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第2章.日本編
第22話.初モノづくしの世界(その2)
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シェリルとサクラが横断歩道を渡り終えた時には、もうすでにレプラコーン達はトンズラして姿を消した後でした。
「逃げられちゃった……」
「しょうがないわよ、信号機が相手じゃね……」
そう言って、2人はまた歩道を歩き始めました。
てくてく歩いて数分後、少し向こうに道沿いの駐車場が見えます。
駐車場には車が1台だけ、あれは後ろに幌が付いた農耕用のトラックです。
しかし、何故か駐車スペース以外の所で斜めに止まっており、運転席のドアが開いたままなんです。
何か……様子がおかしい……?
そう感じたシェリルとサクラは、駐車場へと走ります。
駐車場に着くと、農夫のおじさんが腰が抜けて動けないのか……
座ったままの状態で、宙に向かって手をぶんぶん振っています。
「助けを呼んでいるの……?」
「違うよ、サクラ!
あれは、あっちに行けっ!って一生懸命『目の前の何か』を振り払おうとしているんだよ!」
よくよく見てみると、農夫のおじさんの目の前で色んな物がフヨフヨと浮いているみたいです。
水筒、お弁当、トマトにキュウリにナス……
どうやら行商用の野菜みたいですね。
シェリルはさらにトラックの後ろの幌の中を見てみると、浮いている理由が初めて分かりました。
イタズラをしていたんです、さっきのレプラコーン達が!
今度こそ、あの子達を捕まえてやるんだから!
気合十分で飛び出すサクラに、レプラコーン達もどうやら気付いた様です。
急いでトラックから飛び降り、逃走を図ろうとします。
宙に浮いていた物もボタボタっ!と落下します。
一度レプラコーン達が逃げ出したら、ボクの足じゃあ追い付かないよ!
どうする……?
よく考えて……
そう、ボクは『言霊使い』じゃないさ!
ココは、ボクしか出来ないやり方で……!
シェリルはスウッと深呼吸して、決意をココロに秘めて大声で叫びました!
『待てーーーーーーーーっ!!!』
すると、ワードオーダーの能力でこの言葉の “ ー ” の部分が具現化します。
そして出来た巨大な杭が8本、レプラコーン達の方へと飛んで行きザクザクザクっとレプラコーン達を囲む様にアスファルトに接地したんです!
ちなみにこの能力で具現化した杭は霊体を構成する霊子で出来ているので、物質であるアスファルトに穴が開く事は有りませんのでご安心を。
でも、同じ霊体であるモンスターは通り抜ける事が出来ません!
もちろん、レプラコーン達もです。
さて、巨大な杭に挟まれて身動きが取れなくなってキーキーと鳴いているレプラコーン達を前に……
「この子達、どうする……?」
「そうね……
イイ考えがあるわ、メッセンジャーになってもらいましょ!」
サクラはそう念話してニッと笑い、メモ帳に何やらサラサラと書いてレプラコーンの “ 靴 ” の中に押し込めました。
そして、シェリルの方にクルリと振り向きました。
「シェリルくん、この子達をワープホールの中に押し込めちゃってくれない?」
「え……えぇ~っ!?」
「だって、この子はイタズラ好きなだけで別に悪害は無いし、持ってる魔力も微々たるモンでしょ?
お母さんの力を借りなくても、この子達ならシェリルくんのワープホールでも十分向こうの異世界に送り返せるって思うのよねぇ。」
「でも、このワープホールの先は……」
シェリルはごにょごにょしますが、サクラにするりと躱されます。
その時はもうすでに、助けたおじさんと交渉に入ろうとしていたからです。
「シェリルくん、このおじさんにはワタシひとりだけで旅しているって体で話を進めるからねっ。」
サクラがシェリルに、念話で口裏合わせをします。
仕方無く、シェリルはレプラコーン達をワープホールに詰め込み始めたのでした。
う、動かないでよぉ……!
「逃げられちゃった……」
「しょうがないわよ、信号機が相手じゃね……」
そう言って、2人はまた歩道を歩き始めました。
てくてく歩いて数分後、少し向こうに道沿いの駐車場が見えます。
駐車場には車が1台だけ、あれは後ろに幌が付いた農耕用のトラックです。
しかし、何故か駐車スペース以外の所で斜めに止まっており、運転席のドアが開いたままなんです。
何か……様子がおかしい……?
そう感じたシェリルとサクラは、駐車場へと走ります。
駐車場に着くと、農夫のおじさんが腰が抜けて動けないのか……
座ったままの状態で、宙に向かって手をぶんぶん振っています。
「助けを呼んでいるの……?」
「違うよ、サクラ!
あれは、あっちに行けっ!って一生懸命『目の前の何か』を振り払おうとしているんだよ!」
よくよく見てみると、農夫のおじさんの目の前で色んな物がフヨフヨと浮いているみたいです。
水筒、お弁当、トマトにキュウリにナス……
どうやら行商用の野菜みたいですね。
シェリルはさらにトラックの後ろの幌の中を見てみると、浮いている理由が初めて分かりました。
イタズラをしていたんです、さっきのレプラコーン達が!
今度こそ、あの子達を捕まえてやるんだから!
気合十分で飛び出すサクラに、レプラコーン達もどうやら気付いた様です。
急いでトラックから飛び降り、逃走を図ろうとします。
宙に浮いていた物もボタボタっ!と落下します。
一度レプラコーン達が逃げ出したら、ボクの足じゃあ追い付かないよ!
どうする……?
よく考えて……
そう、ボクは『言霊使い』じゃないさ!
ココは、ボクしか出来ないやり方で……!
シェリルはスウッと深呼吸して、決意をココロに秘めて大声で叫びました!
『待てーーーーーーーーっ!!!』
すると、ワードオーダーの能力でこの言葉の “ ー ” の部分が具現化します。
そして出来た巨大な杭が8本、レプラコーン達の方へと飛んで行きザクザクザクっとレプラコーン達を囲む様にアスファルトに接地したんです!
ちなみにこの能力で具現化した杭は霊体を構成する霊子で出来ているので、物質であるアスファルトに穴が開く事は有りませんのでご安心を。
でも、同じ霊体であるモンスターは通り抜ける事が出来ません!
もちろん、レプラコーン達もです。
さて、巨大な杭に挟まれて身動きが取れなくなってキーキーと鳴いているレプラコーン達を前に……
「この子達、どうする……?」
「そうね……
イイ考えがあるわ、メッセンジャーになってもらいましょ!」
サクラはそう念話してニッと笑い、メモ帳に何やらサラサラと書いてレプラコーンの “ 靴 ” の中に押し込めました。
そして、シェリルの方にクルリと振り向きました。
「シェリルくん、この子達をワープホールの中に押し込めちゃってくれない?」
「え……えぇ~っ!?」
「だって、この子はイタズラ好きなだけで別に悪害は無いし、持ってる魔力も微々たるモンでしょ?
お母さんの力を借りなくても、この子達ならシェリルくんのワープホールでも十分向こうの異世界に送り返せるって思うのよねぇ。」
「でも、このワープホールの先は……」
シェリルはごにょごにょしますが、サクラにするりと躱されます。
その時はもうすでに、助けたおじさんと交渉に入ろうとしていたからです。
「シェリルくん、このおじさんにはワタシひとりだけで旅しているって体で話を進めるからねっ。」
サクラがシェリルに、念話で口裏合わせをします。
仕方無く、シェリルはレプラコーン達をワープホールに詰め込み始めたのでした。
う、動かないでよぉ……!
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