173 / 211
恋した君と愛する君
不思議な過保護
しおりを挟むしばらく経ってマーガレットは目を覚ます。温もりと鼓動を感じ、とても心地の良い目覚めだった。
「んっ・・・だ、旦那様・・・」
「あぁ、レット、気がついたか」
目覚めたマーガレットは、サイラスの膝の上に座り、抱きしめられている事に気付くも、思いのほかサイラスの抱く手が強く、逃げられない事を悟った。そしてまた、目覚めたのはあの部屋ではなく、夫婦の寝室であった。
「あの、私・・・」
「レットは気を失ったんだ」
「すみません・・・あら・・・」
「どうした?」
「先ほど着ていた服ではないので」
「あぁ、湯あみして着替えさせた」
「も、もしかして旦那様がですか!?す、すみません」
「別に謝らなくていい。汚したから綺麗にしただけの事だ」
「は、はい・・・旦那様、重いでしょう?おろして頂いて・・・」
「何を言ってる、軽い。ちゃんと食べているのか?そうだ、何か食べれそうか?」
「は、はい・・・」
「そうか、では準備させよう」
ほどなくして寝室に食事が用意された。サイラスはマーガレットを解放する気はないようだった。
「あの、お食事ですよね?一人で座れますから」
「・・・俺の膝の上は嫌か?」
「い、いえ、嫌とかでは・・・」
「では、なんだ?」
「は、恥ずかしいのです」
「もっと恥ずかしい事をしているではないか・・・いい、では、毎日膝に座らせる。慣れろ」
「え!?・・・は、はい・・・」
「レットは体調が悪いのだ」
「体調は悪くないですよ?」
「いいや、体調が悪い」
「・・・元気ですよ?」
「いいや、体調が悪い!」
「・・・えっと・・・は、はい・・・?」
言い張るサイラスに、マーガレットは不思議に思いつつもそのまま膝に座ったままとなった。
「よし、俺が食べさせてやる」
「あ、あの、お手を煩わせるわけには・・・」
「いい、俺にやらせろ」
「・・・で、でも・・・」
「ほら、口を開けろ」
サイラスはスプーンですくったスープを差し出してくる。
「・・・はい・・・あーん・・・」
「ほら、もう一回だ」
「は、はい・・・あーん・・・」
「・・・レット、顔が赤いが、熱でもあるのか?」
「い、いえ、ありません、大丈夫です!」
「そうか・・・ならいいが?」
優しいのか、過保護なのか・・・でも、交わりの時には怒りを露わにする。そんなサイラスを不思議に思うも、大事にされているのは間違いないのだとマーガレットは思っていた。淡々としたやり取りの中にも、どこか過保護さを出すサイラス。たまに怒りをぶつけるサイラスに犯されては過保護に世話をやかれる日々をおくっていった。
「レット、数日後の夜会に出ることになった」
「夜会ですか?」
「あぁ、レットとの結婚後、どこにも表に出ていなかったからな」
「そうなのですね、ドレスなどはどうしたしましょうか?」
「それは・・・俺が準備する」
「・・・はい、承知しました」
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
まがい物の人形にしては上出来だな
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
至らない妃になれとのご相談でしたよね
cyaru
恋愛
ホートベル侯爵家のファリティは初夜、夫となったばかりの第2王子レアンドロから「相談」をされた。
結婚はしてしまったがレアンドロは異母妹のルシェルを愛しているので、3年後に離縁し再婚したいという。
ただ離縁するだけではだめでファリティに何もしない愚鈍な妃となり、誰からも「妃には相応しくない」と思って欲しいとのこと。
ルシェルとの関係を既に知っていたファリティは渡りに船とばかりにレアンドロの提示した条件を受けた。
何もかもこちらの言い分ばかり聞いてもらうのも悪いというので、ファリティは2つの条件を出した。
①3年後に何があっても離縁すること、②互いの言動や資産全てにおいて不干渉であること。
レアンドロはその条件を飲み、ただの口約束では揉める原因だと結婚の翌日、次に保管庫が開くのは2人が揃っていないと開けて貰えず、期日も3年後に設定された確実な保管法で正教会にその旨をしたためた書類を2人で保管した。
正教会で「では、ごきげんよう」と別れた2人。
ファリティはその日から宮に帰ってこない。
かたやレアンドロは「模様替え」の最中なのでちょっと居候させてと言うルシェル達を受け入れたけれど…。
タイトルの♡はファリティ視点、♠はレアンドロ視点、★は第三者視点です
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★1話あたりの文字数、少な目…だと思います。
★10月19日投稿開始、完結は10月22日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?
のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。
両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。
そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった…
本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;)
本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。
ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?
【完結済】完全無欠の公爵令嬢、全てを捨てて自由に生きます!~……のはずだったのに、なぜだか第二王子が追いかけてくるんですけどっ!!〜
鳴宮野々花@初書籍発売中【二度婚約破棄】
恋愛
「愛しているよ、エルシー…。たとえ正式な夫婦になれなくても、僕の心は君だけのものだ」「ああ、アンドリュー様…」
王宮で行われていた晩餐会の真っ最中、公爵令嬢のメレディアは衝撃的な光景を目にする。婚約者であるアンドリュー王太子と男爵令嬢エルシーがひしと抱き合い、愛を語り合っていたのだ。心がポキリと折れる音がした。長年の過酷な淑女教育に王太子妃教育…。全てが馬鹿げているように思えた。
嘆く心に蓋をして、それでもアンドリューに嫁ぐ覚悟を決めていたメレディア。だがあらぬ嫌疑をかけられ、ある日公衆の面前でアンドリューから婚約解消を言い渡される。
深く傷付き落ち込むメレディア。でもついに、
「もういいわ!せっかくだからこれからは自由に生きてやる!」
と吹っ切り、これまでずっと我慢してきた様々なことを楽しもうとするメレディア。ところがそんなメレディアに、アンドリューの弟である第二王子のトラヴィスが急接近してきて……?!
※作者独自の架空の世界の物語です。相変わらずいろいろな設定が緩いですので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※この作品はカクヨムさんにも投稿しています。
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
可愛いあの子は。
ましろ
恋愛
本当に好きだった。貴方に相応しい令嬢になる為にずっと努力してきたのにっ…!
第三王子であるディーン様とは政略的な婚約だったけれど、穏やかに少しずつ思いを重ねて来たつもりでした。
一人の転入生の存在がすべてを変えていくとは思わなかったのです…。
(11月5日、タグを少し変更しました)
(11月12日、短編から長編に変更しました)
✻ゆるふわ設定です。
私が公爵の本当の娘ではないことを知った婚約者は、騙されたと激怒し婚約破棄を告げました。
Mayoi
恋愛
ウェスリーは婚約者のオリビアの出自を調べ、公爵の実の娘ではないことを知った。
そのようなことは婚約前に伝えられておらず、騙されたと激怒しオリビアに婚約破棄を告げた。
二人の婚約は大公が認めたものであり、一方的に非難し婚約破棄したウェスリーが無事でいられるはずがない。
自分の正しさを信じて疑わないウェスリーは自滅の道を歩む。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる