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恋した君と愛する君
サイラスが語る過去
しおりを挟む「・・・マーガレット様を・・・マーガレット様に無理矢理・・・途中で見つかって・・・近衛に捕まった」
「・・・サイラス様」
「目の前が真っ暗になった。その後は屋敷に軟禁されて、次期当主の座も降ろされた・・・」
「・・・だからクライス様に対して」
「あいつは次男というだけで、優秀なのは間違いない。次期当主という肩書きがついた途端、俺以上に釣書と縁談がくるようになった。好んだ令嬢を娶った。子ができなかった事で夫婦仲が拗れて破断になった。今の妻は二人目だ。あいつは機能不全と診断された。子ができなかったのはクライスの問題だった。それを知ってざまぁ見ろと思ったよ・・・だが、父上が、俺の子を・・・次期当主として育てると言っているのを知って・・・クライスに届く釣書を渡された・・・惨めだった・・・悔しかった・・・」
「・・・お辛かったですね・・・」
「俺は繁殖させるための道具なのか?そんな気分ではあったが、釣書に手を伸ばしたら驚いた。赤い髪に青い瞳。釘付けになった。名前までマーガレットだなんて・・・父上にはレットの釣書だけを差し出し、あとはいらんと突き返したんだ。父上は子さえ成せれば誰でもよかったのだろう。忘れられずにいるのだろうと、俺がそれで満足するのならと、人形を与えるかのように君を連れてきた。でも、実際会ってみたら少し違った。髪は少し明るい色をしているし、瞳は青より濃い。本当はその時からレットに惹かれていたのかもしれないが・・・俺には、マーガレット様を思わせるには十分だったんだ。しかも、17歳。あの頃のマーガレット様と同じ歳。俺の中で止まっていた時が、続きが動き出した」
「・・・サイラス様・・・」
「あの時俺を拒んだマーガレット様を、やっと手に入れた、やっと俺のものになったと。マーガレット様は他国の王子の元へ嫁いで行った。一度は他の男のところへ行ったのに、俺の元へと戻って来たんだと歓喜した。やっぱり俺を選んでくれたんだと。この5年の思いを、俺を苦しませた思いをぶつけてしまった・・・」
「だから、マーガレットとお呼びになられていたのですね」
「レットには申し訳ない事をした・・・こんな結婚幸せになれるはずない・・・後悔しか・・・ないよな・・・俺は、レットの幸せな人生を奪った・・・なぁ・・・レット・・・俺と・・・離縁、するか・・・?」
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
レットは俺の特別なんだって
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