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幕間
M1.星空と初恋(1)
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※第2部へとつながるヒロインの元恋人・一樹視点の幕間です。姉弟カップリングしかダメと言う方は読まないほうがいいかもしれません。それでもいいと言う方のみよろしくお願いします。(五行下より)
これは僕にとって誰よりも大切な女の子との恋の話だ。僕たちは特別な出会いでは無かったと思う。ごく普通に出会ってごく普通に恋が始まった。
*
瑠奈と出会ったのは高校三年生になったばかりの頃だ。彼女は僕が部長を務める天文部に入部した新入生の女子だった。
「あのー、すいません。まだ入部って受け付けていますか?」
狭く汚い部室の扉が開け放たれた瞬間、その場にいた男子全員が一斉に色めき立った。――と言っても男子は僕を省いて三人しかいないのだが。扉の向こうに立っていたのは一人の小柄な女の子だった。
サラサラの腰まで伸びる栗色の髪に、くるくる回る表情豊かな大きな栗色の瞳。肌は抜けるように白くシミひとつない。雰囲気がとても甘くふわふわとしていて、砂糖菓子でできたみたいな女の子だった。
五人の部員が彼女に近付き一斉に話し掛ける。
「何、何、君入部希望!? 貴重な一年生っ!! 可愛いっ!!」
「また四十川部長が目当てってわけじゃないわよねぇ?」
「え……え? あいかわ? めあて?」
彼女は目を白黒とさせ首を傾げた。
「え、えーと、天文部に初めから入りたいと思って、来たんですけど」
「おい、可哀相に。驚いているだろ?」
僕は皆を掻き分け扉に手をかけた。その子を見下ろし小さいな、と改めて感じる。きっと一五〇cmほどしかないだろう。僕は一八二cmだから三二cm差があることになる。
「星が好きなの?」
彼女ははいと頷き僕を見上げた。
「一度望遠鏡で見てみたいなあって思ったんです。それじゃダメですか?」
僕の顔を目にしても大きな瞳に好意は浮かばない。その頃、僕は見てくればかりを気にする女にうんざりしていた。だから、僕の外見に顔色ひとつ変えない彼女に興味を引かれたのだ。
「ああ、大丈夫だよ。入部希望なら三日だけ体験入部することもできるけど」
「いいえ、もう天文部って決めているんです」
彼女は入部届を両手に乗せ僕の前に差し出した。次の瞬間、ぱっと顔全部で笑う。その嘘の一切ない太陽のような笑顔に、不覚ながら目を奪われてしまった。
「わたし、荘田瑠奈って言います。これからよろしくお願いします!」
これは僕にとって誰よりも大切な女の子との恋の話だ。僕たちは特別な出会いでは無かったと思う。ごく普通に出会ってごく普通に恋が始まった。
*
瑠奈と出会ったのは高校三年生になったばかりの頃だ。彼女は僕が部長を務める天文部に入部した新入生の女子だった。
「あのー、すいません。まだ入部って受け付けていますか?」
狭く汚い部室の扉が開け放たれた瞬間、その場にいた男子全員が一斉に色めき立った。――と言っても男子は僕を省いて三人しかいないのだが。扉の向こうに立っていたのは一人の小柄な女の子だった。
サラサラの腰まで伸びる栗色の髪に、くるくる回る表情豊かな大きな栗色の瞳。肌は抜けるように白くシミひとつない。雰囲気がとても甘くふわふわとしていて、砂糖菓子でできたみたいな女の子だった。
五人の部員が彼女に近付き一斉に話し掛ける。
「何、何、君入部希望!? 貴重な一年生っ!! 可愛いっ!!」
「また四十川部長が目当てってわけじゃないわよねぇ?」
「え……え? あいかわ? めあて?」
彼女は目を白黒とさせ首を傾げた。
「え、えーと、天文部に初めから入りたいと思って、来たんですけど」
「おい、可哀相に。驚いているだろ?」
僕は皆を掻き分け扉に手をかけた。その子を見下ろし小さいな、と改めて感じる。きっと一五〇cmほどしかないだろう。僕は一八二cmだから三二cm差があることになる。
「星が好きなの?」
彼女ははいと頷き僕を見上げた。
「一度望遠鏡で見てみたいなあって思ったんです。それじゃダメですか?」
僕の顔を目にしても大きな瞳に好意は浮かばない。その頃、僕は見てくればかりを気にする女にうんざりしていた。だから、僕の外見に顔色ひとつ変えない彼女に興味を引かれたのだ。
「ああ、大丈夫だよ。入部希望なら三日だけ体験入部することもできるけど」
「いいえ、もう天文部って決めているんです」
彼女は入部届を両手に乗せ僕の前に差し出した。次の瞬間、ぱっと顔全部で笑う。その嘘の一切ない太陽のような笑顔に、不覚ながら目を奪われてしまった。
「わたし、荘田瑠奈って言います。これからよろしくお願いします!」
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