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23.香水をつけさせて

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私は映像の中の、白いぬいぐるみを見つめながら、恐怖を感じていました。
可愛い白いぬいぐるみが、かえって恐く感じます。
クリッとした黒い目は、かわいいはずなのに、何だか深い闇の様に感じます。
三枚目のディスクの映像に嫌な感じを覚えながら映像が終わり、廃墟の映像の入ったディスクに入れ替えました。

流れる映像を見ながら、私は頭の中で別の事を考えています。
それは、私がなぜこんな恐い映像を見るようになったのかについてです。

――いつから見るようになったのかしら。
最初はテレビでした。
色々な、不思議な現象を特集している番組だった。
UFOやUMA、そして幽霊、心霊写真。
幽霊なんて本当にいるのかしら。この疑問がきっかけ。

漫画家を目指していた私は、自分の目で見た幽霊の漫画を書けば、面白いのじゃ無いかと考えたのよ。
そしていつか、皆が恐いと言ってくれるホラー漫画が書きたくて始めました。

映像は、進みます。
相変わらず鳥肌が止りません。
私は、資料として、心霊ビデオ、最近ではユーツベで大量の映像を見ています。
この映像は、今のところその中で一番恐い。

「すごい映像よね。現地ならもっと恐かったはず」

私は、建物自体からまず違和感を覚えた。
昼間の二階の様子と、夜の廃墟全体からの恐ろしい感じ。
きっと何かを見落としている。
そして、スピリットボックスの声、ここでも何かを感じた。

「そういえば、安崎さんは髪の長い少女って言った時、すごく怖がっていたわよねー」

なんだか私は、なにか安崎さんがまだ、秘密を隠しているような気がしました。
そして、もう一度ディスクを入れ替えます。
映像はザブさんの自宅に変わります。
真っ暗な部屋です。
隣の部屋からザブさんの寝息とうめき声、そして闇の中に響く音。

光が入った無人の部屋。
そして、一瞬見える人影。

ここで私は、全身に悪寒が走った。
全身に弱い電気が流れるような感じ。
とっさに人影が、何かを伝えたがっている感じがした。

「だ、だめよ、わからない」

私は、映像の中に話しかけていた。
そして、ハッとした。
すでに、明るくなっている部屋の、人影があった所から視線を感じたのです。
私は体の震えが収まらなくなり、いったん映像を見るのをやめました。

「うふふ、この感じ久しぶり」

私は以前、同じ思いをしたことがあります。
その映像は、廃神社を写した映像でした。
草に覆い尽くされた境内を、淡々と写しただけの映像でした。
しかも昼間明るい時に撮影された映像です。

参道と鳥居は石で出来ている為、そこまで朽ちていませんが、その他の場所は、一面緑に染まっています。
その映像は特に怪現象が映っているわけでも無く、撮影者の声も無く、ただ歩く足音が入っているだけの、廃神社を散歩しているだけの映像でした。
でも私は、寒気が収まらず、ずっと嫌な感じがしていました。
そして、崩れ落ちたお社を写した時に、強い吐き気に襲われて、映像の再生を止めたことがあります。
その時以来です。

ふふふ、私に映像を止めさせるとはすごい映像です。
余裕をかましていますが、本当はもう見たくなくなっています。
でも、気合いを入れてもう一度再生し始めます。

いよいよ明るい部屋の中央にザブさんが座っている映像です。
ザブさんがすぐに眠ります。
そして、あの音です。

ガチャーーン!!

「ぎゃああああああーーっ」

ザブさんが驚いて、手足を動かします。
その時カメラが倒れて、あの人影が見えます。

「あーーっ」

私は声を上げてしまいました。
あの子の姿が見えたのです。

「もう一度出てくれたのね」

恐らく何度再生しても、黒いぼやっとした影なのでしょうが、でも私の目には、はっきり見えました。髪の長い、鼻と口しか見えない少女の姿が。
でも何故、ここで

「だめよ、それだけじゃ、わからない」

私には出てくれた意味がわかりませんでした。
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