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第2章.妖精王
027縫.キュルムの町に潜入
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現在、アカリとニックと『かぐら座』の “ 弾き子 ” の皆さん、合計6人の大所帯は森を抜けて平原を進んでいます。
「さぁ、お日さまが顔を出している内に距離を稼いじゃいましょう!」
まだ明るい内に、行ける所まで行っちゃうつもりの様です。
しかし、全てがスムーズに行く程そんなに考えは甘く無かった様です。
何故なら、歩き続けるに従ってだんだんと霧が立ち込めて来たからです。
ズキッ……
霧が立ち込めて来た時、アカリは少し頭痛でくらくらっと来ました。
しかし、倒れる程ではありませんでした。
その頃、霧の外では……
あのマフラー軍団、『ターキーズ』が突然の霧で一寸先も見えず右往左往しています。
濃い霧が辺り一面を覆い尽くし、一寸先ですらもうすでに真っ白で何も見えません。
ホワイトアウトという現象です。
ゴゴンゴゴン……ゴゴンゴゴン……
さらに頭の上遥か上空から、何かが激しくぶつかる音が響きます。
一体、この場所では何が起こっているんでしょうか?
「ん~っ、『ターキーズ』!!!」
シャキィィィンッ……!
しかしそんな中でも、この人達の『通常業務』と今日のお仕事の依頼確認は欠かせません。
ブレないですね~。
「今日の仕事は『白い巫女』の捜索、分かってるなっ!
裏方班の連絡では、“ 濃霧の向こうにその姿を見た ” って報告だ!
濃霧が頻繁に立ち込めるエリアと言えばココだ、この辺を徹底的に探索するぞ!」
決して、裏方班はボンクラな訳ではありません。
むしろ情報分析能力に関しては、光るモノすら感じます。
だって『白い巫女』ではありませんが今、娘のアカリ達が濃霧の中を彷徨っているんですから。
なのに、何で……
レッドから毎回毎回、あんなに説教を喰らっているんでしょうか?
「リーダー、突然の霧でホワイトアウトしちゃったよぉ♪
この霧じゃあ、捜索対象者の姿なんて完全に分からないんじゃないのかい?」
緑いのは両手を上に掲げ、お手上げポーズです。
しかし彼の場合、本気で困っている訳ではありません。
早く打開策を考えろ、と暗に催促しているんです。
「レッド、前回の『メフィスト』の件でも今回の探索の件でもそうなんだが……
何か最近、後手後手に廻らされているんじゃねぇか?
沸湯を飲まされてる感が強いぜ、まったく。」
青いのは、“ 目に見えない何か ” の思惑に振り回されておかんむりです。
しかし歯ぎしりする程悔しい、という感情でもありません。
その証拠に、この濃霧の中でも探索を止めるつもりは無さそうです。
何だかんだ言っても、ちゃんと信頼関係出来てるじゃないの……裏方班と。
しかし色んな意味で、ニアミスをしていますね。
惜しいですね……ターキーズ。
しかし、何であの一団は『白い巫女』を探しているんでしょうか……?
その頃、アカリ達は引き続き濃霧の中を彷徨っていました。
アカリ達にも、遥か上空からのぶつかり音は聞こえています。
「濃霧のせいか、ちょっと寒いですね……」
「じゃ、座楽団『かぐら座』のガウンあるから羽織らせてあげるよ……」
リーダーのお姉さんは、アカリにガウンを貸してあげました。
これで寒さは凌げそうです。
「一体、どちらに向かって歩けばいいのでしょう……」
リーダーのお姉さんも、困り顔です。
すると……
「たぶん、あっちの方向かも……」
アカリが、ある方向に指を向けました。
「あの方向に向かって歩くと、頭痛が楽になりますから……
次はこっち……
何か、誰かに呼ばれている様な気がしますね……」
アカリのナビ通りに進み、しばらく歩くと遠くにボヤ……と町らしき輪郭が見えて来ました。
「あっ、町が見えて来ました!」
「えっ……?
私達も座楽団として色んな町を渡り歩いて来たけど、こんな所に町なんて見た事も聞いた事も無いですわ!」
しばらく歩くと、町の入口に着きました。
「本当に、幻じゃなくて町だったんですね。
来れちゃいましたよ。」
「クェ……」
ニックはすごく心配そうです。
「取り合えず、中に入ってみましょうよ。」
みんなで、町の中に入ってみる事にしました。
町の中は、整然としています。
そして真ん中に大通りが2本、十字に走っています。
2本の大通りが十字に交わった中央は、丸い円形の広場になっています。
広場の真ん中には掲示板が設けられていて、そこにはピンクの兎ステッカーが貼られています。
それだけでは無く、一緒にヤシの木も植えられています。
そして、ヤシの木には何かの樹木を輪切りにした木の板が打ち付けられており、表面の年輪には何か文字が彫られている様です。
「ん……『キュルム』って彫られているらしいね……
どうやらココ、キュルムの町らしいよ。」
アカリはまだこの地上界の文字が読めないので、リーダーのお姉さんが教えてくれました。
この2本の大通りに平行に、まるで定規で線を引いたみたいに等間隔で家が配置されています。
周りを見廻して、リーダーのお姉さんが言いました。
「どうやら、人っこひとりいないみたいですわ。」
アカリは、フルフルと首を横に振ります。
「……いえ、そんな事は無いと思いますよ。
だって、人の姿が見えないだけでさっきから人の視線はそこかしこから感じていますから……
たぶん、家の中からワタシ達の事を覗いているんだと思うんです。」
「クェ~ッ!」
どうやらニックも、その考えには同意見の様です。
しかし、なぜ人々は顔を出してくれないんでしょうか?
