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第2章.日本編

第23話.初モノづくしの世界(その3)

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 シェリルがレプラコーン達をうんしょ!うんしょ!っと一生懸命ワープホールの中に詰め込んでいる間……
サクラは、先ほど襲われていたおじさんと何やらヒソヒソと話を付けている模様です。
と思ったら、今度はペコペコ頭を下げていますね。
あっ、おじさんは行く前にトイレで用を足すみたいです。

「サクラ、異世界に送り終わったよぉ。」

「ありがとね、シェリルくんっ!
こちらもこのおじさんと話が付いたわ。
これから向かう行商先の途中にワタシ達の目的地があるから、そこまでトラックに乗せてくれるんですって!」

「サクラ、トラックってナニ?
乗せてもらうって、どういう事……?」

「この後ろに幌が付いた鉄製のハコがトラックなの。
コレに乗せてもらうがね、こちらの世界での “ 旅 ” の醍醐味なのよ!
『ヒッチハイク』って言うのよねぇ。」

 そこへ、おじさんがトイレから帰って来ました。


 やば、シェリルくんと普通に会話しちゃってたよぉ……


「あんれ?
若い人の間では『バックパック』って言うんでねか?」


 “ 視えていない ” シェリルくんと会話していたのに、何で当たり前の様にフツーにカットインして来るのよ?
まさか、ワタシの独り言だって思ってるの?
それにこのおじさん、何でそんな事まで詳しいの?


「ウフフフ……いやねぇ、おじさん。
それは、低予算で “ 海外旅行 ” する事を言うのよ?
ワタシ(達)は低予算で “ 国内旅行 ” をしているから、『ヒッチハイク』でイイのよ。」


 いえいえ、ボクもサクラも異世界を行ったり来たりしてるから、十分『バックパック』だと思うんですけど……


 おじさんは運転席に移動します。
シェリルとサクラは、後ろの幌の中に乗り込みます。
すると、サクラは何も言わずにギュッとシェリルの身体を抱き締めて……
決意をする様に、シェリルの胸元から顔を上げて言いました。

「シェリルくん、今回どうしても貴方に会って欲しい人がいるの……」





・グレイシア邸


 その日の夜、こちらでは……

「このレプラコーン達、一体どこから湧いて出て来たの~よぉ~!」

 屋敷中、イタズラし放題のレプラコーン達。
フィリル母さんの悲鳴が木霊こだまします。
仕方無くカメルじいちゃんとシャリーばあちゃん、マースおじさんとフィリルの4人で屋敷の中を大捜索です。
ちなみに、リフィおばさんはチェリーちゃんの寝かせ付けで今回は不参加です。

 寝かせ付けの最中なので、屋敷全体に影響を与えてしまう種族スキル『インフィニティー』が使えない中……
フィリルが1匹目、マースおじさんが2匹目を、そしてカメルじいちゃんとシャリーばあちゃんが最後の3匹目を協力してそれぞれ素手で捕まえます。

「ふぅ、やっと捕まえたのぉ……
……おや?
コイツの “ 靴 ” の中に、何か紙が入っておるぞぃ!」

 カメルじいちゃんが、ガサガサっと靴から紙を引っ張り出します。
どうやら、四つ折りになっている様です。
四つ折りの紙を広げるカメルじいちゃんの周りに、みんなが集まります。

「どれどれ……
『キョウコおばあちゃんに会いに行って来ます』
だそうじゃな。」

 フィリルは目をパチクリ、まん丸くしています。

「え、キョウコ様に会いに行くのぉ~!?」

 マースおじさんは、手紙の筆跡を見て言いました。

「うん、この手紙はシェリル君達からだね。
って言うか、コレはシェリル君の筆跡じゃないからあの子、サクラちゃんが書いたんじゃないかい?」

フィリルは、フンフンと頷きます。

「もしかしてこのレプラコーン達、伝言係としてこちらに寄越されたんじゃないかしらぁ~?
って事はシェリル、もうすでに自分の『インフィニティー』をこんなにも使いこなせてるのねぇ~!」

 シャリーばあちゃんは、ニコッと温かい笑顔で言いました。

「フィリルちゃんとサクラさん、なかなかどうして相性がいいカップルじゃないですか。
ねぇ、おじいさん?」


















そして、最後にフィリルが呟きます。

 あ~ぁ、ワタシもキョウコ様に会いたかったなぁ……







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