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「昨日はよくがんばりましたね」
朝早くやってきたカイルはご機嫌だった。昨夜のお披露目会での私の振る舞いは、まぁ合格だったらしい。
「ミアやビビアン達のお陰です」
ぺこりと頭を下げると、ビビアンとミアはニッコリと微笑んだ。
「どうなることかと思いましたが、お披露目会が無事に済んだおかげで婚約の話がすすめやすくなりました。大臣のおかげですね」
「婚約ねぇ……」
エイデンは本気で私と結婚する気なのかしら?
クスっとカイルが笑った。
「婚約なんてしない、っとは言わないんですね」
「それは……」
エイデンの事はムカつくけど、でもなぜかトキメキも感じちゃうのよね。きっと顔が好みのせいだろうけど。だから婚約なんて絶対しないって宣言できそうもない。
私の髪を編みながらミアがクスクスと笑っている。
いやだなぁ。私がエイデンを意識してることがバレバレみたいじゃない。優秀な侍女には、私の心の中なんて丸見えのようだ。
「ところで、何の準備をしてるの?」
どこかに行くのかしら?
いつもよりラフな格好をし、髪の毛もしっかり編まれている。
「外に出ればわかりますよ」
言われた通りに外に出ると、城門の前にはエイデンが待っていた。挨拶もそこそこに、ひょいっと抱えられて馬に乗せられる。エイデンはひらりと私の後ろに飛び乗ると、特に行き先も何も言わず手綱を握り馬を出発させた。
きゃー、きゃー、きゃー!!
エイデンの大きな腕の中に包まれてドキドキがとまらない。まるで後ろから抱きしめられているかのような感覚に、体中の血が沸騰しそうだ。
「おい、馬に乗るのも初めてなのか?」
「うん。初めてよ」
「そうか、初めてか……」
なんだろ? 機嫌がいいのかな? なんだかエイデンの声がちょっと弾んでる気がする。
「怖くないか?」
エイデンが私の耳元で囁いた。
「だ、大丈夫よ」
耳に吐息がかかり、興奮で鳥肌がたつ。馬よりも自分の心臓の動悸が怖い。
馬は城下を抜け平原を走り続ける。頬にあたる風は冷たくて気持ちがいい。しばらくそのまま走り、綺麗な小川が流れる小高い丘で馬を降りた。
「ステキ……」
丘の上には綺麗な花畑が広がり、色とりどりの美しい花が咲き乱れている。
「ねぇ、エイデ……」
エイデンを振り返って言葉を失った。
なんでそんな顔で私を見てるの?
エイデンの私を見つめる表情はとても優しく穏やかで、今まで見たどんな人よりも慈愛に満ちていた。
エイデンが私と結婚したいのは、私がガードランドの最後の王族だからでしょ? エイデンにとって都合がいいからって理由じゃない。
でもエイデンのこんな顔見ちゃったら、もしかしたら私のこと好きなのかも、なんて期待しちゃう。
「ここに座れ」
エイデンは草の上にシートをひいて私を呼んだ。
「エイデンがお茶をいれてくれるの?」
「昨夜頑張った褒美だ」
そう言うとエイデンは、慣れた手つきでお茶をいれた。
「美味しい」
何これ。お世辞抜きで本当に美味しいんだけど。
「エイデンにお茶を入れてもらえるなんて贅沢ね」
「ちゃんと菓子もあるぞ」
いつもは横柄なエイデンに甲斐甲斐しくされるのって、何だか不思議な気分だ。
「お城の近くにこんなに綺麗なお花畑があるなんて知らなかったわ」
別に監禁されてるわけじゃないけど、城に連れて来られて以来ほとんど部屋で過ごしてたもんなぁ。
久しぶりの外の世界は、冬はもう終わりだと感じさせるような温かい陽気がとても気持いい。
「これから色々連れて行ってやるよ。どうせこれからずっと一緒にいるんだからな」
あぁ、またあの優しい瞳だ……
「エイデン……結婚のことなんだけど、本気なの?」
「当たり前だろ。できるだけ早く婚約だけでもできるよう、今手配しているところだ」
エイデンが眉間に皺をよせ、私の顔をのぞきこんだ。
「なんだ、嫌なのか?」
「……分かんない」
嫌ではないけど、嬉しいとも思えない。この気持ちをどう表現したらいいのやら。
「そうか」
エイデンはほっとしたような、残念そうな……これまたよく分からない顔をした。
エイデンは結局私のことをどう思っているんだろう?
