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探索者アルトのターン⑤

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 肺の空気を全て絞るようなため息をついたカミロは、トン、と杖をひとつ突いて床を鳴らした。

「私などを無為に警戒なさるくらいなら、早く正式なお相手を見繕うべきでしょう。手が空いた時にでも見合い話の返信を片づけてください、釣書が溜まる一方ですよ」

「リリアーナにもレオカディオにも、見合いだの婚約だのはまだ早い!」

「またそんなことを言って、子どもの駄々でもあるまいに。アダルベルト様の件を長引かせるのだってもう年内が限度ですからね、中央へ向かうまでには覚悟を決めて下さい」

 苦情をもの申すように音をたてて歯噛みするファラムンドは、それ以上の反論を飲み込んだようだ。
 ふたりの兄の婚約話だけでなく、リリアーナに対して見合いの申し込みらしき打診が複数来ているなんてことは初耳だった。看過できない話題にアルトは角を立てて聴覚をそばだてる。
 イバニェス家のために余所へ嫁ぐことは了承済みであるようなことをリリアーナは口にするが、アルトには未だ納得できないでいた。本当に娘の意志を確認することなく、その生涯の伴侶を父親が独断で決めるものなのだろうか。
 ヒトの文化圏ではそういう慣例があり、当のリリアーナが納得しているのなら所有物たるアルトが口を出すべきではない。
 ――理性の部分でそう思いはするのに、制御しきれない領域がその妥当性へ恭順を示さない。そんなのはおかしい、納得できないと、まるで先ほどのファラムンドのように不条理な反論を叫ぶ。

 分裂した思考を持て余し、思い悩む。それは誰が意図したわけでもない致命的な隙であった。

 聴覚だけでなく熱源からふたりの位置を把握していたはずが、思考のブレに気を取られすぎた余りそれが疎かになっていた。
 急接近する物体が常に張っている探査の網にかかり、が何なのかを理解する前に、ぬいぐるみを操作して駆け出す。
 書架の間の細い隙間を反対方向へ、一目散に。

 ……もし、俯瞰の視点で周囲を捉えることができる杖の状態であったなら。
 もしくはアルトバンデゥスの杖が思考を有する相手との戦闘に慣れていたなら、一方にしか空いていない逃走経路を追い立てられるように移動するなんていう悪手は取らなかっただろう。
 突如迫ったものが杖の先端だと気づけなかったアルトは、思考の手綱を取り戻す前に書架の隙間から飛び出してしまった。

 ――――カッ  カッ

 床の敷物を貫通し、硬質な音をたてて眼前に突き立つもの。
 それは鼈甲を削りだした太軸と、螺鈿細工が施された六角、ファラムンドの机に置かれていたペンだった。
 飛来の最中に察知できたため直撃は免れたが、それを避けたまま部屋の中央へ出るわけにはいかず、とっさに跳び退がる。
 そこへ、空気を裂いて杖が振られた。

<――……っ!?>

 空中ではどう動くこともできず、真芯でその打撃を受ける。
 振り抜かれた杖に打たれたアルトは、慣性のまま部屋の端まで飛んでいく。柱にぶつかったがぬいぐるみに包まれているため大した音はせず、その反動を利用して素早く近くの本棚に登り身を隠した。
 そこで改めて室内の位置関係と、何が起きたのかを反芻する。カミロの杖に追い立てられるようにして物陰から姿を見せてしまい、そこをファラムンドに攻撃され、さらに杖で打たれた。

<執務室に入り込んだ時点で把握されていたということでしょうか、……さすがはリリアーナ様の父君!>


 痛覚がないためダメージも動揺も少ないアルトに反して、杖で強打したカミロの方は少なからず驚愕していた。
 てっきりネズミの類だと思っていたのに、杖で打った手応えが何か布で包んだ石のように硬かったのだ。
 しかも避けられるはずのない軌道だった二本のペンを避けきり、杖で強打しても血の一滴もこぼさないどころか、さらに壁へぶつかっても生きていた。

「ネズミではない……?」

「おい、今の仕留めたんじゃないのか?」

「申し訳ありません、見失ったようです」

「ハァ?」

 杖で打った時点の手応えが意外すぎたため、それに気取られて飛んでいった方向をきちんと視認できていなかった。
 おそらく部屋の奥の壁か柱にぶつかったはずだが、その激突箇所はおろか、付近の床にも何も落ちていない。
 ソファセットの近くまで寄って確認してみても、残骸どころか衝突の形跡も見当たらず、さすがに眉をしかめる。

