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第3章.地上界編
第43話.『黒い影』の恐怖!(その3)
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和諒の部屋の前に、ダダダダッとシェリルと桜、そしてユキちゃんがみんな一斉に駆け付けます。
「ちょっと……お兄ちゃん?
どういう事なの……コレっ?」
桜は、目の前の状況にただアタフタする事だけしか出来ません。
「お、お兄さん?……うわあぁぁっ!!!」
シェリルが和諒の部屋に入ろうと手を伸ばすと、静電気みたいにバチッ!と弾かれてしまいました。
「どうやらこの部屋には強力な結界が張り巡らされてるみたいで、中の和諒を閉じ込めてるみたいなのよ。
モチロン、私達も中へは入れないわ。」
桜が強大な結界を指差して、驚きの顔で京子に聞きます。
「この結界、おばあちゃんが張ったの?」
それがね、と京子も困惑の顔をしてその問いに答えます。
「ううん、私が来た時にはもうすでに張り巡らされていたのよ!」
そうよ、無力感に打ち拉がれているだけじゃダメじゃない!
今の私達にだって出来る事は、きっとあるハズなんだから!
「シェリルさん、桜、これから『スキル』に詳しい人の所まで会いに行くんでしょ?
私も一緒に連れて行ってはくれないかしら?
たぶん、行き先は同じだと思うわ。
私が会いたい人はね、この世で唯一ひとりだけ和諒と同じ瀕死の重体から生還を果たした人なの!」
気になりますね、誰の事なんでしょう……?
「分かりました、おばあちゃん!
サクラ、ボク達でお兄さんを救い出すんだ!
ワープホール、今すぐ『グレイシア邸』へ!」
「はいっ、シェリルくん!」
ワープホールは必要とされているのがよほど嬉しいのか、いつも以上に勢い良くギュルン!と廻ってワープホールの入り口を構築します。
京子は、テキパキと指示を送るシェリルの背中を見ながらこう呟きました。
「私は、自分の仕事をやり遂げたわ。
シェリルさんを、ナマクラ刀を何でもスパスパ斬れる業物の名刀に鍛え直す……ってね。
私の “ 力 ” は、通用しなさそうだから……
これから先は貴方達、若い世代の出番よ。
どんな物語を紡ぎ出すか、楽しみにして見てるわね……」
そして準備が出来るまでの間、結界の張られている部屋を眺めます。
ん?……何か匂いがして来ます。
これは、どこか懐かしい……いつかの日の桜の花の匂い……
でも、何で結界から桜の花の匂いが……?
京子はこの結界を張った本人の記憶は永久に思い出せませんが、ただ……
『懐かしい』って感触だけは、匂いとして忘れていなかったんです。
そしてシェリルと桜と京子の3人は互いに頷き合い、仲良く揃ってワープホールの中へとダイブして行ったのでした。
同時刻、グレイシア邸。
ワープホールが繋がっている先は、シェリルのベッドの上。
シェリルとサクラはワープホールからシュルンと抜けて、ベッドの上でぼふんっとバウンドします。
バウンドしたせいで、お互いベッドの上で四つん這いになったまま目と目が合います。
シェリルが、頬を染めたサクラにフレンチキスでチュッと軽くキスします。
チチチ……ピピピ……
どうやら日本とこの地上界は同じ時間の流れを刻むみたいで、日本では早朝からワープホールを使ったのでこちら地上界でも窓から射し込む朝日が眩しいです。
すると、うふふっと2人に自然と笑みが溢れます。
「まるで、あの小鳥さんみたいね。」
ちなみに、キョウコはいつの間にかひと足先に部屋を出て、目的の人物へ会いに行った様です。
シェリルは、ニコッと笑って言いました。
「ボクの部屋に転移して来たんだよ。
サクラ、リフィおばさんの元に向かおう!
念話じゃなく、直接話を聞きに行くんだ!」
サクラは、シェリルのこの屈託の無い笑顔が大好きです。
「はいっ!」
しかし次の瞬間、2人の顔が一気にかあっと赤くなります。
若干1名、今の光景をバッチリ見ていた人がいたんです!
姪のチェリーちゃんです!
「ねぇ、お兄ちゃ~ん……
アタシにもそれ~、してっ!」
ニコッと微笑んでせがむチェリーちゃん。
「シェリルくん、チェリーちゃんだって小さくても “ 女のコ ” なのよ。
見られた以上、しょうがないよね!」
サクラからの許可を得たので、シェリルはベッドの縁へ行き……
チェリーちゃんには、おでこにキスしてあげました。
まさか、チェリーちゃんまでダダ甘♡になっているなんて……
もう一刻の猶予もありません。
シェリルとサクラは、急いでフィリルの元へと向かいました。
2人がリビングに来た時、そこには中央のテーブルを囲む様にしてカメルじいちゃんとシャリーばあちゃん、マースおじさんとリフィおばさん、そしてフィリル母さんとキョウコの6人が座っていました。
そして、中央のテーブルには表紙が金文字の分厚い本が1冊置いてあります。
その本の名は、『ジョブ大全』……
シェリルはそこで、自分の “ 業の深さ ” を知る事になるんです。
「ちょっと……お兄ちゃん?
