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邂逅① ✧

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 道行く人々はそれぞれが大きな荷物を持っているから、実際の人数より混み合って見えるのだろう。皆が片側に寄って歩いていればこうもひしめかないだろうに。
 だが観察している限り、通りかかった店頭で足を止めたり、急に何か思い出したように方向転換をする者が後を絶たないため、あたりは無秩序に混雑している。
 向かい側から歩いてくる相手ならば避けることは容易いが、背後から追い越そうとする者や、持ち主の死角となっている荷物などにはぶつかりやすい。
 こちらの背が低いため、相手からも視認しにくいのだろう。そのたびにカミロから腕を引かれたり、さりげなく庇われたりするため、実際には一度たりとも衝突することはなかったが。

 杖をついて歩くカミロは、相変わらず不自由さを感じさせない足取りだ。
 その足を気にして歩調を合わせようとするよりも、こちらは自分のペースで歩いていた方が共に歩く分にも速度を合わせやすいらしい。なのでカミロの言う通り、周囲の通行人を気にしながらも好きに歩くことにした。

 通りに並ぶ店には、「特売」だとか「値下げ品」「処分品」などと書かれた張り紙も目立つ。
 それぞれについて訊ねるたび、手を繋いだ男は買い物客へのアピールだとか、価格を安く手に入れられる目印だと教えてくれた。
 目に入る範囲に置かれた衣料品の価格は様々だが、大人の着衣で銀貨一枚、外套ならば数枚程度のものが多いようだ。
 衣服一着は林檎十個分、もしくはキンケードの一食分、……となるらしい。林檎十個は相当な量だし、衣服は紡績から縫製まで手のかかる品だ。それを考えれば等価ということにも一応の納得はできる。
 キンケードの食事に関しては、あれだけの図体なのだからたくさん食べるのだろう。銀貨一枚分の食事、どんなものかあとでカミロにも訊ねてみよう。

 そうやって通りの店や品を観察しているうちに十字路へたどり着き、そこを右に曲がると見覚えのある道へ出た。
 これまでよりも通行人の数が落ち着き、静けさも漂うその近辺には置物や時計などを扱う店が並んでいる。かつてトマサが髭面を殴り飛ばして沈めた場所だ。

「ん、ここは知っているぞ、前にも来た。とすると雑貨店は……あそこだな」

 自信満々に指さした先には、木戸が締め切られた建物がひとつ。外観や看板はそのままだが、入口は完全に閉ざされて商店を営んでいるようには見えない。
 まだ開店時間前なのか、それとも休みの日なのか。連れ立って近づいてみても、中で準備をしているような気配はなかった。
 店がやっていないのなら仕方ないが、一体どうしてしまったのだろう。困惑に看板を見上げていると、ちょうど隣の時計店から店員らしき婦人が表へ出てきたため、カミロが声をかける。

「お仕事中に申し訳ありません。こちらのお店なのですが、本日はお休みなのでしょうか?」

「ああ、お隣さんね。年寄りがひとりでやってんだけど、こないだ体調崩してさ、ここしばらく店閉じてんのよ。あのお婆さんももう歳だしねぇ、お爺さんもとっくに亡くなって、娘さんは余所に嫁いだし、もうこのまんまかもねぇ……」

 片手をぱたぱたと振りながら話した婦人は、自身の店の時計を売り込んで来るがもうその声は耳に入らない。
 あの温和な老婆が体調を崩し、店を開けないほどとは。
 歳を経て衰えたということなら、それも人の定め。老衰で生を終えられるなら、それだけ十分に生きたと満足して締めることもできるだろう。
 だが、もし体調不良が病やその他の要因によるものなら、どうにか快復して元気を取り戻してもらいたい。
 名前も知らない一度会ったきりの老婆だが、柔らかく笑んでいた彼女が病に苦しんでいるとしたら哀れだ。短い道程とはいえ、できることなら健やかに定命を全うしてほしいと願う。