なぁんてね。そんな事を聞いたら、どうせムカつく事かショックな事を言われるに決まってるのよ。だから考えるのはやめて遊んじゃおう。
せっかくのピクニックだから楽しまなきゃ損だとばかりにはしゃいでいたせいか、帰るころにはすっかりくたびれてしまった。
まさかエイデンのあんな子供みたいな無邪気な姿が見れるなんて驚きだったな。二人で裸足になって小川に入ったのも楽しかったし……
ふぁぁぁぁ。
大きな欠伸が口から漏れた。
後ろから私を抱きしめるようにして支えているエイデンの温もりと、馬の心地よい揺れが私を眠りの世界へと連れて行く。
かろうじて目をあけては、首がかくんとしてまた目を開ける。その繰り返しをしながら徐々に瞼は開かなくなった。
エイデンがふっと小さく笑ったような気がした。
「眠ったのか……」
そう呟いたエイデンの声はひどく優しい。
まだ起きてるもん。
頭の中で返事をしたけど、もう目も口も開くことはできなかった。自分ではまだ眠ってないつもりでも、もしかしたら眠っていて夢を見ていたのかもしれない。
私が馬から落ちないようにという配慮なのか、馬のスピードが落ちた。エイデンの片手が私のお腹に回され、がっちりと体が固定される。
あれれ? 私今抱きしめられてるのかな?
「おやすみレイナ、愛してるよ……」
現実と夢の混ざり合った意識の中、エイデンの声が聞こえた気がした。
☆ ☆ ☆
「レイナ様には、今日よりお妃修行を始めていただきます」
「お妃修行?」
いつものようにお茶を飲みながら、ビビアン、ミアと話に花を咲かせていた私はカイルの言葉に首を傾げた。
「はい。正式に陛下と婚約をされるまでに、レイナ様には覚えていただきたいことが山ほどあります」
たしかに……
本当にエイデンと婚約するのであれば今のままではダメだろう。なんせ私は人生のほとんどを逃げたり隠れたりして過ごしてきたのだから。王族どころか、貴族の常識、下手したら平民の常識すら欠いている可能性がある。
「三か月後に生誕祭があります。それまでに一般貴族の令嬢レベルまでにはなっておいていただきたい」
「生誕祭ってなぁに?」
「陛下の誕生祝いです。国をあげての祭りになりますので、レイナ様も陛下の婚約者候補として恥ずかしくないような振る舞いをしなければなりません」
ふーん……エイデンの誕生日かぁ……
それって私も何か誕生日プレゼントを用意した方がいいのかなぁ?
「レイナ様!! 聞いてるんですか?」
「ご、ごめんなさい!!」
考え事をしていたせいで全く話を聞いてなかった私に、カイルは呆れた様にため息をついた。
「いいですか? 生誕祭の夜には王宮でパーティーがあります。それまでにダンスをマスターしなければいけませんよ」
「はぁい」
自信はなかったけど、とりあえず小さな声で返事をした。
それからは毎日、ダンス、テーブルマナー、挨拶の仕方など様々なことを習った。私も国が滅びず王女のまま育っていたら、こんな風にして過ごしてたのかなっと考えると、ハードな訓練も全く苦ではない。
お妃修行開始から一月以上がたち、少しはマシになったとカイルが褒めてくれた頃、エリザベスからお茶の招待があった。
「何か企んでないといいんですけど……」
「いい機会じゃない。せっかくお茶のマナーを勉強したんだもの、試しに行ってくるわ」
相手が大臣の娘だってことでビビアン達は不安そうだけど、私はやる気満々よ!! 最近部屋に閉じこもって勉強ばかりだったし、実践練習どんとこいだわ。
しぶしぶ……といった様子で身支度を整えてくれたビビアンと共にエリザベスの屋敷へ向かう。やる気満々とは言え、初めてのお宅訪問なのでやはり緊張はする。
エリザベスの屋敷へ着くと、すぐに広々としたガーデンへと通された。可愛らしい白テーブルと椅子のセットが木陰に用意されている。
「レイナ様、あんまりキョロキョロしないでください。はしたないと思われてしまいますよ」
そうは言っても素敵な庭なんだもの。エリザベスが来るまでいいじゃない。っと思っていたのだが、ビビアンと二人でガーデンに放置されたまま、誰もやって来ない。
やっと現れたと思ったら、エリザベス付きの侍女が私に向かって深々と頭を下げた。
「申し訳ありません。せっかくおいでいただいたのですが、お嬢様は体調がすぐれないようでして……」
まぁ、具合が悪いなら仕方ない。お茶会はまたの機会にすればいいんだし。
「せっかくおいでいただいたのですから、是非当家自慢のケーキを召し上がってほしいとお嬢様はおっしゃられております」
そう言って座らされてしまった。
「ただいまお嬢様の代わりの者が参りますので、もうしばらくお待ちください」
「はぁ……」
代わりの者?
お茶会のマナーは勉強した。挨拶もバッチリできる自信があった。でも現実は勉強のようにスムーズにいかないものね。主催者が代理をたてる……なんていう状況については教わってなかったわ。
用意されたお茶をいただきながら、失敗しなきゃいいんだけどと心配していると、
「あなたがレイナ様ですか?」
突然現れた男性に声をかけられた。
朝早くやってきたカイルはご機嫌だった。昨夜のお披露目会での私の振る舞いは、まぁ合格だったらしい。
「ミアやビビアン達のお陰です」
ぺこりと頭を下げると、ビビアンとミアはニッコリと微笑んだ。
「どうなることかと思いましたが、お披露目会が無事に済んだおかげで婚約の話がすすめやすくなりました。大臣のおかげですね」
「婚約ねぇ……」
エイデンは本気で私と結婚する気なのかしら?
クスっとカイルが笑った。
「婚約なんてしない、っとは言わないんですね」
「それは……」
エイデンの事はムカつくけど、でもなぜかトキメキも感じちゃうのよね。きっと顔が好みのせいだろうけど。だから婚約なんて絶対しないって宣言できそうもない。
私の髪を編みながらミアがクスクスと笑っている。
いやだなぁ。私がエイデンを意識してることがバレバレみたいじゃない。優秀な侍女には、私の心の中なんて丸見えのようだ。
「ところで、何の準備をしてるの?」
どこかに行くのかしら?
いつもよりラフな格好をし、髪の毛もしっかり編まれている。
「外に出ればわかりますよ」
言われた通りに外に出ると、城門の前にはエイデンが待っていた。挨拶もそこそこに、ひょいっと抱えられて馬に乗せられる。エイデンはひらりと私の後ろに飛び乗ると、特に行き先も何も言わず手綱を握り馬を出発させた。
きゃー、きゃー、きゃー!!
