流星姫は平凡騎士をご所望です

私の太陽、俺の花

クリスフォードからの伝言

ジェームスは学園を卒業後、第一騎士団への入団が決まった。辺境伯家では次男であり、兄セシルが家督を継ぐので爵位の継承はない。しかし、辺境という特殊な土地柄ゆえ、次期当主である兄に何かあった時のスペアの存在ではある。辺境で補佐をしながら生きていく事もできたが、諦められない事があり王都の第一騎士団への入団を決めた。


「ジェームス」

「クリスフォード団長！」

「第一はどうだ？慣れそうか？」

「気にかけていただいて有難うございます！体力と剣技には自信があるのですが、なんというか・・・王都は俺には上品すぎて・・・」

「はははっ、まぁ、慣れない環境だ、無理はするな」

「はい、頑張ります！」

「セシルは元気にしているか？」

「はい、元気ですよ。体がでかくて丈夫っていうのだけが取り柄の兄ですから」

「もっと他に褒めるところはないのか？お前の兄は面白いのにな」

「兄が面白い・・・ですか？あんな仏頂面、冗談の一つも言えないのに」

「面白い男だぞ？長年片想いを拗らせるような奴だしな」

「え！？兄上に片想いの女性ですか！？」

「あぁ、知らなかったか？俺も本人に直接聞いたわけではないが、あれは態度でバレバレだ。手に取るようにわかったよ」

「知りませんでした。お相手は誰なのです？」

「誰かは言えないが、その女性には旦那も婚約者もいない。縁談は来ているが、本人が断り続けている。セシルに言っておけ、近々失恋するから、弱みにつけ込むチャンスだぞって」

「・・・なんかよくわかりませんけど、兄が想いを伝えても問題ないって事ですね」

「そういう事だ。おれはセシルにもその女性にも幸せになって欲しいんだ。俺は案外お似合いだと思っている。セシルによろしくな」

「わかりました、伝えておきます」


ジェームスは正式な入団の前に、一時帰領した。


「兄さん、久しぶり」

「あぁ、元気そうだな」

「兄さんに伝言を頼まれてるよ」

「誰からだ？」

「クリスフォード団長」

「そうか、昔可愛がって貰った・・・しかし、伝言とは？」

「あぁ、それなんだけど、兄さんの片想いの相手が、もうすぐ失恋するから弱みにつけ込めって」

「なっ、なぜ団長が俺の片想いを知ってるんだ！？」

「ん・・・なんか、バレバレだったって言っていたよ？」

「そ、そうなのか・・・」


兄はバレていないと思っていたのかとジェームスは思った。そして相手は誰なのだろうと。


そして準備を終え、ジェームスは王都に戻った。この時入れ替わるようにセシルが向かった王都で開かれた夜会。その兄が、勢いで気持ちを伝え、その後まさか婚約期間なしで嫁を娶ることになるとは、ジェームスは驚かされることになる。




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次回

ジェームス、何故ここにいるの？辺境に戻ったのではなかったの？