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第一章 始まりの館

Chapter116 お揃いのパーカー

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 少し曇り空の星の日。
アルシャインは朝早くに目を覚ます。
「ん…寒…」
まだ薄手の毛布を掛けて寝ていたので寒く感じたのかと思ったが、朝晩はすっかり秋めいていたようだ。
ショールを羽織って顔を洗いに外に出ると、寒く感じた。
「…明日から10月だもの…寒い筈よね~…そろそろお布団出さないと」
綿の掛け布団は倉庫として使っている部屋にしまってある。
ついでに雑草取りと花の手入れと水やりをしてから中に入ると、カシアンが下りてきた。
「おはようアイシャ」
「おはようカシアン、早いのね」
笑って言い、アルシャインはかまどに火を入れてお湯を沸かす。
「やっと涼しくなったな」
カシアンが言いながらコーヒー豆をコーヒーミルに入れる。
「そうね、ちょっと肌寒いわ」
「そうか?」
カシアンはキョトンとして言い、腕をさすっているアルシャインを見て納得する。
「何か厚手の上着を着たらどうだい?」
「…今、作ってるのよ…。薄めのパーカーなら作ってあるんだけど、コートは厚手だから手間取っちゃって…」
アルシャインは苦笑して言い、コーヒーを淹れる。
「おはようマスター。なら古着屋で買う?」
下りてきたノアセルジオが聞く。
「おはようノア。古着屋だと高いし…もう少しで出来るから、みんなが起きる前に作るわ」
笑顔で答えて、アルシャインはカシアンとノアセルジオにコーヒーを注いでカップを置くと、自分の分のカップを手にミシン部屋に向かった。
残されたカシアンは冷凍庫の肉を確認してからコーヒーを飲み、ノアセルジオはカウンター席に座って胸ポケットから手帳を出して見ながらコーヒーを飲む。
「やっと涼しくなったね」
ノアセルジオが言うと、カシアンはテーブル席に座って庭を眺めながら答える。
「そうだな」
「…カシアンってさ、ジュドーとかリオンには優しいよね」
「……え?」
カシアンは目を丸くしてノアセルジオを見る。
ノアセルジオはイタズラっぽい笑みを浮かべて、ニワトリ小屋の世話をしに外に出た。
「…なんだ?」
カシアンが首を傾げていると、リュカシオンが大きな箱を手に下りてくる。
「おはようカシアン」
「おう、おはようリオン。その箱は?」
「メニューを書く板だよ」
そう言ってリュカシオンは箱をテーブルに置いて、中から磨き上げたメニューの板を出して、壁に2枚並べてみる。
「…こんな感じかな…どう?」
「うん、いいんじゃないか?文字はどうするって?」
「マスターが書くんだよ」
言いながらリュカシオンは座って板にヤスリを掛ける。
カシアンは新たにコーヒーを淹れながら聞く。
「焼印は?文字のもあるだろ」
「マスターの文字ってキレイじゃん?だから書いてもらってそれを彫って黒くしようかなって…。今は魔石を使ったバーニングツールもあるから、使ってみたいけど難しいし高いし…。でも彫るよりコーティングするのもいいかな…」
「色々考えてるんだな」
笑ってそう言い、カシアンはリュカシオンの側にコーヒーの入ったカップを置く。
「そりゃ…仕事だし…何より、役に立ちたいじゃないか」
そう照れながらリュカシオンが言うので、カシアンは笑ってぐしゃぐしゃとリュカシオンの頭を撫でた。
「なんだよ、やめろよ~!」
「お前が可愛い事言うからだ」
そうじゃれ合っている所にマリアンナが駆け足で下りてくる。
「寒ーい!やだもう、綿布団どこだっけ?!」
「2階の倉庫だよ。…お客さんも寒いかな…どう思う?」
ノアセルジオが聞くと、戻ってきたアルシャインが頷く。
「みんなで交換してくれる?一応、客室の毛布は畳んでソファーに置いといてね、丁度いいって人もいるだろうから」
「了解」
そう答えてカシアンが先に2階に上がるので、ノアセルジオとリュカシオンも続いた。
「おはようアイシャママ!ミルクは?」とマリアンナ。
「まだよー、ニワトリの世話を先にしてきてたの。お願いね」
「はーい」
答えてマリアンナはミュージ小屋に向かう。
そのすぐ後からフィナアリスとアルベルティーナとリナメイシーとユスヘルディナ、ルベルジュノーとレオリアムとオルランドも下りてくる。
みんなは
「おはよう」
と挨拶をして顔を洗いに行ってから、ミュージ小屋や馬小屋、畑に向かう。
