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第一章 始まりの館

Chapter15 プラチナ

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 午後はノアセルジオとカシアンが狩りに行く。
アルシャインはリナメイシーとティナジゼルと共にレース編みをしていた。
アルシャインがコースターを一つ作ってテーブルに置いておくと、街から来ていた女性が見に来る。
「なんて細かな模様…素敵ね」
「ありがとうございます!よく教会…いえ、暇な時に作っていたので!」
「それ…譲って頂けない?」
「え?!」
「お幾らくらいなら譲って頂けるかしら…?」
そう女性が言う。
「あの…」
「この模様なら2百Gかしら…それとも3百?」
「………」
余りの金額にアルシャインは声が出なかった。
いつも教会のバザーで10Gで売るような品物だというのに、すごい大金だ。
すると側で靴磨きをしていたルベルジュノーが言う。
「マダム、250だよ」
「まあそう?これでいいかしら」
そう言い、マダムはジャラリと袋を取り出して白金貨プラチナを3枚出した。
みんなは驚いて見るが、アルシャインはそれを受け取り、キッチンの裏から50Gを取って渡した。
「40でいいわ、チップよ」
「…ありがとうございます」
アルシャインはお辞儀をして10Gを受け取ってしまいに行った。
アルシャインはコースターとキャンディをマダムに渡す。
「ありがとう、また来るわ」
そう言い、マダムは傘を差して去っていった。
「何今の大きな白い金貨!」
みんなが聞くと、アルシャインが笑って答える。
「プラチナよ。ゴールドが百枚でプラチナ一枚なの。ゴールドはジーでプラチナはピーね」
「プラチナ…覚えた!」
ティナジゼルが言うと、みんなが頷いた。

その後で言葉遊びをする。
「一人と一人で2人になった、何をする?」
アルシャインが歌って聞く。
「編み物!」とティナジゼル。
「いいわね。一人と一人で2人になった、何がいい?」
「おしゃべり!」とマリアンナ。
「おしゃべりは楽しいわね!」
二人居たら何をしたいかを聞いているのだ。
「一人と一人で2人になった、何しよう?」
「狩り!」とクリストフ。
「そう…今度覚えましょうね」
その後も言葉遊びをしてから、夕飯作りに入った。

 カシアンとノアセルジオが上等な鴨を狩ってきてくれたので、鴨肉のステーキが出せた。

夜はノアセルジオがクリストフに弓の引き方を教えた。
ルベルジュノーは弓矢を作り、マリアンナとアルベルティーナとリナメイシーは片付けをする。
その間、レオリアムがティナジゼルに言葉を教える。
カシアンは外の見回りだ。
〈このまま大きくなったら…みんなは何になるのかしら…〉
アルシャインはみんなを微笑んで見つめながら思った。
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