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8月1日
宣告
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フカフカのベッド、快適な温度に湿度、多少のアルコールの匂い。
インドア派の僕にとっては快適な空間そのものだ。文句を言うとするならば夏を激しく主張する蝉に対してぐらいだろう。
「堕落した 僕を急がす 蝉の声.....」
くだらない俳句を読みながら自身が病院にいることに気がついた。
なにがあったのか、なぜ病院で寝てるのか、今日が何日なのかすら分からず困惑しているうちに、いつの間にか祖母と医師に囲まれていた。
意識がしっかりしているのか、身体に異変はないのか、たぶんそんな感じの話だったと思う。ただただ僕は機械的に返事をしただけだった。
事実パニックを起こしているだけで、僕自身なにも身体に異常はなく元気そのものだった。
そう、異常がなかったからこそ医師の質問の意図がわからず更にパニックになっていたのだ。
そのうち医師は祖母に席を外すように言い深刻そうな顔をして、こう言い放った
「君は蝉になってしまった。」
わけがわからなかった、自身の手足を確認しポカンとした顔で医師を見つめていると続けて説明を長々とされたが、難しい言葉が多く理解ができない部分が多かった。いや、難しい言葉が多いは事実だったが、とてもリアルじゃなく理解できなかったと言う方が適切かもしれない。
要点をまとめるとこうだ
・「蝉」と言う病気で余命7日
・「蝉」は原因が不明で治療法が無い
・現在の身体は健康そのもの
身体が健康そのものなのに、余命7日の病気と診断されるのに納得ができない。と、思った矢先、その解答を医師は提示した。
それは、僕の抜け殻の写真だった。
驚くもので、ありえないことが立て続けに起こると逆に冷静になるもので、写真右下にある日付が僕の18歳の誕生日であることに気がついた。
「つまり人で言う成人が、蝉でいうところの成虫ってことですね」
僕はおどけるように言ったが医師はただただ目を伏せるだけだった。
さっきまで、正確には2日前まで進路希望を考えていたのに、その進路があと今日を含めて7日しか無いのだ。笑えた話だ。特に夢もなにもなかったはずなのに不思議と涙が溢れでる。
ニヤケ顔で涙を流す僕が見るに耐えなかったのか
「残りの人生悔いの残らぬように」
とだけ言い残し医師は部屋を出ていった。
インドア派の僕にとっては快適な空間そのものだ。文句を言うとするならば夏を激しく主張する蝉に対してぐらいだろう。
「堕落した 僕を急がす 蝉の声.....」
くだらない俳句を読みながら自身が病院にいることに気がついた。
なにがあったのか、なぜ病院で寝てるのか、今日が何日なのかすら分からず困惑しているうちに、いつの間にか祖母と医師に囲まれていた。
意識がしっかりしているのか、身体に異変はないのか、たぶんそんな感じの話だったと思う。ただただ僕は機械的に返事をしただけだった。
事実パニックを起こしているだけで、僕自身なにも身体に異常はなく元気そのものだった。
そう、異常がなかったからこそ医師の質問の意図がわからず更にパニックになっていたのだ。
そのうち医師は祖母に席を外すように言い深刻そうな顔をして、こう言い放った
「君は蝉になってしまった。」
わけがわからなかった、自身の手足を確認しポカンとした顔で医師を見つめていると続けて説明を長々とされたが、難しい言葉が多く理解ができない部分が多かった。いや、難しい言葉が多いは事実だったが、とてもリアルじゃなく理解できなかったと言う方が適切かもしれない。
要点をまとめるとこうだ
・「蝉」と言う病気で余命7日
・「蝉」は原因が不明で治療法が無い
・現在の身体は健康そのもの
身体が健康そのものなのに、余命7日の病気と診断されるのに納得ができない。と、思った矢先、その解答を医師は提示した。
それは、僕の抜け殻の写真だった。
驚くもので、ありえないことが立て続けに起こると逆に冷静になるもので、写真右下にある日付が僕の18歳の誕生日であることに気がついた。
「つまり人で言う成人が、蝉でいうところの成虫ってことですね」
僕はおどけるように言ったが医師はただただ目を伏せるだけだった。
さっきまで、正確には2日前まで進路希望を考えていたのに、その進路があと今日を含めて7日しか無いのだ。笑えた話だ。特に夢もなにもなかったはずなのに不思議と涙が溢れでる。
ニヤケ顔で涙を流す僕が見るに耐えなかったのか
「残りの人生悔いの残らぬように」
とだけ言い残し医師は部屋を出ていった。
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