アルシャインはみんなに
「おはよう!」
と返事をしてから2階のミシン部屋に向かった。

「あれ?アイシャママは?」
2階から下りてきたベアトリスが聞く。
すると伝票のチェックをしていたノアセルジオが答える。
「2階のミシン部屋だよ。もうすぐ朝ご飯だから降りてくるよ。ヴェーチェも顔を洗っておいで」
「はぁい」
答えてベアトリスが目をこすりながら井戸に行くと、ティナジゼルとクリストフとメルヒオールもやってきて共に顔を洗った。
「また起きれなかった…みんなと一緒に起きようと思ったのに」
メルヒオールが呟くと、クリストフも頷く。
「つい、人形のブレスレット作りに熱中しちゃったからね…」
「いいの出来た?」
そうティナジゼルが聞くと、クリストフとメルヒオールが笑って頷いた。
「うん!花のネックレスも作れたから、後でカゴに入れとくんだ!」
そう話しながら中に入ると、アルシャインがバタバタと2階から駆け下りてきた。
「ヤダ、もう朝食の時間じゃないの!今作るから…」
そう言い掛け、キッチンで朝食の準備をしていたフィナアリスとアルベルティーナとルーベンスがテーブルに料理を並べているのが見えてアルシャインはホッとする。
「ありがとう…手伝わなくてごめんね」
アルシャインがそう言いながらカランクスの照り焼きの皿を持とうとすると、それをカシアンが運んでいった。
「アイシャは座ってなよ」
「そうそう、早く食べて!スープはね、残ってたムール貝を細かくしてシーフードでシチューにしたの!」
笑ってアルベルティーナが言い、アルシャインを押して椅子に座らせた。
「まあ美味しそう!それじゃあ…いただきまーす♪」
揃ったみんなとそう言ってから食べる。
「お味噌のディップもあるから使ってね」
フィナアリスが小皿に用意した味噌のディップを中央に置いていく。
「揚げたてのアジフライ!熱いから気を付けて!」
ルーベンスが小皿にアジフライを配っていく。
「タルタルソース作ったから使ってね!」
その後ろからリナメイシーがタルタルソースを配った。
「ん~美味しい!」とアルシャイン。
「味噌とカランクスも合うよ、味噌煮込みも捨てがたかったから嬉しいな」とレオリアム。
「今日は星の日だからトーマスさんも漁はお休みかな」
そうクリストフが聞くと、リュカシオンが頷く。
「星の日は、家族の分しか取っちゃいけない決まりらしいよ。魚も狩りもね」
「お店はやってるよ?」とティナジゼル。
「お店は開けても大丈夫なんだよ。ただ、ほとんどは閉まってるから、その分屋台とかが繁盛するんだよ」
そうノアセルジオがシチューのおかわりをしながら答える。
「布屋さんは開いてる?」
ふいに不安になったマリアンナが聞くと、アルシャインが笑って答える。
「開いてるわ。後は古着屋さんも開いてるし…あ、コートはもう少し待ってね!その代わり、ちょっと薄手のパーカーを作ってあるの!後で持ってくるからね」
「わあ、楽しみ!」
ユスヘルディナやリナメイシー、マリアンナやアルベルティーナが喜んで言う。


「はい、並んで!」
食後に、アルシャインは全員分のパーカーをテーブルに置いて言う。
パーカーの左胸には、黄色い羊が刺繍してあった。
みんなは横2列になって並んだ。
するとアルシャインはカーキ色のパーカーをリュカシオンに渡す。
「はいリオンのよ」
「ありがとう…わ、鉄のボタン?!カッコいい!」
言いながらリュカシオンはお礼のハグをしてから、早速パーカーを着る。
次にネイビーブルーのパーカーをレオリアムに渡す。
「はい、レアムのね」
「あ…僕のは木のボタンだ。すごいオシャレだね!ありがとう!」
そう言いレオリアムはアルシャインにハグをしてからパーカーを着てリュカシオンと共にドアの方に行きながら話す。
次にアルシャインはグラスグリーン色のパーカーをルベルジュノーに渡す。
「はいジュドーのよ」
「…ありがとう…緑系は初めてだな…似合うかな?」
「似合うわよ。その色なら自然の中でも溶け込めるでしょ?狩りにいいかなーって!」
「確かに!ありがとうマスター!」
ルベルジュノーもやっと笑顔で言ってハグをしてパーカーを着て、リュカシオンとレオリアムの所に行く。
次にアルシャインはオレンジ色のパーカーをクリストフに渡す。
「はい、リフのよ」
「お日さま色だ!ありがとう!」
クリストフはアルシャインにハグをしてキスをしてお礼をしてから、パーカーを着て3人の所に行く。
次にブルーのパーカーをメルヒオールに渡す。