「……従者を入れて捜索したほうがよろしいですね、網を持って来させます」

「何だよ、こないだは鳥だか何だかが出て、今度はネズミモドキか。いつから鳥獣見本市になったんだこの屋敷は?」

「雨の季とはいえ、今まではこれほど小動物が入り込むようなことはありませんでしたし。外壁に穴がないか、冬の間に一度きちんと点検をいたしましょう」

 視認での捜索を諦めたカミロは元の場所まで戻ると、杖を支えに屈んで床に刺さった二本のペンを引き抜いた。
 すっかり駄目になってしまった先端を確認し、これ見よがしに嘆息する。

「……ペン先も安くはないのですから、投擲するなら別のものにしてください」

「何だと、ネズミ相手にこのペーパーナイフを投げろってのか、白金製だぞ?」

「それは大旦那様の遺品じゃないですか、そんなもの投げたらすぐさま投げ返しますよ眉間に」

「ア゛ァ?」


 また言い争いを始める大人ふたりを書棚の上から観察しながら、アルトはひとまず去った危機に安堵した。
 だがこのまま執務室にいては、従者たちの捜索という人海戦術によりいずれは捕獲されるかもしれない。捕まるのがアルトの宝玉だけならまだしも、この身はリリアーナの愛用するぬいぐるみという皮を被っているのだ。主のために情報収集へ来ておきながら、己の失態で主にまで類が及ぶことになってしまう。
 何とかして早急に脱出しなくては。
 書棚の上をそっと移動しながら機会をうかがう。扉が難しいなら窓からでも、と思案に暮れていると、廊下側から執務室の扉がノックされた。

「軽食をお持ちいたしましたー」

「……意外と時間がかかりましたね」

 そばにいたカミロが扉を開けると、そこにはワゴンを押したフェリバが立っていた。
 乗せられたポットと銀のクロッシュを気にしながら慎重に押して室内へ入ってくる。

「スープを温め直してもらったんです、サンドイッチとお茶だけでは物足りないと思いまして」

「あー、そうだ、腹が減っていたんだ。ネズミ探しは後でいいから先に食うぞ俺は」

 ファラムンドはそう言って、散らかっていた机の上の書類を雑に重ねて隅に置く。
 奥のテーブルに移動しろとか、書類の扱いだとかを今さら指摘するつもりはないのだろう、カミロは食事の支度を引き受けるためにワゴンへ手をかけた。
 その時、フェリバが窓を指さして声を上げる。

「っ! あ、あの、窓のとこ、侍従長見てください、何かいますっ!」

 その声につられて男ふたりが視線を向けると同時に、フェリバは指しているのと反対の手でエプロンのポケットを広げた。
 その意図するところは明白だ。アルトは書棚の上で助走をつけて、真っ直ぐにそのポケットの中へと飛び込んだ。

<ご助力感謝いたします~フェリバ殿ぉー!>

 フェリバが指したのは黒檀の机から程近い窓だった。拳が通るくらいの隙間が開いており、吹き込む小雨が窓枠をわずかに濡らしている。
 窓へ近づいた侍従長は、軽く外を確認してからそれを閉じて鍵をかけた。

「……窓、開けておられたんですか」

「そういや、さっき馬車を確認するのにちょっと外を見たんだった。何だ、もうあそこから逃げたのか、つまらん」

「捕り物騒ぎにならなくて良かったじゃないですか、お食事が済み次第どうぞ安心して仕事を片づけてください」

 ワゴンに乗ったクロッシュの中とポットの中身、カトラリーなどを軽く確認したカミロは、扉の前に立ったままでいるフェリバに向き直る。

「フェリバ、ご苦労でした。こちらの支度は引き受けますから、もう下がって結構です」

「あ、はい。では失礼いたします!」

 歯をむき出して威嚇の顔をする領主と、それに取り合わず軽食の準備を始める侍従長。そのふたりに礼をすると、フェリバは執務室を辞して扉をそっと閉じた。

 数歩、執務室から離れて、周囲に誰もいないことを確認してから大きく息をつく。

「…………はぁ~……」

<ありがとうございました、フェリバ殿。お陰様で助かりました>

「旦那様たちにバレちゃったんですね、捕まらなくて本当に良かったですよぅ……もうリリアーナ様のお部屋へ帰りましょう?」

<はい、……私の身勝手に付き合わせて、ご迷惑をおかけしました>

 フェリバはその言葉には答えず、代わりにぬいぐるみの収まったポケットを上からぽんぽんと軽くふれる。それを触覚として感じ取ることはできないが、アルトはその優しい接触に確かな温もりを得た。



