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ちょいブスは俺に腕を絡めてこようとする。指先が触れただけで鳥肌がぞわっと立った。
「勝手に触るんじゃない!!」
俺が強い声を上げて振り払うと、ちょいブスはやっぱり目をまん丸にして、信じられないといったふうに驚いていた。
「えっ、あなたジェラールでしょ? だったらあたしを好きよね?」
……!?
俺はまじまじとちょいブスを見つめてしまった。
ちょいブスは何を勘違いしたのか、「だってぇ」と身体をくねくねとさせる。
「あなたも攻略対象の一人じゃない。イベントはなかったけど、あたしを好きになって当たり前でしょ?」
……!?
俺は気味悪さのあまり一歩後ずさった。
これは本物のアレってやつだ。一歩でも近づいたが最後、脳みそまで浸食されるに違いない。
「ちょっと、どうして離れようとするの? おかしいじゃない。あの三人もフィリップ様も、いきなり他人行儀になっちゃって」
ちょいブスはイライラしているのか親指の爪を噛んだ。
「どうして思い通りにならないの? これじゃ前世のリアルと変わらないじゃない! みんないつの間にか離れていっちゃう」
「……」
俺は近くにいるはずのフィリップに目を向けた。フィリップはアネットのそんな様子を見て、真っ青から真っ白になっている。
まあなあ。一度惚れた女がアレだったとわかりゃ、黒歴史が闇歴史にもなるってもんだ。
「わ、私はこんな女のために王位を失ったというのか。アデライードを失ったと言うのか」
フィリップはその場にへたり込んでしまった。俺は「違いますよ」と腕を組んでその姿を見下ろす。
「言っちゃなんですけど自業自得です。殿下がアディの、先輩の、後輩の、先生の忠告を無視し、突っ走って来た結果です。引き返せるチャンスは何度もあったのに、楽に流れた結果こうなった」
「……」
門の向こうから馬車がやって来る音が聞こえる。きっとアディが呼んだ王家からの迎えの者だろう。これでやっとこの珍騒動から解放されるってもんだ。
フィリップは言い返す気力も失ったのか、使者が馬車から降りて無理やり立たせるまで、その場で呆然と地面に手を着いていた。
「勝手に触るんじゃない!!」
俺が強い声を上げて振り払うと、ちょいブスはやっぱり目をまん丸にして、信じられないといったふうに驚いていた。
「えっ、あなたジェラールでしょ? だったらあたしを好きよね?」
……!?
俺はまじまじとちょいブスを見つめてしまった。
ちょいブスは何を勘違いしたのか、「だってぇ」と身体をくねくねとさせる。
「あなたも攻略対象の一人じゃない。イベントはなかったけど、あたしを好きになって当たり前でしょ?」
……!?
俺は気味悪さのあまり一歩後ずさった。
これは本物のアレってやつだ。一歩でも近づいたが最後、脳みそまで浸食されるに違いない。
「ちょっと、どうして離れようとするの? おかしいじゃない。あの三人もフィリップ様も、いきなり他人行儀になっちゃって」
ちょいブスはイライラしているのか親指の爪を噛んだ。
「どうして思い通りにならないの? これじゃ前世のリアルと変わらないじゃない! みんないつの間にか離れていっちゃう」
「……」
俺は近くにいるはずのフィリップに目を向けた。フィリップはアネットのそんな様子を見て、真っ青から真っ白になっている。
まあなあ。一度惚れた女がアレだったとわかりゃ、黒歴史が闇歴史にもなるってもんだ。
「わ、私はこんな女のために王位を失ったというのか。アデライードを失ったと言うのか」
フィリップはその場にへたり込んでしまった。俺は「違いますよ」と腕を組んでその姿を見下ろす。
「言っちゃなんですけど自業自得です。殿下がアディの、先輩の、後輩の、先生の忠告を無視し、突っ走って来た結果です。引き返せるチャンスは何度もあったのに、楽に流れた結果こうなった」
「……」
門の向こうから馬車がやって来る音が聞こえる。きっとアディが呼んだ王家からの迎えの者だろう。これでやっとこの珍騒動から解放されるってもんだ。
フィリップは言い返す気力も失ったのか、使者が馬車から降りて無理やり立たせるまで、その場で呆然と地面に手を着いていた。
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