「はい、メルのよ」
「青空にとけるね!ありがとう!」
笑って言い、メルヒオールもアルシャインにハグとキスをしてからパーカーを着て、みんなと見せ合った。
アルシャインは次にサーモンピンクのパーカーをティナジゼルに渡す。
「はい、ナージィのよ」
「わあ!この色好きな色だ!ありがとうアイシャママ!」
「ふふ…」
ティナジゼルもハグとキスをしてから、パーカーを手にみんなの所に行き、レオリアムに着せて貰う。
次にアップルグリーン色のパーカーをベアトリスに渡す。
「はい、ヴェーチェに!まだ好みが分からなかったけど…そのこげ茶の髪の色に映えると思ったの…どうかな?」
微笑んで聞くと、ベアトリスは満面の笑みでアルシャインに抱き着く。
「ありがとうアイシャママ!大事にする!」
そう言ってベアトリスはみんなの所に行ってパーカーを着せてもらい、クルクル回って見せていた。
すっかり元気になったベアトリスを見て安心しながら、アルシャインはローズレッドのパーカーをマリアンナに渡す。
「はい、アンヌに。ローズパイロットの色よ」
「ありがとうアイシャママ!」
マリアンナはアルシャインにハグとキスをしてからパーカーを着て、みんなの元に自慢をしに行く。
それを見送りながら、次にウルトラマリン色のパーカーをリナメイシーに渡す。
「はい、リーナのよ」
「私の好きな色!ありがとう!」
リナメイシーもアルシャインにハグとキスをしてパーカーを着ると、みんなの所に行って見せ合う。
次にオリーブ色のパーカーをアルベルティーナに渡す。
「はい、ティーナの」
「色んな服に合いそう!ありがとう、アイシャママ!」
そう言ってアルベルティーナはアルシャインにハグとキスをしてからみんなの所に行ってパーカーを着て褒め合う。
次にライラック色のパーカーをユスヘルディナに渡す。
「はい、ユナのよ」
「わあ…これ好きな色だし、スチークスも好きな色よ!すごいわアイシャママ!」
「あら偶然だわ…良かった」
「ありがとう!」
ユスヘルディナはギュッとアルシャインにハグをしてから頬にキスをし、パーカーを着ながらみんなの所に行く。
アルシャインは次にコスモス色のパーカーをフィナアリスに渡す。
「はい、ナリスのよ」
「わぁ…こういう色、大好きなの知ってるのね!ありがとうアイシャママ!」
フィナアリスは嬉しそうに笑ってハグとキスをしてからパーカーを着て、みんなの所に行く。
次にアルシャインはミスト色のパーカーをノアセルジオに渡す。
「はい、ノアに」
「僕まで…ありがとうマスター。大切に着るね」
ノアセルジオはアルシャインにハグをしてからパーカーを着て、みんなの所に行く。
次にアルシャインはココア色のパーカーをルーベンスに渡す。
「はい、ルースに」
「……いいの?他の色じゃなく?」
「あら嫌いだった?茶系や赤紫って好んで着てなかった?」
「好きだよ、うん、ありがとうマスター!すごく気に入った!」
ルーベンスは笑ってアルシャインにハグをして、みんなの所に行ってパーカーを着て見せ合う。
次にダックブルーのパーカーをオルランドに渡す。
「はい、オルディに。…こういう色は好きかしら?」
「うん、こんな深い青は好きだよ…ありがとうマスター!」
オルランドはにっこり笑って照れながらハグをして、パーカーを着ながらみんなの所に行く。
テーブルに残ったのはアンバーローズ色のパーカーとアイビーグレイのパーカー…。
「カシアンはどっちが好き?」
「…え?」
カシアンはみんなを微笑ましく見ていたので驚き、テーブルを見てキョトンとする。
「え?俺にも?!」
「…アイビーグレイが似合うと思ったけど…要らないなら…」
言い掛けるとカシアンが走ってきて、アイビーグレイのパーカーを手にする。
「要る!欲しい!ありがとう!」
「何よそのカタコト!もう…着てみて」
言いながらアルシャインはアンバーローズのパーカーを着て木のボタンを留める。
カシアンはアイビーグレイのパーカーを着て鉄のボタンを留めてみた。
「似合うかな?」
「似合う似合う!みんなも似合うわ~!」
笑いながらアルシャインはみんなの所に行ってしまう。
カシアンは苦笑しながらも用意しておいたバックパックを背負う。
「さ、街に行こう!」
「おー!」
みんなで笑いながら返事をして、馬車を用意して乗り込み、歌いながら街へ向かった。
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