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新しい上司はワイルド系イケメンー7
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「オレは豊崎先輩の代わりにリテールに来た、和田だ。
聞いてるぞ。新人研修の3か月間だけで、成果をあげるなんてすごいよな」
白河君は握手には応えず、胡散臭そうに目を細めている。
「グループ長にしては、紅先輩……いや、桃花に馴れ馴れし過ぎませんか?」
和田グループ長を牽制するように、白河君は私の名前をあえて言い直した。
「さっき、肩に手を置いて何か耳元で言ってたでしょう。
今月来たばかりの上司と部下の距離感じゃないと思いますけど。
セクハラは、やめてください」
出たー。
白河君のコンプラ違反取り締まり。
「白河君、違うから。 セクハラじゃないから。
あっ、ごちそうさまでしたっ」
「はーい」
食器を返却口に返して、厨房から返事が来ると、白河君と和田グループ長の間に割って入る。
180㎝越えの2人に囲まれて、私は埋もれてしまった。
「桃花」
白河君は私の肩を後ろから抱きしめて、和田さんから離れる。
おいおい白河君よ。
社員で賑わっている社食の中で、抱きしめるのはコンプライアンス的に大丈夫なの?
周りで同じく返却口にトレイを戻す人や、近くの席に座って食べている人たちからもジロジロと見られた。
「和田グループ長は、小さい頃お隣に住んでたお兄さんだったの。
何でもないから、心配しないで」
注目を集め始めて恥ずかしくなりながら、そっと白河君の腕を外した。
「フフッ。ただ隣のお兄ちゃんなだけじゃなくて、桃ちゃんからは、『お兄ちゃんと結婚する』って、しょっちゅうプロポーズされてたけどな」
もうっ! 和田グループ長、それ今言う?
からかうように無邪気に笑っている和田グループ長から出た言葉に、白河君は目を見開いたままぐらりとよろめいた。
「ま……まさか……。ウソだろ? 桃花」
「いや、白河君、小さい子どもの時の話だからっ。
もうっ、目立つから立って!」
白河君は、力が抜けたように、がっくりと膝をついてうなだれている。
いろんな部署の人が集まる社員食堂で、イケメンが呆然自失となっていたら、そりゃあみんなの注目を集めちゃう。
「あれ、会長の孫?」
「白河伝説っていうあの新人?」
あちらこちらから、ヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
「グループ長、お先に失礼しますっ」
私は和田グループ長に断ると、無理やり白河君を引っ張って社食を出て、廊下の端にある非常階段の扉を開け、説教しようと振り返る。
「白河君っ、あんなに人がいるところで座り込んだらダメでしょ……んぶっ」
人感センサーで点灯したライトの下で、強く抱きしめられた。
聞いてるぞ。新人研修の3か月間だけで、成果をあげるなんてすごいよな」
白河君は握手には応えず、胡散臭そうに目を細めている。
「グループ長にしては、紅先輩……いや、桃花に馴れ馴れし過ぎませんか?」
和田グループ長を牽制するように、白河君は私の名前をあえて言い直した。
「さっき、肩に手を置いて何か耳元で言ってたでしょう。
今月来たばかりの上司と部下の距離感じゃないと思いますけど。
セクハラは、やめてください」
出たー。
白河君のコンプラ違反取り締まり。
「白河君、違うから。 セクハラじゃないから。
あっ、ごちそうさまでしたっ」
「はーい」
食器を返却口に返して、厨房から返事が来ると、白河君と和田グループ長の間に割って入る。
180㎝越えの2人に囲まれて、私は埋もれてしまった。
「桃花」
白河君は私の肩を後ろから抱きしめて、和田さんから離れる。
おいおい白河君よ。
社員で賑わっている社食の中で、抱きしめるのはコンプライアンス的に大丈夫なの?
周りで同じく返却口にトレイを戻す人や、近くの席に座って食べている人たちからもジロジロと見られた。
「和田グループ長は、小さい頃お隣に住んでたお兄さんだったの。
何でもないから、心配しないで」
注目を集め始めて恥ずかしくなりながら、そっと白河君の腕を外した。
「フフッ。ただ隣のお兄ちゃんなだけじゃなくて、桃ちゃんからは、『お兄ちゃんと結婚する』って、しょっちゅうプロポーズされてたけどな」
もうっ! 和田グループ長、それ今言う?
からかうように無邪気に笑っている和田グループ長から出た言葉に、白河君は目を見開いたままぐらりとよろめいた。
「ま……まさか……。ウソだろ? 桃花」
「いや、白河君、小さい子どもの時の話だからっ。
もうっ、目立つから立って!」
白河君は、力が抜けたように、がっくりと膝をついてうなだれている。
いろんな部署の人が集まる社員食堂で、イケメンが呆然自失となっていたら、そりゃあみんなの注目を集めちゃう。
「あれ、会長の孫?」
「白河伝説っていうあの新人?」
あちらこちらから、ヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
「グループ長、お先に失礼しますっ」
私は和田グループ長に断ると、無理やり白河君を引っ張って社食を出て、廊下の端にある非常階段の扉を開け、説教しようと振り返る。
「白河君っ、あんなに人がいるところで座り込んだらダメでしょ……んぶっ」
人感センサーで点灯したライトの下で、強く抱きしめられた。
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