やっぱり、この町は他所者に厳しいんでしょうか……?
「さぁ、お日さまが顔を出している内に距離を稼いじゃいましょう!」
まだ明るい内に、行ける所まで行っちゃうつもりの様です。
しかし、全てがスムーズに行く程そんなに考えは甘く無かった様です。
何故なら、歩き続けるに従ってだんだんと霧が立ち込めて来たからです。
ズキッ……
霧が立ち込めて来た時、アカリは少し頭痛でくらくらっと来ました。
しかし、倒れる程ではありませんでした。
その頃、霧の外では……
あのマフラー軍団、『ターキーズ』が突然の霧で一寸先も見えず右往左往しています。
濃い霧が辺り一面を覆い尽くし、一寸先ですらもうすでに真っ白で何も見えません。
ホワイトアウトという現象です。
ゴゴンゴゴン……ゴゴンゴゴン……
さらに頭の上遥か上空から、何かが激しくぶつかる音が響きます。
一体、この場所では何が起こっているんでしょうか?
「ん~っ、『ターキーズ』!!!」
シャキィィィンッ……!
しかしそんな中でも、この人達の『通常業務』と今日のお仕事の依頼確認は欠かせません。
ブレないですね~。
「今日の仕事は『白い巫女』の捜索、分かってるなっ!
裏方班の連絡では、“ 濃霧の向こうにその姿を見た ” って報告だ!
濃霧が頻繁に立ち込めるエリアと言えばココだ、この辺を徹底的に探索するぞ!」
決して、裏方班はボンクラな訳ではありません。
むしろ情報分析能力に関しては、光るモノすら感じます。
だって『白い巫女』ではありませんが今、娘のアカリ達が濃霧の中を彷徨っているんですから。
なのに、何で……
レッドから毎回毎回、あんなに説教を喰らっているんでしょうか?
「リーダー、突然の霧でホワイトアウトしちゃったよぉ♪
この霧じゃあ、捜索対象者の姿なんて完全に分からないんじゃないのかい?」
緑いのは両手を上に掲げ、お手上げポーズです。
しかし彼の場合、本気で困っている訳ではありません。
早く打開策を考えろ、と暗に催促しているんです。
「レッド、前回の『メフィスト』の件でも今回の探索の件でもそうなんだが……
何か最近、後手後手に廻らされているんじゃねぇか?
沸湯を飲まされてる感が強いぜ、まったく。」
青いのは、“ 目に見えない何か ” の思惑に振り回されておかんむりです。
しかし歯ぎしりする程悔しい、という感情でもありません。
その証拠に、この濃霧の中でも探索を止めるつもりは無さそうです。
何だかんだ言っても、ちゃんと信頼関係出来てるじゃないの……裏方班と。
しかし色んな意味で、ニアミスをしていますね。
惜しいですね……ターキーズ。
しかし、何であの一団は『白い巫女』を探しているんでしょうか……?
その頃、アカリ達は引き続き濃霧の中を彷徨っていました。
アカリ達にも、遥か上空からのぶつかり音は聞こえています。
「濃霧のせいか、ちょっと寒いですね……」
「じゃ、座楽団『かぐら座』のガウンあるから羽織らせてあげるよ……」
リーダーのお姉さんは、アカリにガウンを貸してあげました。
これで寒さは凌げそうです。
「一体、どちらに向かって歩けばいいのでしょう……」
リーダーのお姉さんも、困り顔です。
すると……
「たぶん、あっちの方向かも……」
アカリが、ある方向に指を向けました。
「あの方向に向かって歩くと、頭痛が楽になりますから……
次はこっち……
何か、誰かに呼ばれている様な気がしますね……」
アカリのナビ通りに進み、しばらく歩くと遠くにボヤ……と町らしき輪郭が見えて来ました。
「あっ、町が見えて来ました!」
「えっ……?
私達も座楽団として色んな町を渡り歩いて来たけど、こんな所に町なんて見た事も聞いた事も無いですわ!」
しばらく歩くと、町の入口に着きました。
「本当に、幻じゃなくて町だったんですね。
来れちゃいましたよ。」
「クェ……」
ニックはすごく心配そうです。
「取り合えず、中に入ってみましょうよ。」
みんなで、町の中に入ってみる事にしました。
町の中は、整然としています。
そして真ん中に大通りが2本、十字に走っています。
2本の大通りが十字に交わった中央は、丸い円形の広場になっています。
広場の真ん中には掲示板が設けられていて、そこにはピンクの兎ステッカーが貼られています。
それだけでは無く、一緒にヤシの木も植えられています。
そして、ヤシの木には何かの樹木を輪切りにした木の板が打ち付けられており、表面の年輪には何か文字が彫られている様です。
「ん……『キュルム』って彫られているらしいね……
どうやらココ、キュルムの町らしいよ。」
アカリはまだこの地上界の文字が読めないので、リーダーのお姉さんが教えてくれました。
この2本の大通りに平行に、まるで定規で線を引いたみたいに等間隔で家が配置されています。
周りを見廻して、リーダーのお姉さんが言いました。
「どうやら、人っこひとりいないみたいですわ。」
アカリは、フルフルと首を横に振ります。
「……いえ、そんな事は無いと思いますよ。
だって、人の姿が見えないだけでさっきから人の視線はそこかしこから感じていますから……
たぶん、家の中からワタシ達の事を覗いているんだと思うんです。」
「クェ~ッ!」
どうやらニックも、その考えには同意見の様です。
しかし、なぜ人々は顔を出してくれないんでしょうか?
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