 フェリバが廊下を歩く間に、エプロンのポケットに収まったアルトは形成していた脚部とその組成を、元のボアーグルのぬいぐるみへと戻していく。
 ついでに動き回って付着した汚れや埃などの不純物も除去して、ポケットの外へポイッと放り出す。このぬいぐるみはリリアーナが直にふれたり、その枕元へ寄ったりするのだ。汚れがないよう常に気をつけている。

 元通りの形になったところで、今回の短い探索に想い馳せる。
 書斎をほとんど調べられないうちに発見されてしまったが、収穫がゼロだったわけでもない。礼儀作法の教師の来訪と一悶着、そしてリリアーナやふたりの兄たちの見合い話のこと。短い時間ではあったが、こうして身ひとつで部屋を出てきた甲斐のある情報を得ることができた。
 大人同士の諍いや、婚約の話などはリリアーナ本人がいては誰の口からも聞き出すことはできなかっただろう。
 バレンティン家のことや執務室の書類について調べられなかったのは痛恨ではあるが、そちらは急ぎでもないしまたの機会に探れば良い。

 直近では特に、この冬で十五歳となる長兄のアダルベルトに婚約者の決定が差し迫っているようだ。十五歳記の祝いには中央へ赴くという習わし以外、これはリリアーナも知り得ないことだろう。
 リリアーナの手元を離れて得た情報は、望まれない限り開示するつもりはないが、見合いの話は本人にも大きく関係することだ。
 リリアーナ自身は父親の意向に従うつもりでいるようだが、それは家の利や領主の娘としての役割の話。本人はヒトの女性として婚姻することを、一体どのように捉えているのか。

 ……宝玉の内側がひどくざわつく。
 危険を察知したわけでもないのに、とても『嫌』だという感触を覚える。論理的ではない、まるでヒトのような所感。

 かつての魔王城では、デスタリオラを慕う女性も多かった。
 夜間には頻繁に夜這いをかけられ、それに苛立ったパストディーアーが強引な排除契約を迫ったりという一幕もあったが、デスタリオラ本人はそれらのアプローチを歯牙にもかけていなかった。……おそらく夜這いというもの自体を理解しておらず、ただの夜襲と思い込んでいた節もあるのだがそれはともかく。
 『魔王』は子を成せないため、婚姻をすることもないと断じていられた。誰の伴侶になることもなく、誰かひとりを選ぶこともない。孤高の魔王であると。
 だがリリアーナの婚姻は近い将来の話として、現実に起こることなのだ。誰かと結婚する、ヒトの伴侶になる。

 ――どこかの男の妻となる。

 ざらざらと、不可視の感触に思考が乱れる。
 嫌だという感情にも似た何かが沸き上がる。
 所有物の分際でありながら、主を取られるような心地がして悔しいのか。思考の平坦な部分がそう分析する。
 そうなのかもしれない。いわゆる嫉妬心というものに酷似した現象が起きている。不可解で、不可思議で、それでいてどこか納得も覚える。

 このわずか数年の間でずいぶんと思考にノイズが多くなった。故障しているのかもしれない、一度しっかり内側を走査しておくべきだろう。
 アルトは、インベントリへ置き去りにしてきた本体の杖を想う。
 アルトバンデゥスの杖。かつての自分と、今の自分。その差異。思考の幅が広がったのは、果たして宝玉だけの身となった派生現象なのだろうか。
 ……だとしたら、杖に戻ることができれば、この余分なノイズも消えるかもしれない。
 消しても良いものか、消えないほうが良いのか、消したくないのか、自分では冷静な判断がつかない。
 知らない情報があれば地より汲み上げて、わからないことがあればいつもデスタリオラが教えてくれた。
 訊きたい、答えて欲しい、どうか教えて欲しい、あなたにとって自分は、


 ――そこで全ての思考を途切らせて、アルトは間近に迫ったリリアーナの私室へと意識を向けた。
 じきに目覚める彼女へ向けて、いつも通り目覚めの挨拶をしなくてはならない。求められるままに、在るがままに。
 自分は彼女の所有物なのだから。

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