無視された公爵夫人

マドレーヌの実力

離婚を切り出してみた✖️２

その日は、領内でのお祭りのような演習の日だった。

魔獣狩が行われる。


「それでは、本日お越しの方を紹介しましょう！」

即席の舞台に呼ばれたのは、公爵領主様と公爵夫人。

「公爵様、一言お願いします」

声拡張機を向けられ、公爵様の一言はその場を氷つかせた。

「マドレーヌ！婚約破棄させてもらう！」

おいおい…緊張しすぎ？
婚約破棄ではないでしょう？

続けて

「マドレーヌ！公爵領を我が物顔で駆けまわって…公爵夫人らしからぬ態度！公爵領の管理者としてとても許せるものではない！よって！国外追放！未開の地に立ち去れ！」


うわぁ！先越された。
離婚請求。

公爵様から音声拡張機を貰おうとしたが渡さないので、他のマ…音声拡張機をもらう。

「公爵様？こんなところで婚約破棄（合わせて見ました）なんて非常識ではなくて？しかも、自分のことを棚に上げて…財産分与したくないって、浮気の慰謝料を払いたくないだけに聞こえますわ？」


「うるさい！」

キーン！

音声拡張機を近づけすぎたのだろう。

「そうですわね…未開の地と伯位くださらない？そしたら、わたくしの名義の事業全て差し上げますわ」

この場にいる何人もが…「公爵様大丈夫か？」とか「財産分与をしたくないのか？」とか「ガメツイのは公爵様じゃない」とか…ほぼルーファス公爵の味方はいない。


「では、勝負だ！」

魔獣狩りの勝負を公爵様は持ちかけた。


「よろしいのですか？わたくし…魔獣狩りの優勝保持者ですのよ？」

「戯れ言を言うな！女が魔獣狩りを出来るはずもあるまい！」


「知らないのか？」とか「温室育ちの公爵様に未開の地の中に入れるのか？」とか「困ったものだ。」とか…公爵家の味方はいない。

みんな、マドレーヌが勝つと言う。

流石の公爵も一般市民の意見に…マドレーヌが強いのだと思い直して来た。


「チーム戦をしよう」

自分が勝つためなら、なんでもするのか？

周りもそんなイメージで公爵様を見始めた。