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ロイスには俺がしたい ※

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 ふんっと気合を入れて脱がせたガウンの中は、それはそれは驚くほど美しい肉体美が隠されていた。
 ど、どうしよう。ここからどうすれば?厚い胸板をさわさわと撫でながらかちこちに固まってしまった俺を見て、ロイスがふわりと笑う。

「リトおいで」

 両腕を伸ばして誘うので、そのまま腕に飛び込んだ。頭を撫でられながら、また甘やかなキスをされる。一応俺が上に乗ってるけど、リードしてくれてるのはロイスの方だ。
 ロイスの舌は分厚くて熱い。唾液を交換するように深いキスを繰り返していると、跨った両足の間でロイスのものがはっきりと主張しはじめた。お尻にごりっと硬い感触がする。
 甘い花の蜜に誘われるように、自分がされて気持ち良かったことを思い出しながら服の上からそっとそれを撫でてみる。ぴくりとロイスが反応したのに気を良くして、下穿きの中に手を入れた。
 自分の倍はありそうな太さのそれを優しく握りしめて、先端から溢れる透明な液体を手に絡めながらくちくちと上下に動かしてみた。

「っっ……、リトっ」

 目元を赤く染めて苦しそうに眉を顰めたロイスが、超絶に色っぽい声で俺の名前を呼んだ。普段かっちりとして清廉潔白を絵に描いたような男が、俺にちんこ握られて甘く呻いてる。うわ、なんだこれ……すごいどきどきする。なんか新しい扉が開きそうだ。
 その顔を一瞬も見逃したくなくてじっと眺めていると、ロイスがますます赤くなって顔を逸らした。え、可愛い。俺、この人をもっとめちゃくちゃに乱してみたい。

「ロイス、俺初めてだから……下手くそかもしれないけど」

 ごめんね、と先に謝っておく。下穿きをずらすと、ぶるんと飛び出す立派なブツに思わず目を見開いて固まってしまった。大きい……この世界ってみんなここも大きいの?俺が小さいとは考えたくない、うん、みんなが大きいんだ。きっとそうだ。

「あ、忘れるところだった」

 実は夕方セバスチャンを探し出してちょっと相談してたんだ。ほら、俺ってそっちの知識がないだろ?だから、夜の行為で攻める際に必要なものがあれば教えて欲しいって。今夜は俺がしてみたいって思ってたからさ。
 恥を忍んで頼み込む俺に『ふむ』と首を傾げたセバスチャンは訳知り顔で頷いた。『ロイス様に全てお任せして問題ないかとは思いますが』と言いながらも、良い物を至急用意してくれたんだ。
 じゃーんという効果音がつきそうな勢いで、ベッドサイドの棚の引き出しからそれを取り出す。

「見て、これセバスチャンに用意してもらったんだ」

 それは透明な小瓶に入ったピンク色の液体だった。セバスチャンにどう使うか聞こうとしたら『ほほほ。ぜひロイス様にお尋ねください。ほほほ』と言われたけど、とろとろしてて良い匂いもするから体に塗る香油かな?って思ったんだ。

「リト……それは?」

 ロイスが怪訝な顔で俺の手から瓶を受け取って蓋を開けて匂いを嗅ぐ。

「……これをセバスチャンに?リトはこれが何か知ってるのか?」
「え?マッサージに使う香油だろ?」
「似ているが少し違う」
「そうなのか?これ使って、今日は俺がロイスをいっぱい気持ち良くしてあげようと思ってたんだけど」
「リトが?これを私に?」

 ロイスはますます変な顔になって、それから理解したというように頷いて小瓶を棚の中に戻してしまった。あ、何するんだよ。せっかくそれ使ってやろうと思ったのに。
 仕方なく、オイルは無しでそのままかぷりと先端を口に含んでみると、ロイスがびくりと震えた。我慢汁が苦くて不味いはずなのに、ロイスのだって思うと嫌じゃない。

「リト、それはっ!」

 ロイスがもがいて必死で止めようとするけど、口に含んだままイヤイヤと首を振る。今日は俺がしたいんだ。それにロイスだって気持ちよさそうじゃん。
 ちゅっちゅっと先端を吸いながら、口だけじゃ収まりきらないから両手で陰茎の根元を握って上下にしごく。唾液の力も借りて喉の奥の方まで迎えたら、生理的な涙が溢れてきた。苦しいのに、でもロイスに気持ち良くなってほしくて止められない。

「ろいす、ひもひいい?」

 確かめたくて口に含んだまま見上げると、目が合った瞬間ロイスが「ぐっ」と呻いた。うん、顔が真っ赤で気持ち良さそうだ。
 口の中で陰茎が一際硬く大きくなって、ロイスが慌てた様子で俺を止めようとする。やめたくないから頑張ってしがみついて喉奥まで迎え入れるとロイスが呻くのと同時になにかが弾けた。喉奥に、苦い味が広がって思わず咽せてしまう。

「げほっごほっ」
「リトっ」

 ロイスが青い顔をして俺を抱き上げて背中をさする。

「すまないリト」
「ちがっ、いいん、だ。けほっ」

 上手に飲めなかったのが悔しくて悲しい。でも……。

「ロイス気持ちよかった?えへへ」

 イってくれたってことは、気持ち良かったってことだよな?え、なにこれ嬉しい。圧倒的な幸福感で目の前がくらくらする。

「今度はもっと上手にできるようになるから」
「リト……」

 髪を撫でられて、ロイスの顔を見上げると泣きそうな笑顔でキスをされた。

「リト、ありがとう。とても気持ち良かった」

 ちゃんと言葉にしてくれる。ロイスのこういう生真面目なところが好きだ。
 そのまま満足してロイスの厚い胸板に頬をよせて微睡んでいると、ロイスが良い笑顔で俺の頬をつついてきた。

「私にもお返しをさせてほしい」
「え?」
「私もリトに触れたいんだ。駄目か?」

 眉を八の字にして見つめられたら、駄目とは言えない。さっきまでの色気はどこへやら、急に大型犬になるのはやめてほしい。

「だ、駄目じゃないけど」

 本当に別にイヤなわけじゃないんだけど、触られるといつも訳がわからなくなっちゃうから。

 ロイスの膝の上で抱っこされたまま、服を脱がされていく。すーすーする胸元にロイスが顔を寄せて、そのまま乳首をゆっくりと舐められた。ロイスの頭を抱えて刺激に耐えるけど、昨夜オーランドにさんざん虐められて敏感になってしまったそこはすぐに硬くぷっくりと主張しはじめた。

「ああ、可愛いな」

 ロイスが堪えきれないというように呟くと、乳首を舐めながら下も触られる。ふわりと横たえられたかと思うと、さっき俺がしたように痛いくらい硬くなった陰茎を躊躇なく一気に口に含まれた。いきなり根元まで食べられて「あぅっ」と呻き声がもれる。今日はちょっと余裕を残しておきたかったのに、早々に白旗を上げてしまいそうだ。

「あっあっ……ロイスっ、そこダメっ」

 うぅ、俺のはロイスの口の中に簡単に収まってしまうサイズなのか、ロイスの口がでかいのか、根元まで全部食べられてしまって強く吸われたらたまらない。びくびくと体を震わせながら何とか耐えるけど、息が上がって血液が一点に集中していくのがわかる。
 口の中で器用に舌が動き回っている。俺の拙い動きなんかとは比べ物にならないほど上手くて気持ちいい。

「ああっ、ひゃあっ」

 喘ぎ声と悲鳴の間みたいな声が出る。イクのを我慢しようとすればするほど気持ち良くなってきてしまうのは何故だろう。

「ロイスぅ」

 顔を押して逃げようともがいたら、両手を一纏めに持たれて抵抗できなくされる。

「イっちゃ…──っっ!」

 ロイスのを舐めながら興奮してしまっていたのか、俺は呆気なくイってしまった。しかも「飲まなくていいよ」って言ったのにロイスまで俺のを飲んでしまったから顔を真っ赤にするしかない。

「リトも私のを飲んでくれただろ?」
「そ、それはそうだけどっ」

 こういうのって自分はいいけど、相手にされると申し訳なく思っちゃうものだよな。
 ロイスはちゅっとキスをしてから、サイドテーブルから例の小瓶を取り出した。

「リト、これ使ってみようか」
「うん、いいよ」

 俺はそれをロイスに使うつもりで頷いたのだが、くるりと体をひっくり返されてハテナマークを飛ばす。はて?俺は何をされるんだろう?
 四つん這いのような格好になって、お尻が突き出してしまう。待って、これ後ろにいるロイスに色々丸見えになってしまってるんじゃないか?

「これはここに使うものなんだ」
「ひゃっ」

 ここと言われたのはお尻の穴だった。え?そこに何をどう使うんだ?
 ロイスにお尻を突き出したまま振り返ると、小瓶からピンクの液体を手に出してる所だった。それを両手で温めて、俺の尻の穴に塗りつける。

「な、何でそんなところを?」
「ここで繋がる為だよ」
「繋がる……」

 男女のセックスと男同士のセックスを重ね合わせてみる。そうだよな、挿れるには穴が必要で、それはつまり俺の尻の穴になるってこと?
 俺は思わず慌てて振り返って、ロイスのちんこを凝視した。あれを挿れるのか?ここに?

