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本編

※おっさんは(聞いていないのに)語る!(4)

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 鬘を取るのももどかしいのか、アトス様はベッドに私を載せるなり、猫のままの私にキスをした! 

 女装のイケメンとまんま猫のキスシーンってどの層向けよ!

 ふうっと息と一緒に魔力を吹き込まれて目を見開く。三秒後には私はもう人の姿に戻っていた。

「アイラ……」

 美女、いや、アトス様はヤル気マンマンらしく、コートをベッドの下に脱ぎ捨てた。じりじりと私に迫って来たので、私もまたお尻でじりじりと後ずさる。

 アトス様とのエッチは嫌ではないどころか大好きだ。でも、今回はどう見ても美女に襲われるとしか思えない……!

 だけど、逃げられるはずもなく、壁際に追い詰められて顎を摘ままれてしまった。

「私から逃げようだなんていけない子だね。だから尚更追い掛けたくなるんだよ」

 そんなことを言われても……!!

 抗議しかけた唇を塞がれる。

「ん、んっ……」

 力ずくで割り開かれ、逃げる舌を絡め取られて、その感触にたまらず目を閉じた。

「ん……ぅ」

 舌の付け根を軽く噛まれたのに反応して、ぴょんと猫耳と尻尾が飛び出てしまう。更に歯茎を辿られ、口の中を舐められると、頭がぼんやりして、体から力が抜け落ちていった。

「んん……」

 美女にしか見えないアトス様が唇を離す。
 
「ほら、もういい香りがしてきた。君にも自分のフェロモンがわかるだろう?」

「そんなの……っ」

 恥ずかしさに顔がかっと熱くなるのを感じた。わかんにゃいと首を振ろうとしたところで、腰に手を回され押し倒される。ベッドが軽く軋む音を体で感じた。

 アトス様が私のワンピースのボタンを外していく。まだ真っ昼間でいくらカーテンが閉めてあっても、やっぱりこんな時間からエッチだなんて恥ずかしい。

「ま、待って……。まだ明るいです……」

「愛し合うのに時間なんて関係あるかい? それに、君は猫族だろう? 昼も夜もないはずだ」

「だ、だって、私はそうかもしれないけど、アトス様は人間で……」

「私も半分は君と同じだよ」

 えっ、それってどういうことと聞く間もなく、するりとワンピースを脱がされた。もうすっかり手慣れたものみたいで、下着も手際よく剥ぎ取られてしまう。

「やっ……」

 明るい光の中に生まれたままの体を晒されて、私は思わず胸を手で覆った。アトス様を見ていられずに顔を背ける。

「や、やっぱり、恥ずかしい、です……」

 もう何度もしちゃっているのに、今更恥ずかしいなんておかしいのかもしれない。でも、私は常識や倫理観なんかはしっかり人間……というか社畜で、身も心も猫族ではないから厄介なのだ。

 すると、アトス様が「君は、可愛いな」と呟いた。私の頬を被って顔中にキスをする。

「や、やだ、くすぐった……」

「猫族らしくなくて、可愛くて、食べてしまいたくなる時があるよ」

 くすぐったさに身を捩る私を、アトス様は笑いながら抱き締めた。

「なら、恥ずかしくなくすればいいだけのことだ」

 意味がわからず首を傾げる私の体を、くるりと腕の中で反転させる。

「これで私の顔が見えないだろう?」

 ええっ!? 今日は後ろから!? それはそれで恥ずかしいんだけれども……。また、見えないって何をされるのかわからなくて、どうしても不安になってしまう。

 少しして背後から何度か衣擦れの音がした。アトス様が服を脱いでいるみたいだ。それからカツラがベッドの脇に置かれる。

 あ、百合プレイではないのね。ほっとしたような残念なような……。

 やがて、アトス様が背に伸し掛かって、私の胸に手を回してきた。

「んっ……」

 下からそっと包み込むように覆われて、手の熱さに体がびくりと震える。更に強く、弱くと揉み込まれて、だんだん息が不規則なものになってきた。

「や……あ……あんっ」

「君はやっぱり胸が弱い」

 その間にアトス様は首筋に舌を這わせてきた。ぬるりとしていてまた嫌らしい気分になる。同時に、頂をきゅっと指と指の間に挟まれて、「ひゃんっ」とおかしな声をあげてしまった。揉まれたり、挟まれたりを繰り返すうちに、お腹の奥に熱が生まれて溶けて、足の間に落ちてくるのがわかる。

「うんっ……やんっ……んん……」

「アイラ、可愛い声を出すね。もっと聞かせてくれると嬉しい」

「や……やだあ……恥ずかしいよう……」

「嫌だなんて、君は嘘つきだな。でも、ほら体はこんなに喜んでいる」
 
 今度は優しく首を甘噛みされて、驚いて体がびくりとなった。首を噛むだなんて猫みたい。でも、アトス様だと嫌ではない。熱い唇が首を噛むだけではなく耳たぶや肩を這い回る。本当に食べられてしまいそうな気分になった。

 手でも唇でも触れられた部分が気持ちがよくて、なのに火傷をしたように熱い。吐息とともに腰を揺らしてしまう。

 やがて、アトス様の手が後ろに回った。お尻を円を描くみたいに撫でられる。続いて長い指の一本が茂みを掻き分け、ゆっくり私の中に潜り込んできた。

 慌てて腰を引こうとしたけれども無理だった。アトス様の体が壁になって私の動きを遮っている。逃げ場を失くしていやいやと首を振る間に、指は私の大切なところを押し広げた。

「ひゃんっ……」

「もう濡れているね」

 実況中継をするのなら、後ろでする意味がない! 恥ずかしさが特盛になるだけ!

 でも、指で蜜を掬われ、くちゅくちゅと入り口を掻き回されて、その嫌らしい音と下半身が蕩けそうになる感覚に心を塗り潰されてていく。だんだん恥ずかしいと思う気持ちも薄れていった――
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