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それは柔らかな ✧
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今日の採寸は、あと一ヶ月半後に控えたリリアーナの誕生祭で着用するドレスを仕立てるためのものだ。
五歳を祝う誕生日。産まれた日を一周するごとの祝いは五度目になるが、ヒトの文化圏では五年毎の誕生日はことさら大きく祝うものらしい。
体のいたるところを採寸されるのは煩わしくとも、数字の変化はそれだけ体が成長したことを示すもの。健やかな生育を基本方針としている現在、それを実感できるイベントはそこはかとない達成感も与えてくれる。
それに加え、誕生日には普段にも増して豪華な食事が提供されるのを見てきた。いつもは部屋で侍女に囲まれて食事をとっているが、自分と兄たちの誕生日の晩だけは、広い食堂で家族が一堂に会しての晩餐となるのが慣例らしい。
卓上に並ぶ見知らぬ料理の数々、色とりどりのフルーツの盛り合わせに甘い焼き菓子。四歳までは幼児用として別に作られたものを供されていたが、きっと五歳の祝いならば皆と同じように、卓上の料理へ手をつけることが許されるはず。
五年もお預けを食らった誕生祭のご馳走に、リリアーナは大いに期待を膨らませていた。
そうして一ヶ月半後の晩餐へ想いを馳せている間に、あっさりと採寸は終わった。どうやら色味や生地などの注文は先に済んでいたらしい。
まだ仮縫いのものを合わせたりといった段階は残っているが、今日やるべきことはこれでおしまいだ。仕立て屋へ労いの言葉をかけて踵を返せば、妙にニコニコとしたフェリバが先導し扉を開ける。
この年若い侍女は、リリアーナの世話をすることが毎日楽しくて仕方ないらしい。人にはそれぞれ生来の向き不向きというものがある中、彼女は世話をする役職に天賦の喜びを見出しているのだろう。少々構いたがりなきらいはあれど、その細やかな気遣いには日々助けられている。
お付きの侍女の中では一番若く、人当たりのよい性格をしていて声をかけやすいため、ぬいぐるみへの細工も彼女へ依頼することにした。
「ちょうど下側に縫い目があるから、一回開いても目立たなそうですね。綿が入ってるし、もし落っことしてもガラス玉は割れずに済みますよー」
少し危うい手付きで縫い目の糸をパチパチ切りながら、フェリバはご機嫌な様子で口と手を同時に動かし続ける。
夕餉の支度まで侍女たちへ休憩時間が与えられている中、フェリバにだけ面倒な作業を頼んでしまい申し訳ないと思っていたのだが、その手仕事を楽しんでいる様子にリリアーナはこっそり安堵した。
カウチソファの縁に腕とあごを乗せ、テーブルへ裁縫道具を広げ嬉々としながらぬいぐるみをいじっている侍女を眺める。少々はしたない格好であっても、こちらも休憩中なのだから構うまい。
「この玉を入れたら、起き上がり人形になりそうですね」
「何だそれは、呪いのアイテムの類か?」
「怖いこと言わないでくださいよ。あの棚の中にもひとつふたつはありますよ、下に重りが入っていて、倒しても自分で起き上がるお人形さんのことです」
「ほう」
子どもが遊ぶために細工を施した人形のことか、と納得する。そういう意味でなら、あの玉を入れればどんな体勢からでも起き上がるぬいぐるみになることだろう。
それどころか会話ができて、決して破損せず、いくらかの魔法まで行使可能なシロモノだ。
「という訳で、下の方に縫い込めておきますね」
「任せる」
「えー、糸は、黒でいいかな。……うーん、うーん?」
フェリバは普段あまり繕いものをしないのだろう、今度は縫い針に糸が通らず苦戦しているらしい。うめき声を上げながら首をひねり手を上げ下げし、不思議な体勢で悪戦苦闘している様は見ていて飽きない。
