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7月前半

45.それは夢のような時間で

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何度と何度も唇を重ねて、体を抱きしめて…アキラさんの髪を撫でて頬を撫でて


もう泣きたいのか嬉しいのか切ないのかぐちゃぐちゃの気持ちで…
でも確かなのは僕の心は歓喜している。


「アキラさん……アキラさん……」


唇を咥えてハムハムと感触を楽しんで、齒列を確かめるようになぞって遊んで、呼吸のため開いた口からスルリっと舌を滑り込ませる。
上顎をゆっくりと舐め上げればぷるぷるっと体が震える。


奥で縮こまっている舌をちょんちょんと突っついて、少し緩んだところを絡めて舌同士で擦れば
んんんって鼻にかかった声が漏れる


可愛いぃ……絶対にキスに慣れてない反応
それでも必死に僕が送り込む唾液を飲み下して
絡まる舌に応えようとゆりゆると動かしている。


アキラさんとのキスがどんどん甘くなっていく
感じられなかった匂いが、キスをすることでどんどん口の中で溢れくる。
頭が痺れそうに甘くて…
こんなキスは初めてで……


やめられない……離すなんてできない……



ずっとキスをしていた、貪るように縋るようにアキラさんを抱きしめて絡みついて包み込んで


このまま溶けてしまえたらどんなに幸せだろうって痺れる頭で願ってやまなかった

………でもっ



「ジョン……くん?」


あぁアキラさんが気がついたんだ…
よかったって思うけど
どうしても、キスを止めることが辛い……


アキラさんを強く抱きしめて、絶対に情けなくなってる顔を隠した。






「ジョン君………ねぇ……ジョン君
もう、してくれないの?
僕が起きちゃったら、キスはおしまい?」


耳元で呟くアキラさんの言葉が信じられなくて、夢でも見てるんじゃないかって思うけど……
もう夢でもいいって思って……


「アキラさん……いいの?キスしていいんですか?」


「ふふっ僕が寝てる時、散々してなかった?
してよ……僕もしたい」


恐る恐るアキラさんの顔を見れば、熱で潤んだ瞳に、唇がいつもより腫れぼったくてひどく赤い
頬も上気して赤い……



「アキラさん……好き、僕、アキラさんが好きなんだよ」



唇から僕の思いが溢れていく
もう我慢なんかできなくて、噛みつくように唇を重ねて貪って全部を食べ尽くすようなキスをした


アキラさんはただされるがままに、息をつく暇さえ与えないようなキスを受け入れてくれて
それが嬉しくて、熱いアキラさんの体を力の限り抱きしめていた。






しばらく好きにさせてくれていたアキラさんが、僕が落ち着いてくると背中をタップされた。


渋々唇を離す……でも失敗してまた吸い付いた。
くくっとアキラさんのくぐもった笑い声が聞こえて
背中を撫でられて、しかたなく離れた。



「ジョン君、優しくして……唇がもう痛いよ、ジョン君てすごいキスするね?
食べられてしまいそうだよ……ふふっ」


アキラさんが嬉しそうにふわりっと笑って僕の耳に唇を寄せる。


「僕もジョン君のこと……好き」


小さな小さな声で、囁かれた言葉に僕の涙腺は崩壊した。
ボロボロ溢れて止められない


「ふはっ!なんでそこで泣くの?
ふふっ……可愛いなぁ……もぅ」


僕は恥ずかしいけど、涙が止められないし…
アキラさんの胸に顔を埋めて、パジャマにワシャワシャって涙も鼻水も全部擦り付けた。


だってアキラさんのせいじゃないか!
僕がこんなに泣いちゃうのも、苦しいのも、切ないのも
全部アキラさんのせいなのに……


「アハハくすぐったい、ジョン君……可愛いぃ……」


アキラさんは相変わらず嬉しそうに僕の頭を包むように抱きしめて、僕の耳に触れるだけのキスをして、大好きだよって囁いてくれる。



もう僕は堪らなく幸せで……
アキラさんの唇に指を当てて回復魔法をかけて


「アキラさん、もっとキスしたい
ずっとずっとしてたい……」


「アハハハ…ジョン君、そこまでする?
うん、いっぱいしよう、僕ももっとしたい……
ジョン君のキスって、なんか甘いね……」



アキラさんの言葉に誘われるように、僕は唇を重ねていった。
電気を完全な消して暗い部屋の中で、ひたすら唇を重ねて


甘い甘いキスを夢中になって繰り返してた。
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