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純情令息とお転婆公爵令嬢
目を覚ますと
しおりを挟む数日後の昼過ぎ、エミリアは部屋でのんびりとした時間を過ごしていた。
コンコンコン。
「はい」
「失礼します、エミリア様にお客様です」
見た事のないメイドだったが、新しく雇い入れたのかもしれないと、気に留めない事にした。サロンに案内されると、金の髪に赤い瞳の可愛らしい女性がいた。
「こんにちは」
「えぇ、こんにちは・・・ワルシャワ公爵家、エミリア・ワルシャワですわ。私に何かご用でしょうか?」
「・・・大した事ないわね」
「えっ?」
「あなた、セシル様を私からとらないでくれる?私とセシル様は、幼い頃から結婚を約束した仲なのよ!それを急に来て横取りするなんて!」
「セシル様はそんな事一言も・・・」
「セシル様はお優しいの!公爵家からの縁談を断れなかっただけよ!無理矢理婚約者を決められてお可哀想だわ!」
その時、後ろから、急に口と鼻を塞がれた。
「んんっ!!」
「セシル様がお断りできるようにしてあげるわ。不貞は確実にあなたの有責よ?婚約なんてさせないわ・・・ふふふっ」
薬品の様な匂いに段々と意識が遠のいていった。
「ふふっ、あとは頼んだわ。好きにしていいわよ」
「あぁ、楽しみだ」
エミリアは腕に痛みを感じ目を覚ました。後ろ手に縛られ、口には布を押し込んであり、声を出すことができない。その状態で寝台へと寝かせられていた。
「んんんっ!!」
(なんでこんな事に!?動けない・・・ここはどこ?)
「お目覚めかい、お嬢さん?」
(だ、誰!?)
エミリアの視界に入ってきたのは、金の髪に赤い瞳の男だった。ニヤリと笑みを浮かべると、エミリアを舐めるように見ている。
「僕は、ロータス。この町の大きな商会の跡取り息子さ。さっきのは僕の妹」
(そんな方がどうして・・・何をするつもりなの・・・)
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
助けてセシル様!!
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