流星姫は平凡騎士をご所望です

拗らせすぎた片想い

勇気のない男

「テオ・・・どうしてここに・・・」

「トーマスに聞いたんだ。様子がおかしかったって。バージルに協力してもらって探してた」

「そうだったの・・・別によかったのに」

「どうして・・・」

「だって、夫に浮気されるような女よ？子どもが出来たからって追い出されるような妻なんて誰が欲しがるの？こんな歳の女なんて・・・誰も欲しがらないわ」

「シルビア、お前の次の嫁ぎ先はもう決まってる」

「もう、いやよ・・・これ以上傷付きたくないわ・・・」

「いや、結婚は絶対だ。次の夫になる男はな、ずっとシルビアに片想いしていたらしい。10年以上らしいぞ？だから多分離しては貰えないし、これでもかってぐらい大事される。その男はな、シルビアの笑顔にいつも癒されていたらしい。好きだが気持ちを伝える勇気がなくて今まで何も言えなかっただと。今回、侯爵家との離縁が成立したことでようやく覚悟を決めたらしい。お前を嫁に貰い受けたいと望んでいる。お前は幸せになるべきだ。だから、結婚は絶対だ」

「・・・テオ・・・いやよ。私は・・・結婚はしたくない」

「本当にそう思うのか？夫になる男はお前の事を愛する気満々なんだぞ？」

「・・・そんなの信用できない」

「その男は愛する妻に、毎日おやすみを言って、一緒に眠り、一緒に目覚め、朝にはおはようのキスをする。出かける時にも行ってらっしゃいのキスがして欲しいと言っていたな」

「・・・夢みたいな生活ね・・・」

「だろう？だから、シルビア、結婚しないなんて言わないでくれ。その勇気のない男・・・テオドール・ジャンクの妻になってくれないか？」

「・・・えっ・・・テオ？」

「10年以上もお前に片想いして・・・好きだとも言えなくて・・・ぐずぐずしていたらシルビアが他の男にとられた、どうしようもない男だ。いつもシルビアが微笑んでくれる笑顔が大好きだった。これからもっと近い場所で見せてくれたら嬉しい。これからは毎日一緒にいて、たくさんの時間を過ごしたい。気持ちを伝えていいんだとわかった俺は・・・もう歯止めがきかないかもしれないな・・・」

「テオ・・・私もテオが好き」

「・・・」

「テオ？」

「本当なのか？俺の片想いじゃ・・・」

「私も片想いだと思ってた・・・」

「シルビア！」


地面にあぐらをかいたように座ったテオドールは、自身の膝にシルビアを抱えあげ、大事そうに抱きしめた。どちらかが勇気を出していれば、もっと早くにこうなっていたかもしれない。二人はようやく欲しかった者を手に入れた。




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次回

酒を飲もうではないか！

いいですね！あはははは

めでたいな！はははは！