「……」
先程採寸した着衣も、仕立て人がああして小さな針を使って手仕事でちくちくと仕上げていくのだろうか。これまで他者が縫い物をしている場面などあまり観察したことはなかったが、一刺しずつ縫っていくなど気の遠くなるような作業だ。
幼いリリアーナでもすでに何着もの衣服を与えられている。その全てが、どこかの誰かの手で一着ずつ、糸から丹念に作られたものなのだと今になって初めて意識した。
以前、『魔王』として生きていた頃の着衣も同様に作られていたはずなのに、そんなことは一度も考えたことがなかった。糸を作り出すための畑と施設、紡績と機織りのための道具、そういった生産ラインにばかり気を取られて身の回りに目が向いていなかった己を恥じる。
王たる自分に献上された衣服だ、どれも見事な仕事だったに違いない。だというのに、服飾に対し無頓着であることを理由に、携わった者たちへ大して労いの言葉をかけてやることもできなかった。
寝間着も普段着も、『勇者』と対峙した際に纏っていたローブも、纏ったものに着心地が悪いと思ったことは一度もない。どれも身の丈にぴたりと合い、肌に馴染んで非常に動きやすかったのを覚えている。
いっぺん死んだ今となってはもう遅すぎるが、もし機会に恵まれたなら、かつて丹念に衣服を仕立ててくれた者たちへ改めて礼を言いたいものだ。
腕に顔を埋めながら、リリアーナはそっと悔恨の浸みた息を吐く。
新しい人生をしっかり生きようと思っているのに、何かにつけては魔王城にいた頃のことばかり思い出してしまう。これはもしかしたら、郷愁の念というものだろうか。
乾いた大地、荘厳な城、数多いた臣下たちは今頃どうしているだろう。
「リリアーナさまー、おねむでしゅかー、チュッチュッ」
「……何だその、チュチュというのは」
「ウサちゃんの鳴き声です」
リリアーナが顔を伏せていると、後頭部に柔らかいものがぽすぽすと当たる感触がした。
縫込みが終わったのだろう、頭を持ち上げればすぐ目の前で薄青色のぬいぐるみが跳ねている。
「兎には声帯がない」
「えっ、ウサちゃんって鳴かないんですか? へー、リリアーナ様は物知りですねぇ」
フェリバの手によりぴょんぴょんと跳ねてきた兎、もといボアーグルのぬいぐるみは、最後に大きく跳ねるとリリアーナの小さな手の中へ収まった。
丸みを帯びた台形はたしかに兎が座っているように見えなくもないが、これはおそらくボアーグルの頭部だろう。だが背面に尻尾らしき紐が生えているのは解せない。
綿が詰められていて枕のように柔らかい中、揉んでみれば底のあたりに丸いものが収められているとわかる。その部分にだけ質量の比重が偏っているから、これならばたしかに平らな面で倒しても自重で起き上がるだろう。
起き上がりぬいぐるみとして新生したアルトバンデゥス。
宝玉の冷たい表面を直に触れなくなったのは少しばかり残念でも、これならば普段リリアーナがそばに置いたり持ち歩いたりしても不自然には見えないはず。
自身の外見年齢が幼いことを利用するのは何だか微妙な心地になるけれど、実際に幼児なのだから仕方ない。
「フェリバ、ありがとう。面倒をかけたな」
「いえいえ、どういたしまして。リリアーナ様はもっとじゃんじゃんお願い事したり、我が侭を言ってもいいんですよ」
「領主の娘だからか? まだその代償となるような仕事は何も請け負っていないが」
「そーいうんじゃなくて。私がリリアーナ様に何かしてあげたいんです」
「……?」
ふわりと目を細め、柔らかな表情を浮かべる侍女へリリアーナは疑問符を返す。
臣下を使い、護り、命じることに慣れた王は、仕える者たちへの労いも上に立つ者の役目だと当然のように考える。自身を慮る情の温かみを知ってはいても、そのほとんどが『魔王』という立場に対して向けられたものだと思っている。
愛情とも、献身とも言えるような庇護は、上から下へと向けるものしか未だ理解し得ない。
心底わからないという顔をするリリアーナに、このときばかりは歳よりも幾分大人びた顔でフェリバは微笑んで見せるのだった。
五歳を祝う誕生日。産まれた日を一周するごとの祝いは五度目になるが、ヒトの文化圏では五年毎の誕生日はことさら大きく祝うものらしい。
体のいたるところを採寸されるのは煩わしくとも、数字の変化はそれだけ体が成長したことを示すもの。健やかな生育を基本方針としている現在、それを実感できるイベントはそこはかとない達成感も与えてくれる。
それに加え、誕生日には普段にも増して豪華な食事が提供されるのを見てきた。いつもは部屋で侍女に囲まれて食事をとっているが、自分と兄たちの誕生日の晩だけは、広い食堂で家族が一堂に会しての晩餐となるのが慣例らしい。
卓上に並ぶ見知らぬ料理の数々、色とりどりのフルーツの盛り合わせに甘い焼き菓子。四歳までは幼児用として別に作られたものを供されていたが、きっと五歳の祝いならば皆と同じように、卓上の料理へ手をつけることが許されるはず。
五年もお預けを食らった誕生祭のご馳走に、リリアーナは大いに期待を膨らませていた。
そうして一ヶ月半後の晩餐へ想いを馳せている間に、あっさりと採寸は終わった。どうやら色味や生地などの注文は先に済んでいたらしい。
まだ仮縫いのものを合わせたりといった段階は残っているが、今日やるべきことはこれでおしまいだ。仕立て屋へ労いの言葉をかけて踵を返せば、妙にニコニコとしたフェリバが先導し扉を開ける。
この年若い侍女は、リリアーナの世話をすることが毎日楽しくて仕方ないらしい。人にはそれぞれ生来の向き不向きというものがある中、彼女は世話をする役職に天賦の喜びを見出しているのだろう。少々構いたがりなきらいはあれど、その細やかな気遣いには日々助けられている。
お付きの侍女の中では一番若く、人当たりのよい性格をしていて声をかけやすいため、ぬいぐるみへの細工も彼女へ依頼することにした。
「ちょうど下側に縫い目があるから、一回開いても目立たなそうですね。綿が入ってるし、もし落っことしてもガラス玉は割れずに済みますよー」
少し危うい手付きで縫い目の糸をパチパチ切りながら、フェリバはご機嫌な様子で口と手を同時に動かし続ける。
夕餉の支度まで侍女たちへ休憩時間が与えられている中、フェリバにだけ面倒な作業を頼んでしまい申し訳ないと思っていたのだが、その手仕事を楽しんでいる様子にリリアーナはこっそり安堵した。
カウチソファの縁に腕とあごを乗せ、テーブルへ裁縫道具を広げ嬉々としながらぬいぐるみをいじっている侍女を眺める。少々はしたない格好であっても、こちらも休憩中なのだから構うまい。
「この玉を入れたら、起き上がり人形になりそうですね」
「何だそれは、呪いのアイテムの類か?」
「怖いこと言わないでくださいよ。あの棚の中にもひとつふたつはありますよ、下に重りが入っていて、倒しても自分で起き上がるお人形さんのことです」
「ほう」
子どもが遊ぶために細工を施した人形のことか、と納得する。そういう意味でなら、あの玉を入れればどんな体勢からでも起き上がるぬいぐるみになることだろう。
それどころか会話ができて、決して破損せず、いくらかの魔法まで行使可能なシロモノだ。
「という訳で、下の方に縫い込めておきますね」
「任せる」
「えー、糸は、黒でいいかな。……うーん、うーん?」
フェリバは普段あまり繕いものをしないのだろう、今度は縫い針に糸が通らず苦戦しているらしい。うめき声を上げながら首をひねり手を上げ下げし、不思議な体勢で悪戦苦闘している様は見ていて飽きない。
「……」
先程採寸した着衣も、仕立て人がああして小さな針を使って手仕事でちくちくと仕上げていくのだろうか。これまで他者が縫い物をしている場面などあまり観察したことはなかったが、一刺しずつ縫っていくなど気の遠くなるような作業だ。
