流星姫は平凡騎士をご所望です

王太子アルフレッドの新たな婚約者

王太子妃の決心と願い

それからすぐに子が宿った。自分の中で育つ小さな命が愛おしかった。すぐに二人目も産まれる。二人とも女児であった。そしてまたエリアナは気に病む事になる。側妃を熱望する声がまた再熱しだしたのだ。


側妃を、世継ぎを声が大きくなる中、アルフレッドは必死にエリアナの盾になった。



「何度も言わせるな！側妃は娶らぬ！妃はエリアナだけだ、エリアナ以上の女はおらぬ！」


何度言っても貴族達は収まることはなかった。王命によって無理矢理娶らされた妃。無理矢理王太子妃として嫁がせられ、教育を詰め込まれ、政務を行い、妃としての役割をこなしてくれた。必死に耐えながら役割を果たそうとしてくれるエリアナを、アルフレッドは必死に守ろうとした。そんなアルフレッドの姿を見て、エリアナはもう一度だけと決心をする。


そして懐妊し、三人目が産まれる。また・・・女児だった。エリアナは自分を責めた。産後の肥立ちも悪く、心労も重なり、寝台から起き上がれないほどに憔悴しきってしまった。子供達は乳母に任せる事になった。


上二人の子供の名前は、アルフレッドが名付けた。マーガレットとカトレア。末娘の名前だけはエリアナが名付けた。名はミーティア。流星、流れ星という意味を持つ。男児が欲しいという望みの元に産まれてきた末娘。エリアナはミーティアに対して罪の意識を感じていた。産まれてすぐに寝込んでしまったエリアナは、ミーティアにほとんど関わることはなかった。愛情さえも与える事ができなかったと悔いばかりが残っている。この子が望むものは全て叶えてあげたい。流れ星に願おう。そう言った愛しい人の言葉を胸に、我が子に与えた名前。


5年後、その願いは聞き届けられた。この名前がきっかけで奇跡が起きる。アルフレッドに作らせた庭園の迷路で、ミーティアが、愛しいハリーの息子であるバージルと出会った。たくさんの奇跡が絡み合って、エリアナの心に火が灯る。母親としてミーティアにできる事。王妃としてできる事。末娘のミーティアに全てを注いだ。姉二人の王女にもきちんと縁談は整えるが、ミーティアが幸せになれない未来は絶対に許されないと自分に言い聞かせた。


10年経ってミーティアが15歳になった。待った、待ち望んだ時がきた。25歳になったバージルは、ハリーの面影がある優しく穏やかな青年だった。



『流れ星が流れたら、互いを思い出そう・・・僕は君の幸せを願って、君は僕の幸せを願って欲しい。その時だけは誰にも邪魔されない、僕達だけの時間だ・・・』



あの時ハリーから言われた言葉は今でも覚えて言える。あの日から30年・・・


自身の娘と愛しい人の息子がついに一緒になった。歓喜した。しかし、奇跡はそれだけでは終わらない。その娘夫婦が、エリアナとハリーの実話を元にした物語を作り、祭りを作ったのだ。





流星の祝祭。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



次回


彼が幸せになりますように・・・

彼女が幸せになりますように・・・