白いワンコ系αなのに運命の番は、虐待されてる優秀すぎるΩで、なかなか溺愛させてもらえません

再会

171.貴方の境遇

「ジョン君！！
やっと……やっと来てくれたんだね
遅すぎるよ！

イヤッごめん、君を責めるのはお門違いだってわかってるけど……
俺はずっと待ってたから
あいつの側で、君が戻ってきてくれることをずっと待ってたから！」


連絡を寄越してくれたのはカズマさんだった。いつもの友好的で飄々として、何もかも上手くいっているっといった雰囲気は剥がれ落ちて

涙声すら混じったような声色の伝達魔法が飛んできた。


「ふふっ、とりあえず内容だけ言うね？
最低でも会社を三日は休みをとってくれよ
アキラと対面させるから…
ゆっくりしたいだろ？日にちはジョン君に合わせるから、俺が迎えに行くからね？

あと……心して置いて欲しい……
アキラがねすごく気にしてたんだけど、見た目がかなり変わってしまったんだよ
ジョン君は絶対に大丈夫だって思うけど、昔の可愛いイメージとはかなり違うから……」


カズマさんの言葉に血の気が引く思いがした。
アキラさんに何があったの？
体調がそんなに酷かったの？
僕の知らないところで、アキラさんはどんな辛い日々を過ごしてきたの？


泣きたい気持ちで僕は即座に会社に休日届けを提出した。
司法試験の結果がでる明後日から、三日間しっかりと休みをとって
もうそれからの日々はアキラさんのことしか考えられなかった。




「とりあえずこの錠剤を飲んでくれるかな？
これはΩオメガフェロモン抵抗剤だからね？
副作用は軽微だから大丈夫だと思うけど、久しぶりにアキラに会うのに
しっかりと先ずは話をしたいだろ？」


そして当日、相変わらずの馬鹿長い車を田中さんが運転して僕の会社に迎えに来てくれたカズマさんが、まず寄越したのがその錠剤だった。

そうか…確かに久しぶりにあったアキラさんの匂いに理性を失うのは避けたいから、ありがたくお気遣いを受け取り、錠剤を飲み込んで行く。


カズマさんが言いにくそうに、ポツリポツリっとアキラさんの状態を話してくれた。

「実はアキラは今ほとんど軟禁状態って言えばいいのかな？
そんな感じなんだよ…
部屋から出れない、ひきこもりみたいな状態になっちゃっててね……」


胸が苦しくなる、アキラさんはずっと部屋に閉じこもったままなの？
あんなに好奇心が旺盛だったのに、一所になんて留まっていられない人だったのに、僕と離れてる間に何があったの？

部屋に閉じこもって何をしているの？
僕の姿をテレビで見て、ずっとずっと見ててくれて…
どんな思いであの手紙を書いてたの？


「僕は、遅すぎたんですか？
アキラさんは……今どんな状態なんですか？」


会いたい、会って、今までの苦しみも寂しさも、僕が全部取る除いてあげたい
きっとそんなに容易に癒せることじゃないだろうけど…せめて側にいさせて欲しい


「それは……直接に見て話すといいよ
ジョン君なら、あのアキラも絶対に受け入れてくれると信じてるから」


カズマさんの辛そうな面持ちが、アキラさんの今の境遇が良くないことを伝えてくる。


そんな重苦しい雰囲気をよそに、大きなタワーマンションの前で車が止まった。目的地についたらしい