エイデンの大きな腕の中に包まれてドキドキがとまらない。まるで後ろから抱きしめられているかのような感覚に、体中の血が沸騰しそうだ。
「おい、馬に乗るのも初めてなのか?」
「うん。初めてよ」
「そうか、初めてか……」
なんだろ? 機嫌がいいのかな? なんだかエイデンの声がちょっと弾んでる気がする。
「怖くないか?」
エイデンが私の耳元で囁いた。
「だ、大丈夫よ」
耳に吐息がかかり、興奮で鳥肌がたつ。馬よりも自分の心臓の動悸が怖い。
馬は城下を抜け平原を走り続ける。頬にあたる風は冷たくて気持ちがいい。しばらくそのまま走り、綺麗な小川が流れる小高い丘で馬を降りた。
「ステキ……」
丘の上には綺麗な花畑が広がり、色とりどりの美しい花が咲き乱れている。
「ねぇ、エイデ……」
エイデンを振り返って言葉を失った。
なんでそんな顔で私を見てるの?
エイデンの私を見つめる表情はとても優しく穏やかで、今まで見たどんな人よりも慈愛に満ちていた。
エイデンが私と結婚したいのは、私がガードランドの最後の王族だからでしょ? エイデンにとって都合がいいからって理由じゃない。
でもエイデンのこんな顔見ちゃったら、もしかしたら私のこと好きなのかも、なんて期待しちゃう。
「ここに座れ」
エイデンは草の上にシートをひいて私を呼んだ。
「エイデンがお茶をいれてくれるの?」
「昨夜頑張った褒美だ」
そう言うとエイデンは、慣れた手つきでお茶をいれた。
「美味しい」
何これ。お世辞抜きで本当に美味しいんだけど。
「エイデンにお茶を入れてもらえるなんて贅沢ね」
「ちゃんと菓子もあるぞ」
いつもは横柄なエイデンに甲斐甲斐しくされるのって、何だか不思議な気分だ。
「お城の近くにこんなに綺麗なお花畑があるなんて知らなかったわ」
別に監禁されてるわけじゃないけど、城に連れて来られて以来ほとんど部屋で過ごしてたもんなぁ。
久しぶりの外の世界は、冬はもう終わりだと感じさせるような温かい陽気がとても気持いい。
「これから色々連れて行ってやるよ。どうせこれからずっと一緒にいるんだからな」
あぁ、またあの優しい瞳だ……
「エイデン……結婚のことなんだけど、本気なの?」
「当たり前だろ。できるだけ早く婚約だけでもできるよう、今手配しているところだ」
エイデンが眉間に皺をよせ、私の顔をのぞきこんだ。
「なんだ、嫌なのか?」
「……分かんない」
嫌ではないけど、嬉しいとも思えない。この気持ちをどう表現したらいいのやら。
「そうか」
エイデンはほっとしたような、残念そうな……これまたよく分からない顔をした。
エイデンは結局私のことをどう思っているんだろう?
なぁんてね。そんな事を聞いたら、どうせムカつく事かショックな事を言われるに決まってるのよ。だから考えるのはやめて遊んじゃおう。
せっかくのピクニックだから楽しまなきゃ損だとばかりにはしゃいでいたせいか、帰るころにはすっかりくたびれてしまった。
まさかエイデンのあんな子供みたいな無邪気な姿が見れるなんて驚きだったな。二人で裸足になって小川に入ったのも楽しかったし……
ふぁぁぁぁ。
大きな欠伸が口から漏れた。
後ろから私を抱きしめるようにして支えているエイデンの温もりと、馬の心地よい揺れが私を眠りの世界へと連れて行く。
かろうじて目をあけては、首がかくんとしてまた目を開ける。その繰り返しをしながら徐々に瞼は開かなくなった。
エイデンがふっと小さく笑ったような気がした。
「眠ったのか……」
そう呟いたエイデンの声はひどく優しい。
まだ起きてるもん。
頭の中で返事をしたけど、もう目も口も開くことはできなかった。自分ではまだ眠ってないつもりでも、もしかしたら眠っていて夢を見ていたのかもしれない。
私が馬から落ちないようにという配慮なのか、馬のスピードが落ちた。エイデンの片手が私のお腹に回され、がっちりと体が固定される。
あれれ? 私今抱きしめられてるのかな?
