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王太子アルフレッドの新たな婚約者

君からの罰

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これまでエリアナが距離をとっていた事の理由を、初めて知ったアルフレッド。


「私のわがままで、殿下には大変な思いをさせていると思っております」

「いいんだ、たくさんわがまま言ってくれ」

「殿下と結婚した身なのに、いまだに他の人を想っているのです」

「それだけ真剣に愛していたという事であろう」

「結婚式の誓いのキスは避けましたわ」

「なっ・・・あれは避けられていたのか」

「言葉で誓えても、心が誓えませんでした」

「仕方がないと思っている。私は怒ってはいないぞ?」

「キスはできません」

「なぜだかわからんが・・・ちょっと悲しい・・・でも、我慢する」

「私は酷い女です・・・殿下に我慢させてしまう女なのですね」

「いやっ、いいのだ!私が勝手に我慢するのだ、エリアナは悪くない」

「私は悪女ですわね」

「何を言う!エリアナは女神だ、悪女なんかではない!」

「私なんかが・・・女神様に申し訳ありませんわ」

「それは間違っている。エリアナが女神であるから、他に女神は存在しない」

「・・・私・・・神様でしたか」

「あぁ、そうだ。私はエリアナ信者だ。毎日祈るぞ」

「では、天に戻らなくてはなりませんね」

「こ、困る!どこにも行くな!エリアナの居場所はここだ。私の所だ!」

「殿下・・・」

「エリアナ、私はエリアナに会えないだけで執務さえできない使えない男になるのだ・・・毎日マルクスに叱られている・・・マルクスよりエリアナに叱られたい。エリアナにだったら叱られても喜ぶぞ?もちろん褒めてくれればもっと嬉しいが、褒められるような男ではないのは、きちんと理解している。だから・・・だから、エリアナがいないと困るのだ・・・好きと言われなくてもよい。私が勝手にエリアナを好きなのだ。これは片想いだ。だから好きでいる事を許してくれ。毎日愛を伝えるのを許可してほしい」

「殿下・・・お願いがありますわ」

「なんだ!?なんでも聞くぞ!あ・・・もう、会わないとかは・・・言わないでくれると助かるが・・・」

「殿下、次回から夜会は私をエスコートしてくださいませ。殿下の選んだドレスでお供したいですわ。それからお手紙は毎日お待ちしております。殿下手ずから届けてくださいまし。あと、王宮の私の部屋を整えてくださいませね?ずっと使っておりませんでしたから。どうなっているのか存じません。それから、毎日殿下の頭を撫でたいですわ。犬を世話しているみたいで楽しいんです」

「・・・そんな事で・・・いいのか?私に利点しかないではないか」

「もうひとつありましたわ!」

「な、なんだ、申してみよ!」

「寝室は別でお願いしますね」

「そ、そうか・・・仕方あるまいな」

「私の覚悟ができるまでお待ちください」

「そうれはどう言う・・・?」

「私の覚悟が決まりましたら、初夜を行いましょう。それまで寝室のお手入れは欠かさずお願いします」

「・・・」

「ダメでしたか?」

「い、いいや・・・全然よい!むしろ良い!」

「むしろ・・・良い?」

「こうなってしまったのも、全て私の責任だ。エリアナがすぐそこにいるというだけで嬉しい。だからきちんと夫婦になるにはまだ時間が必要だ。それは私への罰だ。エリアナのいう事には私への罰が一つもない。それではいけないのだ。だからこれでいい、これでいいんだ」

「では、私はサファイア宮の整理を始めます。三日後に王宮に移りますので、花を持って迎えにきてくださいませ」

「花?」

「愛を請うのには定番ですのよ?私、殿下から花を頂いた事がありませんの」

「・・・私は本当に馬鹿なのだな・・・痛感した」

「アルフレッド様」

「!!」

「二人の時はそう呼びます」

「・・・」

「あら、お嫌でした?」

「い、いいや、呼んでいい!皆の前でも呼んでいいぞ!」

「そこはご遠慮いたしますわ」

「・・・そ、そうか・・・」

「はい、それではお引越し準備です。アルフレッド様も戻って準備してください」

「はい!!!」


アルフレッドは元気に返事をすると急いで王宮へと戻っていった。





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次回

もう、同じ場所には咲けないのです



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