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蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会ー3
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そういえば会長の子ども、つまり白河君の親御さんってどうしてるんだろう?
レイエスフーズの社内には会長の親族って、たしかいないはずだ。
「ね、聞いてもいい?
白河君って、会長のお孫さんだから、この会社を継ぐつもりで入社したの?
ご両親って、何の仕事されてるの?」
ちょっと聞いてみたかった質問をぶつけてみる。
「いえ、じいちゃん……祖父は期待してるみたいですけど、特に会社を継ごうとか、出世とかは考えてなくて。
……だけど、上司か……」
最後はつぶやくように言った白河君はシャープな顎に手を当てて、固まってしまった。
あれ? 私、なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃった?
黙りこんでしまった白河君に、ちょっと申し訳なくなる。
白河会長の孫だってことを隠しておきたかったみたいだし、たった1週間、厳密には5日間くらい仕事を一緒にした程度では、聞いちゃいけない事だったのかもしれない。
もしかして、白河君にとって家族の話はNG質問?
「ごめん、なんか立ち入ったことを聞いちゃったみたいで……」
私は下を向いて白河君に謝った。
「いえ、紅先輩、全然大丈夫です」
白河君は顎に当てた手を外して、フッと微笑み長い指でグラスを軽く持つ。
「俺の父は公務員……外交官で、母は専業主婦です。
父の仕事で、子どもの頃は海外で暮らしたこともありました」
意外な答えに驚いた私は、グラスを傾けてアイスコーヒーを飲む、白河君のきれいな喉仏がゴクリと動くのを見ていた。
「父は公務員なので、民間の企業には関われないんです。
そうでなくても祖父と、父は折り合いが悪くて。
父からは会社を継ぎたくなかったから、祖父とは違う道を歩んだと聞いたことがあります」
税金対策で、親族が企業の役員になるっていうのは、よく聞く話だけど。
そっか、白河君のお父さんって外交官なんだ。
公務員ってたしか、企業の役員とかになっちゃいけないんだっけ?
白河君のおじいちゃんである会長と、お父さんって仲が悪かったんだ。
会社の裏事情を知った気がして、へぇーって思わず声が出る。
「海外って、どこにいたの?」
「生まれたのはオーストリアのウィーンで3歳までいて、日本に帰ってきました。
そしてまた今度はイギリスに、小学校3年から中2までいました。
それからは、もう父の転勤にはついていかずに、日本に住んでいます」
白河君の仕草が、レディーファーストなのが頷ける。
ずっと日本で育った男性と、どこか違う気がするんだ。
レイエスフーズの社内には会長の親族って、たしかいないはずだ。
「ね、聞いてもいい?
白河君って、会長のお孫さんだから、この会社を継ぐつもりで入社したの?
ご両親って、何の仕事されてるの?」
ちょっと聞いてみたかった質問をぶつけてみる。
「いえ、じいちゃん……祖父は期待してるみたいですけど、特に会社を継ごうとか、出世とかは考えてなくて。
……だけど、上司か……」
最後はつぶやくように言った白河君はシャープな顎に手を当てて、固まってしまった。
あれ? 私、なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃった?
黙りこんでしまった白河君に、ちょっと申し訳なくなる。
白河会長の孫だってことを隠しておきたかったみたいだし、たった1週間、厳密には5日間くらい仕事を一緒にした程度では、聞いちゃいけない事だったのかもしれない。
もしかして、白河君にとって家族の話はNG質問?
「ごめん、なんか立ち入ったことを聞いちゃったみたいで……」
私は下を向いて白河君に謝った。
「いえ、紅先輩、全然大丈夫です」
白河君は顎に当てた手を外して、フッと微笑み長い指でグラスを軽く持つ。
「俺の父は公務員……外交官で、母は専業主婦です。
父の仕事で、子どもの頃は海外で暮らしたこともありました」
意外な答えに驚いた私は、グラスを傾けてアイスコーヒーを飲む、白河君のきれいな喉仏がゴクリと動くのを見ていた。
「父は公務員なので、民間の企業には関われないんです。
そうでなくても祖父と、父は折り合いが悪くて。
父からは会社を継ぎたくなかったから、祖父とは違う道を歩んだと聞いたことがあります」
税金対策で、親族が企業の役員になるっていうのは、よく聞く話だけど。
そっか、白河君のお父さんって外交官なんだ。
公務員ってたしか、企業の役員とかになっちゃいけないんだっけ?
白河君のおじいちゃんである会長と、お父さんって仲が悪かったんだ。
会社の裏事情を知った気がして、へぇーって思わず声が出る。
「海外って、どこにいたの?」
「生まれたのはオーストリアのウィーンで3歳までいて、日本に帰ってきました。
そしてまた今度はイギリスに、小学校3年から中2までいました。
それからは、もう父の転勤にはついていかずに、日本に住んでいます」
白河君の仕草が、レディーファーストなのが頷ける。
ずっと日本で育った男性と、どこか違う気がするんだ。
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