されております」
「マドレーヌを『奥様』とは呼ばないのだな?」
そこには気が付いたか?
やっとだな。
「その方がダメージがあるかと…」
「ハハハ!なるほど…その通りだ」
『王命』の書類をルーファスはグシャリと握りしめる。
「あの時に手放してあげれば良かったものの」
「ん?…何か言ったか?バール」
「いいえ、日取りを…」
「わかった」
バールの代わりに執事になった男は、業務だけこなす無口な男だった。
兄、王様より派遣された男だが、空気のようにただ、そこにいるだけだった。
話を聞いて、スケジュール表を出す。
「いつ来るのだ?」
「どうやら近日中にとしかわからないらしく」
「早めに設定した方が良いな、本日の昼は?」
「かしこまりました。伝えます」
そう言って、バールはルーファスの執事室を離れた。
「口うるさい執事よりも、無言の執事の方がルーファス様にはあっていたか…」
バールはふと、マドレーヌの言葉を思い出した。
「バールは前もって行動してくれるから助かるわ!」
少し笑みが溢れる。
口元を手袋をした手で押さえながら、ルーファスへの情がないことを再確認した。
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