幼いリリアーナでもすでに何着もの衣服を与えられている。その全てが、どこかの誰かの手で一着ずつ、糸から丹念に作られたものなのだと今になって初めて意識した。
以前、『魔王』として生きていた頃の着衣も同様に作られていたはずなのに、そんなことは一度も考えたことがなかった。糸を作り出すための畑と施設、紡績と機織りのための道具、そういった生産ラインにばかり気を取られて身の回りに目が向いていなかった己を恥じる。
王たる自分に献上された衣服だ、どれも見事な仕事だったに違いない。だというのに、服飾に対し無頓着であることを理由に、携わった者たちへ大して労いの言葉をかけてやることもできなかった。
寝間着も普段着も、『勇者』と対峙した際に纏っていたローブも、纏ったものに着心地が悪いと思ったことは一度もない。どれも身の丈にぴたりと合い、肌に馴染んで非常に動きやすかったのを覚えている。
いっぺん死んだ今となってはもう遅すぎるが、もし機会に恵まれたなら、かつて丹念に衣服を仕立ててくれた者たちへ改めて礼を言いたいものだ。
腕に顔を埋めながら、リリアーナはそっと悔恨の浸みた息を吐く。
新しい人生をしっかり生きようと思っているのに、何かにつけては魔王城にいた頃のことばかり思い出してしまう。これはもしかしたら、郷愁の念というものだろうか。
乾いた大地、荘厳な城、数多いた臣下たちは今頃どうしているだろう。
「リリアーナさまー、おねむでしゅかー、チュッチュッ」
「……何だその、チュチュというのは」
「ウサちゃんの鳴き声です」
リリアーナが顔を伏せていると、後頭部に柔らかいものがぽすぽすと当たる感触がした。
縫込みが終わったのだろう、頭を持ち上げればすぐ目の前で薄青色のぬいぐるみが跳ねている。
「兎には声帯がない」
「えっ、ウサちゃんって鳴かないんですか? へー、リリアーナ様は物知りですねぇ」
フェリバの手によりぴょんぴょんと跳ねてきた兎、もといボアーグルのぬいぐるみは、最後に大きく跳ねるとリリアーナの小さな手の中へ収まった。
丸みを帯びた台形はたしかに兎が座っているように見えなくもないが、これはおそらくボアーグルの頭部だろう。だが背面に尻尾らしき紐が生えているのは解せない。
綿が詰められていて枕のように柔らかい中、揉んでみれば底のあたりに丸いものが収められているとわかる。その部分にだけ質量の比重が偏っているから、これならばたしかに平らな面で倒しても自重で起き上がるだろう。
起き上がりぬいぐるみとして新生したアルトバンデゥス。
宝玉の冷たい表面を直に触れなくなったのは少しばかり残念でも、これならば普段リリアーナがそばに置いたり持ち歩いたりしても不自然には見えないはず。
自身の外見年齢が幼いことを利用するのは何だか微妙な心地になるけれど、実際に幼児なのだから仕方ない。
「フェリバ、ありがとう。面倒をかけたな」
「いえいえ、どういたしまして。リリアーナ様はもっとじゃんじゃんお願い事したり、我が侭を言ってもいいんですよ」
「領主の娘だからか? まだその代償となるような仕事は何も請け負っていないが」
「そーいうんじゃなくて。私がリリアーナ様に何かしてあげたいんです」
「……?」
ふわりと目を細め、柔らかな表情を浮かべる侍女へリリアーナは疑問符を返す。
臣下を使い、護り、命じることに慣れた王は、仕える者たちへの労いも上に立つ者の役目だと当然のように考える。自身を慮る情の温かみを知ってはいても、そのほとんどが『魔王』という立場に対して向けられたものだと思っている。
愛情とも、献身とも言えるような庇護は、上から下へと向けるものしか未だ理解し得ない。
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