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拗らせすぎた片想い

遠くへ

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翌朝、荷物をまとめ終わり最後にぐるっと部屋を見渡した。セドリックからの贈り物なんてひとつもなく、侯爵家に来てから処分したものもある。嫁いできた時より随分と荷物は減っていた。


「お世話になりました・・・」


誰もいない部屋に向けてぽつりと言葉を発すると、振り返り部屋を出た。


「シルビアさん、本当に行ってしまうの?あなたの事は本当の娘のように思っていたから・・・」

「お義母様・・・きっとキャスリンさんが私よりいいお嫁さんになって頂けますわ。私よりセドリックに愛されているんですもの。すぐに可愛い孫も抱けます。今までお世話になりました。お体大事にされてくださいね。失礼します」


侯爵は詫びと説明、これからの提携事業の話をする為に公爵家へと出向いてた。シルビアの見送りには、夫人と侍従、数人のメイドのみが玄関に出ていた。


「さて・・・これからどうしようかな・・・」


勢いよく出てきたシルビアだったが、行く宛なんてなかった。公爵家に戻っても気まずいだけ。ひとまず昨日から何も口にしていない事を思い出し、食堂へと入る。食事をとりながら、一通り考えを巡らせた。今は幸せなエミリアを見る事は耐えられない。そう考えに至ると、エミリアがいる辺境とは逆の辺境へと向かうことにした。そう決めて、食堂を出ると、ばったり一人の人物に出会った。


「あれぇ?シルビア、そんな大荷物でどうしたの?」

「トーマス・・・旅行・・・かな」

「一人で?」

「えぇ・・・」

「でも、シルビアって結婚したって聞いたけどぉ?」

「・・・いいえ、してないわ」

「・・・そう・・・なんだ。どこに行くの?」

「エミリアの所に行ってみようと思ってるの。エミリアが暮らしているところを見てみたいし」

「そっか・・・気をつけてねぇ」

「えぇ、ありがとう」


トーマスは王宮に定期報告に来ていたようだ。これから第二騎士団に戻るのだろう。


「さよなら・・・テオ・・・」


シルビアを乗せた馬車は、エミリアがいる辺境とは別の方向へと進んでいった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー


次回

シルビアは・・・侯爵家に嫁に行ったのは間違いないよな?




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