「おやすみレイナ、愛してるよ……」
現実と夢の混ざり合った意識の中、エイデンの声が聞こえた気がした。
☆ ☆ ☆
「レイナ様には、今日よりお妃修行を始めていただきます」
「お妃修行?」
いつものようにお茶を飲みながら、ビビアン、ミアと話に花を咲かせていた私はカイルの言葉に首を傾げた。
「はい。正式に陛下と婚約をされるまでに、レイナ様には覚えていただきたいことが山ほどあります」
たしかに……
本当にエイデンと婚約するのであれば今のままではダメだろう。なんせ私は人生のほとんどを逃げたり隠れたりして過ごしてきたのだから。王族どころか、貴族の常識、下手したら平民の常識すら欠いている可能性がある。
「三か月後に生誕祭があります。それまでに一般貴族の令嬢レベルまでにはなっておいていただきたい」
「生誕祭ってなぁに?」
「陛下の誕生祝いです。国をあげての祭りになりますので、レイナ様も陛下の婚約者候補として恥ずかしくないような振る舞いをしなければなりません」
ふーん……エイデンの誕生日かぁ……
それって私も何か誕生日プレゼントを用意した方がいいのかなぁ?
「レイナ様!! 聞いてるんですか?」
「ご、ごめんなさい!!」
考え事をしていたせいで全く話を聞いてなかった私に、カイルは呆れた様にため息をついた。
「いいですか? 生誕祭の夜には王宮でパーティーがあります。それまでにダンスをマスターしなければいけませんよ」
「はぁい」
自信はなかったけど、とりあえず小さな声で返事をした。
それからは毎日、ダンス、テーブルマナー、挨拶の仕方など様々なことを習った。私も国が滅びず王女のまま育っていたら、こんな風にして過ごしてたのかなっと考えると、ハードな訓練も全く苦ではない。
お妃修行開始から一月以上がたち、少しはマシになったとカイルが褒めてくれた頃、エリザベスからお茶の招待があった。
「何か企んでないといいんですけど……」
「いい機会じゃない。せっかくお茶のマナーを勉強したんだもの、試しに行ってくるわ」
相手が大臣の娘だってことでビビアン達は不安そうだけど、私はやる気満々よ!! 最近部屋に閉じこもって勉強ばかりだったし、実践練習どんとこいだわ。
しぶしぶ……といった様子で身支度を整えてくれたビビアンと共にエリザベスの屋敷へ向かう。やる気満々とは言え、初めてのお宅訪問なのでやはり緊張はする。
エリザベスの屋敷へ着くと、すぐに広々としたガーデンへと通された。可愛らしい白テーブルと椅子のセットが木陰に用意されている。
「レイナ様、あんまりキョロキョロしないでください。はしたないと思われてしまいますよ」
そうは言っても素敵な庭なんだもの。エリザベスが来るまでいいじゃない。っと思っていたのだが、ビビアンと二人でガーデンに放置されたまま、誰もやって来ない。
やっと現れたと思ったら、エリザベス付きの侍女が私に向かって深々と頭を下げた。
「申し訳ありません。せっかくおいでいただいたのですが、お嬢様は体調がすぐれないようでして……」
まぁ、具合が悪いなら仕方ない。お茶会はまたの機会にすればいいんだし。
「せっかくおいでいただいたのですから、是非当家自慢のケーキを召し上がってほしいとお嬢様はおっしゃられております」
そう言って座らされてしまった。
「ただいまお嬢様の代わりの者が参りますので、もうしばらくお待ちください」
「はぁ……」
代わりの者?
お茶会のマナーは勉強した。挨拶もバッチリできる自信があった。でも現実は勉強のようにスムーズにいかないものね。主催者が代理をたてる……なんていう状況については教わってなかったわ。
用意されたお茶をいただきながら、失敗しなきゃいいんだけどと心配していると、
「あなたがレイナ様ですか?」
突然現れた男性に声をかけられた。
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