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屋敷で出迎えたのは
しおりを挟む途中予約していた宿に泊まりながら三日かけて辺境に着いた。辺境は隣国との国境もあり、物々しい雰囲気があった。これから住むここは、屋敷や城というよりまるで要塞のよう。途中見てきた街並みも、活気があるかどうかで言えばないに等しいが、それぞれに生活を営んでいる様子は見てとれた。王都から離れたこの地。自分の事を知っている人なんて誰もいないのだから、新たな人生を歩めそうな気もする。
「スティファニアお嬢様、こんな遠くまでお疲れさまでございました。さぁ、屋敷の中へご案内します。荷物は使用人に運ばせますのでご心配なく」
「そうですか。ありがとうございます」
先に馬車から降りたレスタに、使用人の一人だろうか、メイドが駆け寄った。その光景を見て、何日も領地を離れていた恋人を心配しているのだろうかなどとスティファニアは思っていた。
「なんだって!?」
ぼんやり眺めていると、逢い引きの最中であったレスタが驚きの声をあげた。
「それで主は今どこに!?」
「それが・・・騎士の稽古場へと行ったようなのです」
「あれほどお出迎えの際は必ず顔を見せるようにと言ったのに・・・全く!」
この数日で、レスタが怒りを表しているのははじめて見た。そんなレスタだったが、ハッと気付くように馬車の中にいるスティファニアの方を振り向く。慌てて笑顔を取り繕ったのだろう。顔がひきつっていた。
「スティファニアお嬢様、大変申し訳ありません。お出迎えを主に伝えていたんですが手違いが置きまして・・・その・・・」
随分と言いにくそうにレスタは言葉を発している。
「レスタ様、構いませんわ。私少々着かれたみたいでして、部屋で休ませて貰うことはできますか?」
「えぇ、それはもちろん!」
薄い微笑みを浮かべるスティファニアに、レスタを始め、出迎えに出ていた使用人一同は惚れ惚れと見つめていた。レスタのエスコートで馬車を降り、そのまま屋敷の中へと入っていった。
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