「リリアーナ様」

「ん。……うん? ああ、せっかく連れてきてくれたのにすまなかったな、店が開いていないなら仕方ない、次に行こう」

「もし気になるようでしたら、お調べいたしますよ?」

「三年前に一度買い物をしただけの客だ、そこまで立ち入るつもりはないさ。別に、この店に何か目当ての品があったわけでもないしな……」

 雑貨を物色したいというのは興味本位から。ベーフェッドについても、知っていれば訊いてみたいという程度のもの。
 亡くなった伴侶が集めた品ということを考えれば、あの老婆は入手経路について知らない可能性のほうが高いだろう。
 ……ただ、あの人の好さそうな店主と久しぶりに会えるなら、少し会話をしたいと思っただけなのだ。
 こちらのことを覚えていなくてもいい、置かれた品や店について雑談を交わしてみたかった。まだ屋敷の外に顔見知りはほとんどいないから。

 落胆と不安を塗りつぶすように繕った顔を上げると、道の先に細い塔が見えた。
 あれは街の中央にある聖堂の一部だったか。一番高い建物だから、少しひらけた場所ならこの街のどこにいても目にすることができそうだ。
 薄水色の澄んだ空に、白塗りの塔はよく映える。高さの割に窓が少ないように見えるけれど、中はどうなっているのだろう。
 三年前に立ち寄った聖堂の中を思い出してみるが、あの荘厳な造りと細い塔はあまり結びつかない。
 高い天井に長い窓、繊細な彫刻に彩られた柱の数々。そして大精霊を模った、本人にはあまり似ていない大きな石像。

 聖堂は魔法の扱いについて、何やらおかしなことを吹聴している得体の知れない組織だ。
 聖句については上手いこと利用させてもらっているから、そう悪し様に言うこともできないが、カステルヘルミに妙なことを吹き込んで才能を無駄に終わらせようとしたことは許しがたい。
 誤った魔法の知識と、伏せられた構成の扱い。
 大精霊への異常な崇拝。
 それらを広めて一体何がしたいのか、考えてみたところで自分には想像もつかない。
 とりあえず、祈られている側は嬉しくも何ともないらしいということだけは知っているけれど。

 雑貨店と時計屋の間、路地とも言えないような隙間の壁に寄り掛かる。少しだけ歩き疲れているのかもしれない。
 聳える塔を見上げ、ひっそりと息を吐く。
 あまり関わり合いにはなりたくない場所だが、正直に言えばひどく知識欲が刺激される。聖句の成り立ち、口伝により変形してしまう前の原型と意味を知りたい。

 薄い青色の中に生えた塔から視線を下ろす。――その時、視界が何か白いものを捉えたような気がした。
 瞬きを繰り返して目をこらす。
 ……いや、違う、網膜に映るものではない。

<リリアーナ様ご注意を、何か来ます!>

「何かって、」

 アルトからの警告に思わずそんな声が漏れる。
 寄り掛かっていた壁から背を離し、周囲をうかがう。気配や物音ではない、その変化は視覚のみに現れた。
 普段目にしていた精霊たちの瞬きとも異なる燐光、ちかちかと明滅するそれは直視をするだけで眼球の奥が痛む。
 しかも、急速に膨れ上がってさらに輝きを増していくようだ。
 あまりの光量に目を眇めて片手をかざす。
 指の隙間からも光が漏れ、刺すような白光にとても耐えられない。
 精霊眼を凝らしその正体を見極める前に、眩しさに耐えきれず目蓋を閉じた。

(何だ、これは……!)