「そ、そんなにでかいの入らないっ!」

 思わず叫んでしまった。そんなの挿れたら裂けちゃうよ。

「リト……そんなに煽らないでくれ」

 何でだ。まったく煽ってないぞ。涙目になってロイスを見上げたら、眉を下げて困ったように微笑まれた。そんな砂糖菓子のように甘い顔をしたって今は絆されてやらないぞ。俺の尻の穴が裂けちゃうんだから。

「今夜は最後までしないよ」
「そうなのか?」
「ああ、リトのは小さすぎるからな、少しづつ慣らしていこう」

 励ますように言われても怖すぎるんだが……あのさ、とロイスに提案してみる。

「俺がロイスにするのはダメなのか?」
「リトが?……私に?」

 鳩が豆鉄砲を食ったような顔で動きを止めたロイスが、心底困った顔でそれでも頷いてくれた。

「リトがそうしたいなら私はそれでもかまわないよ」

 よくよく考えてみる。俺が、この大きな体の男を抱く所を想像してみるが、うまく想像できない。そもそもどうやるのかもわからないし、それに……俺はどうやらロイスに抱かれたいみたいだ。

「ううん、やっぱりいい。このままで……俺はロイスに抱かれたい」
「リト」

 ロイスが感極まって抱きしめてきて、キスをしながらお尻をやわやわと揉む。最初は穴の周りをくるくる撫でていた指がつぷりと侵入してきた。それだけですごい圧迫感だ。

「このオイルは相手が初めての時に使うものだ。洗浄作用のあるハーブが入っていて、それから痛みを軽減する為に弱い催淫効果のあるハーブも含まれている。体に影響のない最高級品だから安心して」

 説明しながらも、俺の中をロイスの長い指が何かを探るように動き回っている。変な感じだけど、確かに痛みはない。それに体がじんわりと温かくなってきたような気もする。

「んんっ……」

 ロイスの指がある一点を掠めた瞬間、今まで感じたことがない種類の刺激が全身を駆け巡った。何だ今の?

「……ここか」

 ロイスが低く呟いて、その一点ばかりを攻めはじめた。背骨がびりびりして、声が抑えられない。

「にゃっにっ?そこっ、変っ……あっ、ああっ!」

 尿意に似た感覚だけど、少し違う。イきたいのにイけないもどかしさに、お尻を揺らして涙を流した。

「ロイスぅ、それっ、んんっ、辛いぃ」
「ここだけではまだイケないな。こっちの感覚に集中して」

 ロイスが覆い被さってきて、俺の立ち上がった陰茎を掴んでしごく。同時に尻の中のびりびりする所を何度も指で押されて、がくがくと痙攣しながらイってしまった。今までの比にならないくらいの強い快感に体の震えが止まらない。

「ひゃあっ、ロイスっ、いやだぁっ」

 まだとくとくと性液を吐き出しているのに、その根元をきゅっと握られて、今度はお尻の中の刺激だけを与えられる。

「ここは前立腺というんだ。リトが気持ち良くなれる場所だよ」

 説明する声は優しいのに、やっていることは全然優しくない。逃げようとしても腰を固定されていて逃げられない。

「指を増やすぞ。痛くしないから力を抜いて」

 背中を舐められてゆみなりに反ってお尻をますます突き出してしまう。ぐりぐりと前立腺という場所をマッサージするように揉まれて、悲鳴がもれた。指の圧迫感が増えて、その分その部分への刺激も強くなる。

「ああっ……あっ…ひぁっんん…──!」

 イった感覚がしたのに、前は根元を握られたままだから何も出ていない。ものすごい快楽に全身の震えが止まらなくなった。
 やっとロイスに解放された俺の陰茎からは、とくとくと性液が垂れ流しになっている。

「俺のちんこ壊れたぁ」

 泣きながらロイスに縋りつくと、壊れてないよと優しく抱きしめられる。ロイスめ、優しい顔してやる事は一番えげつなくないか?
 瞼がだんだん重くなっていく。

「リト、愛している」

 俺も愛してるって言おうとしたのに、もう指一本動かせないからへへっと笑って目を閉じた。
 あれ、今日は俺がロイスに色々するつもりだったのに、結局はロイスに色々されて終わったな。無念だ!

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