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蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会ー5
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「紅先輩、いろいろ取ってきたから一緒に食べませんか?」
ビュッフェの料理をとって来てくれた白河君が、きれいに盛り付けた皿を私に差し出した。
「ありがとう、白河君」
さすが、白河君は気が利くな。
だけど歓迎会の主役に、気を遣わせちゃった。
「でも大丈夫、私幹事だから。
白河君がたくさん食べて飲んでね。
私もみんなが席を立たなくていいように、料理をとりに行こうかな」
ビュッフェコーナーの方へ目をやると、何人かの同僚が楽しそうに料理を選んでいるのが見える。
そっか、ビュッフェだし、食べるものを選ぶのも楽しみだよね。
せっかく白河君が料理取って来てくれたし、私もちょっと食べてから動くか。
みんなの食事や飲み物のペース配分を気にしつつ、なぜかしゅんとした無表情の白河君へもう一度お礼を言って、料理の乗ったお皿を受け取った。
すると、白河君は嬉しそうに顔をほころばせて、私の椅子を引いてくれる。
「白河君と、紅さんってさ、身長差がすごいよな」
私が椅子に腰かけると、その隣に白河君も座り、ずっと私たちの様子を見ていたひとつ後輩の畑田君が話しかけてきた。
「白河君って、身長何センチ?」
「187です」
「紅さんは?」
「……152センチ」
3㎝、サバを読んでしまった。
私の身長、本当は149㎝だから、白河君とは38㎝差か。
胸が大きすぎるのも悩みだけど、背が低いのもコンプレックスの一つ。
白河君が来た初日から思ってたけど、一緒に営業で街を歩いていると、相変わらず身長差で注目を集めている気がする。
自意識過剰かもしれないから気にしないように、とは思ってるんだけど。
仕事では結構歩くから、あんまり高いヒールも履けないし。
でも、多少高いヒールの靴を履いたとしても、白河君との身長差ではデコボコのままだろうな。
だって38㎝も差があるんだもん。
せめてあと10㎝、いや5㎝でも背が伸びてくれれば、子どもっぽく見られることも少なかったかもな。
「なんか身長のバランスが、お父さんと小学生の子どもみたいだよな」
畑田君は笑いながら、私のコンプレックスをつついてきた。
周りのみんなもそう思っているのか一緒になって笑っている。
「もう、ヤダなぁ、畑田君。
誰がお父さんなのよ! せめてお母さんにしてよ」
「いや、紅さんの方が小学生でしょ」
私がわざとボケると、畑田君は楽しそうにツッコんで、みんなも更にウケた。
こういういじりには慣れっこだ。
コンプレックスをわざと笑いものにされるのは、心の中でチクッと刺さるトゲみたいで、嫌な気分になる。
でもせっかくみんなが楽しんでいる雰囲気を崩せない。
まぁ、みんなが面白く、楽しくなってくれたらいいんだけどさ。
私が愛想笑いを浮かべていると、ドンっとビールジョッキをテーブルに置いた白河君が、畑田君を睨む。
「俺には紅先輩は、小学生には見えませんけど。
素敵な大人の女性です」
私をいじる雰囲気をぶった切った白河君は、完全に目が据わっている。
ビュッフェの料理をとって来てくれた白河君が、きれいに盛り付けた皿を私に差し出した。
「ありがとう、白河君」
さすが、白河君は気が利くな。
だけど歓迎会の主役に、気を遣わせちゃった。
「でも大丈夫、私幹事だから。
白河君がたくさん食べて飲んでね。
私もみんなが席を立たなくていいように、料理をとりに行こうかな」
ビュッフェコーナーの方へ目をやると、何人かの同僚が楽しそうに料理を選んでいるのが見える。
そっか、ビュッフェだし、食べるものを選ぶのも楽しみだよね。
せっかく白河君が料理取って来てくれたし、私もちょっと食べてから動くか。
みんなの食事や飲み物のペース配分を気にしつつ、なぜかしゅんとした無表情の白河君へもう一度お礼を言って、料理の乗ったお皿を受け取った。
すると、白河君は嬉しそうに顔をほころばせて、私の椅子を引いてくれる。
「白河君と、紅さんってさ、身長差がすごいよな」
私が椅子に腰かけると、その隣に白河君も座り、ずっと私たちの様子を見ていたひとつ後輩の畑田君が話しかけてきた。
「白河君って、身長何センチ?」
「187です」
「紅さんは?」
「……152センチ」
3㎝、サバを読んでしまった。
私の身長、本当は149㎝だから、白河君とは38㎝差か。
胸が大きすぎるのも悩みだけど、背が低いのもコンプレックスの一つ。
白河君が来た初日から思ってたけど、一緒に営業で街を歩いていると、相変わらず身長差で注目を集めている気がする。
自意識過剰かもしれないから気にしないように、とは思ってるんだけど。
仕事では結構歩くから、あんまり高いヒールも履けないし。
でも、多少高いヒールの靴を履いたとしても、白河君との身長差ではデコボコのままだろうな。
だって38㎝も差があるんだもん。
せめてあと10㎝、いや5㎝でも背が伸びてくれれば、子どもっぽく見られることも少なかったかもな。
「なんか身長のバランスが、お父さんと小学生の子どもみたいだよな」
畑田君は笑いながら、私のコンプレックスをつついてきた。
周りのみんなもそう思っているのか一緒になって笑っている。
「もう、ヤダなぁ、畑田君。
誰がお父さんなのよ! せめてお母さんにしてよ」
「いや、紅さんの方が小学生でしょ」
私がわざとボケると、畑田君は楽しそうにツッコんで、みんなも更にウケた。
こういういじりには慣れっこだ。
コンプレックスをわざと笑いものにされるのは、心の中でチクッと刺さるトゲみたいで、嫌な気分になる。
でもせっかくみんなが楽しんでいる雰囲気を崩せない。
まぁ、みんなが面白く、楽しくなってくれたらいいんだけどさ。
私が愛想笑いを浮かべていると、ドンっとビールジョッキをテーブルに置いた白河君が、畑田君を睨む。
「俺には紅先輩は、小学生には見えませんけど。
素敵な大人の女性です」
私をいじる雰囲気をぶった切った白河君は、完全に目が据わっている。
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