 かざした手の甲で目を押さえる。
 痛い、眩しい。今まで視たことがない……と思うのに、どこか覚えもあるような不可思議な感覚。
 一体どこで目にした?
 ヒトには視えていないはずの光だが、異変を察したのだろう、駆け寄った気配の主が眼前に立つ。
 明らかな異常事態、得体の知れない危険へその身を晒させるわけにはいかない。後ろへ下がるよう、もう目も開けられない状態のまま、伸ばした手で上着の袖を掴んだ。



「……リリアーナ様?」

<……リリアーナ様>

 同時にかけられたカミロとアルトの呼び声に、固く閉じていた目を開けた。
 瞬きをして確かめても、もう眩しくも何ともない。
 黒い袖を掴んだまま顔を上げると、どこか困惑を滲ませた顔がこちらを見下ろしているが、なぜか視線は合わない。
 ひとまず自分を庇おうとした男に何もダメージがないようで、ほっと安堵の息をつく。
 それが職務であり、そうすることが分かり切っている行動だとしても、やはり危険の矢面に立つようなことはさせたくない。あの潰れた馬車の中のようなことは二度と御免だ。
 何が起きたのか、確認のためカミロへ問いかけようと口を開いて――そこで、自分のすぐ横に誰かが立っていることにようやく気づく。
 男の袖口を掴んだまま、顔だけを左側へ向けた。
 同じようにこちらへ顔を向けた相手と、正面から目線がかち合う。

  そこに鏡があるのかと思った。

 ぱちりと瞬きをして、よくよく眺め、それが自分の顔ではないと確認する。
 白い肌に白い髪。全ての色素をどこかへ置き忘れてきたような、新雪よりも無垢な面差し。陽光にあてたら溶けてしまいそうだ。
 作り物めいたかんばぜはいっそ透き通るほどで、纏っている真っ白いローブのほうが余程色合いに雑味がある。
 幼さを残す丸い輪郭は自分とも良く似ているが、目元のあたりは少し険があるだろうか。背丈も同じくらいだし、おそらく年齢もそう変わらない。
 線の細いつくりは少女のようにも見えるけれど、たぶん少年だ。レオカディオも少し前まではこんな感じだった。





 こうして良く見れば顔の造作はそう似ているわけでもないのに、なぜ鏡だと思ったのか。
 ――『眼』が、同じなのだ。
 色も虹彩も、そこに刻まれた紋様も何もかも。
 相手の顔がすぐ間近にあるため、模様の細かな部分まで良く見て取れる。
 同じ目、同じ色、同じ精霊眼。
 正面にある顔も同様に、こちらの虹彩を観察していたのだろう。不思議そうに瞬きをし、口を開いた。

「え、誰?」

「いや……、それはこちらの台詞なのだが。お前こそ誰だ?」

 誰何すいかするならまず自分から名乗れ、と言外に含ませて問えば、白い少年は不機嫌を表明するように眉を顰めた。
 一見する限り武器や危険物は何も携帯していないようだし、こうしてそばにいるのに危害を加えてくる素振りもない。ということは襲撃者の類ではないらしい。
 登場には驚かされたものの、少年はそれ以外特に何をするでもなく突っ立っている。
 とはいえ突然現れた不審人物だ、警護を請け負う側から見たら要警戒対象というやつになるのか?
 そう思い先ほどから全く動きのないカミロを見上げてみると、口元を引きつらせた珍しい表情をしている。余程驚いたのだろう。
 視線を少年へ戻すと、不機嫌顔のままで問いかけてきた。

「ここは、どこだ?」

「突然現れておかしなことを訊くものだな。ここはコンティエラの街の、ええと……赤煉瓦通りを進んで……色々な商店が並んでいる場所だぞ」

「コンティエラ、……イバニェス領?」

 ぽかんと口を開けた少年は、不可解さを赤い目に映し周囲を見回す。
 そして通りの向こうに聳える聖堂の塔を見上げて、動きを止めた。「なんで、」と呟きにもならない小さな声が漏れ聞こえる。
 様子がおかしいため声をかけようとしたところで、その後ろ姿に猛烈な既視感が沸き起こった。

「お前、ちょっとそのまま後ろを向いていろ」

「?」

 ヒトらしからぬ白い肌。
 光に透ける色味のない後頭部。
 金の縁取りがされた着丈の長いローブ。

 そして、聖堂の塔――

「あっ!」

 五歳記の祈祷で垣間見せられた幻視、その儚げな後ろ姿とぴったり重なる。
 思い出した。あの時の、蔦が這うような窓から空を見上げていた白い少年だ。

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