どういう事なの……コレっ?」
桜は、目の前の状況にただアタフタする事だけしか出来ません。
「お、お兄さん?……うわあぁぁっ!!!」
シェリルが和諒の部屋に入ろうと手を伸ばすと、静電気みたいにバチッ!と弾かれてしまいました。
「どうやらこの部屋には強力な結界が張り巡らされてるみたいで、中の和諒を閉じ込めてるみたいなのよ。
モチロン、私達も中へは入れないわ。」
桜が強大な結界を指差して、驚きの顔で京子に聞きます。
「この結界、おばあちゃんが張ったの?」
それがね、と京子も困惑の顔をしてその問いに答えます。
「ううん、私が来た時にはもうすでに張り巡らされていたのよ!」
そうよ、無力感に打ち拉がれているだけじゃダメじゃない!
今の私達にだって出来る事は、きっとあるハズなんだから!
「シェリルさん、桜、これから『スキル』に詳しい人の所まで会いに行くんでしょ?
私も一緒に連れて行ってはくれないかしら?
たぶん、行き先は同じだと思うわ。
私が会いたい人はね、この世で唯一ひとりだけ和諒と同じ瀕死の重体から生還を果たした人なの!」
気になりますね、誰の事なんでしょう……?
「分かりました、おばあちゃん!
サクラ、ボク達でお兄さんを救い出すんだ!
ワープホール、今すぐ『グレイシア邸』へ!」
「はいっ、シェリルくん!」
ワープホールは必要とされているのがよほど嬉しいのか、いつも以上に勢い良くギュルン!と廻ってワープホールの入り口を構築します。
京子は、テキパキと指示を送るシェリルの背中を見ながらこう呟きました。
「私は、自分の仕事をやり遂げたわ。
シェリルさんを、ナマクラ刀を何でもスパスパ斬れる業物の名刀に鍛え直す……ってね。
私の “ 力 ” は、通用しなさそうだから……
これから先は貴方達、若い世代の出番よ。
どんな物語を紡ぎ出すか、楽しみにして見てるわね……」
そして準備が出来るまでの間、結界の張られている部屋を眺めます。
ん?……何か匂いがして来ます。
これは、どこか懐かしい……いつかの日の桜の花の匂い……
でも、何で結界から桜の花の匂いが……?
京子はこの結界を張った本人の記憶は永久に思い出せませんが、ただ……
『懐かしい』って感触だけは、匂いとして忘れていなかったんです。
そしてシェリルと桜と京子の3人は互いに頷き合い、仲良く揃ってワープホールの中へとダイブして行ったのでした。
同時刻、グレイシア邸。
ワープホールが繋がっている先は、シェリルのベッドの上。
シェリルとサクラはワープホールからシュルンと抜けて、ベッドの上でぼふんっとバウンドします。
バウンドしたせいで、お互いベッドの上で四つん這いになったまま目と目が合います。
シェリルが、頬を染めたサクラにフレンチキスでチュッと軽くキスします。
チチチ……ピピピ……
どうやら日本とこの地上界は同じ時間の流れを刻むみたいで、日本では早朝からワープホールを使ったのでこちら地上界でも窓から射し込む朝日が眩しいです。
すると、うふふっと2人に自然と笑みが溢れます。
「まるで、あの小鳥さんみたいね。」
ちなみに、キョウコはいつの間にかひと足先に部屋を出て、目的の人物へ会いに行った様です。
シェリルは、ニコッと笑って言いました。
「ボクの部屋に転移して来たんだよ。
サクラ、リフィおばさんの元に向かおう!
念話じゃなく、直接話を聞きに行くんだ!」
サクラは、シェリルのこの屈託の無い笑顔が大好きです。
「はいっ!」
しかし次の瞬間、2人の顔が一気にかあっと赤くなります。
若干1名、今の光景をバッチリ見ていた人がいたんです!
姪のチェリーちゃんです!
「ねぇ、お兄ちゃ~ん……
アタシにもそれ~、してっ!」
ニコッと微笑んでせがむチェリーちゃん。
「シェリルくん、チェリーちゃんだって小さくても “ 女のコ ” なのよ。
見られた以上、しょうがないよね!」
サクラからの許可を得たので、シェリルはベッドの縁へ行き……
チェリーちゃんには、おでこにキスしてあげました。
まさか、チェリーちゃんまでダダ甘♡になっているなんて……
もう一刻の猶予もありません。
シェリルとサクラは、急いでフィリルの元へと向かいました。
2人がリビングに来た時、そこには中央のテーブルを囲む様にしてカメルじいちゃんとシャリーばあちゃん、マースおじさんとリフィおばさん、そしてフィリル母さんとキョウコの6人が座っていました。
そして、中央のテーブルには表紙が金文字の分厚い本が1冊置いてあります。
その本の名は、『ジョブ大全』……
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