114 / 211
王太子アルフレッドの新たな婚約者
君からの罰
しおりを挟むこれまでエリアナが距離をとっていた事の理由を、初めて知ったアルフレッド。
「私のわがままで、殿下には大変な思いをさせていると思っております」
「いいんだ、たくさんわがまま言ってくれ」
「殿下と結婚した身なのに、いまだに他の人を想っているのです」
「それだけ真剣に愛していたという事であろう」
「結婚式の誓いのキスは避けましたわ」
「なっ・・・あれは避けられていたのか」
「言葉で誓えても、心が誓えませんでした」
「仕方がないと思っている。私は怒ってはいないぞ?」
「キスはできません」
「なぜだかわからんが・・・ちょっと悲しい・・・でも、我慢する」
「私は酷い女です・・・殿下に我慢させてしまう女なのですね」
「いやっ、いいのだ!私が勝手に我慢するのだ、エリアナは悪くない」
「私は悪女ですわね」
「何を言う!エリアナは女神だ、悪女なんかではない!」
「私なんかが・・・女神様に申し訳ありませんわ」
「それは間違っている。エリアナが女神であるから、他に女神は存在しない」
「・・・私・・・神様でしたか」
「あぁ、そうだ。私はエリアナ信者だ。毎日祈るぞ」
「では、天に戻らなくてはなりませんね」
「こ、困る!どこにも行くな!エリアナの居場所はここだ。私の所だ!」
「殿下・・・」
「エリアナ、私はエリアナに会えないだけで執務さえできない使えない男になるのだ・・・毎日マルクスに叱られている・・・マルクスよりエリアナに叱られたい。エリアナにだったら叱られても喜ぶぞ?もちろん褒めてくれればもっと嬉しいが、褒められるような男ではないのは、きちんと理解している。だから・・・だから、エリアナがいないと困るのだ・・・好きと言われなくてもよい。私が勝手にエリアナを好きなのだ。これは片想いだ。だから好きでいる事を許してくれ。毎日愛を伝えるのを許可してほしい」
「殿下・・・お願いがありますわ」
「なんだ!?なんでも聞くぞ!あ・・・もう、会わないとかは・・・言わないでくれると助かるが・・・」
「殿下、次回から夜会は私をエスコートしてくださいませ。殿下の選んだドレスでお供したいですわ。それからお手紙は毎日お待ちしております。殿下手ずから届けてくださいまし。あと、王宮の私の部屋を整えてくださいませね?ずっと使っておりませんでしたから。どうなっているのか存じません。それから、毎日殿下の頭を撫でたいですわ。犬を世話しているみたいで楽しいんです」
「・・・そんな事で・・・いいのか?私に利点しかないではないか」
「もうひとつありましたわ!」
「な、なんだ、申してみよ!」
「寝室は別でお願いしますね」
「そ、そうか・・・仕方あるまいな」
「私の覚悟ができるまでお待ちください」
「そうれはどう言う・・・?」
「私の覚悟が決まりましたら、初夜を行いましょう。それまで寝室のお手入れは欠かさずお願いします」
「・・・」
「ダメでしたか?」
「い、いいや・・・全然よい!むしろ良い!」
「むしろ・・・良い?」
「こうなってしまったのも、全て私の責任だ。エリアナがすぐそこにいるというだけで嬉しい。だからきちんと夫婦になるにはまだ時間が必要だ。それは私への罰だ。エリアナのいう事には私への罰が一つもない。それではいけないのだ。だからこれでいい、これでいいんだ」
「では、私はサファイア宮の整理を始めます。三日後に王宮に移りますので、花を持って迎えにきてくださいませ」
「花?」
「愛を請うのには定番ですのよ?私、殿下から花を頂いた事がありませんの」
「・・・私は本当に馬鹿なのだな・・・痛感した」
「アルフレッド様」
「!!」
「二人の時はそう呼びます」
「・・・」
「あら、お嫌でした?」
「い、いいや、呼んでいい!皆の前でも呼んでいいぞ!」
「そこはご遠慮いたしますわ」
「・・・そ、そうか・・・」
「はい、それではお引越し準備です。アルフレッド様も戻って準備してください」
「はい!!!」
アルフレッドは元気に返事をすると急いで王宮へと戻っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
もう、同じ場所には咲けないのです
0
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
女性執事は公爵に一夜の思い出を希う
石里 唯
恋愛
ある日の深夜、フォンド公爵家で女性でありながら執事を務めるアマリーは、涙を堪えながら10年以上暮らした屋敷から出ていこうとしていた。
けれども、たどり着いた出口には立ち塞がるように佇む人影があった。
それは、アマリーが逃げ出したかった相手、フォンド公爵リチャードその人だった。
本編4話、結婚式編10話です。
可愛すぎてつらい
羽鳥むぅ
恋愛
無表情で無口な「氷伯爵」と呼ばれているフレッドに嫁いできたチェルシーは彼との関係を諦めている。
初めは仲良くできるよう努めていたが、素っ気ない態度に諦めたのだ。それからは特に不満も楽しみもない淡々とした日々を過ごす。
初恋も知らないチェルシーはいつか誰かと恋愛したい。それは相手はフレッドでなくても構わない。どうせ彼もチェルシーのことなんてなんとも思っていないのだから。
しかしある日、拾ったメモを見て彼の新しい一面を知りたくなってしまう。
***
なんちゃって西洋風です。実際の西洋の時代背景や生活様式とは異なることがあります。ご容赦ください。
ムーンさんでも同じものを投稿しています。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる