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王太子アルフレッドの新たな婚約者

半年の猶予

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アルフレッドはナディアに婚約破棄を告げた。


「ナディア、君との婚約は破棄する。僕は守らなければならない女性ができた」

「婚約・・・破棄ですか・・・それは、カプリ男爵令嬢でございましょうか?」

「わかってるなら話は早い」

「私にお気持ちが向いていないのはわかっておりました。しかし、これまでの王太子妃教育に費やした時間は戻ってこないのですよ・・・カプリ男爵令嬢がこれからそれを行うなど・・・大丈夫でしょうか?」

「心配はいらん。ソフィアは優秀だ。そんな言い訳を使ったところでこの話は覆らん」

「陛下はこの事をご存知なのですか?」

「問題ない。ソフィアなら受け入れられるだろう」

「そうですか・・・わかりました。そこまでおっしゃるなら、そのように」

「正式な手続きは追って連絡する」

「では、失礼します・・・」



ナディアか部屋から出ていった。


「これでソフィアを婚約者にできる!ソフィアを守れるのは私だけだ!」


アルフレッドはその足ですぐさまソフィアの屋敷に向かった。


「ソフィア、ナディアとの婚約を破棄してきた!これで一緒になれるぞ!」

「本当ですか!?お父様もアルフレッド様がお相手ならお許しくださいますわ」

「あぁ、きっと大丈夫だ。心配ない・・・ソフィアは私が守る」

「・・・はい、アルフレッド様」


アルフレッドは愚かだった。子ができたとわかれば、何かしら体調の変化もおきてよさそうなもの。しかし、ソフィアにはそれが見受けられなかった。この時、いや、もっと早くにおかしいと気付くべきだったのだ。



翌日、アルフレッドは父である国王に呼び出される。


「アルフレッド!お前はナディア嬢に、ワルシャワ公爵家になんということをしてくれたのだ!」

「ナディアが嫌だったわけではありません。他の女性を好きになってしまったのです、仕方がないではありませんか」

「仕方がないだと!?ナディア嬢は、王太子妃教育に5年を捧げたのだぞ!」

「それは申し訳なく思います。しかし、ナディアほどであれば、他に縁談はいくらでも」

「そういうことではない!お前は次期国王としての地位すら危ぶまれることになるのだぞ!」

「なぜです!王子は私しかいません、私が国王にならず、誰がなるというのです」

「・・・お前は馬鹿なのか・・・もう少し聡明だと思っていたぞ・・・」

「父上、何が間違っているというのです」

「確かに王子はお前だけだ。だがな、そうは言っても、後ろ盾も必要だ。今回の事で、筆頭公爵家のワルシャワ家はもちろん、大半の貴族の支持を失ったと思え。お前が国王の器ではないと評されれば、反旗を翻されることもありえる。

「そ、そんな事・・・しかし、婚約者はもう見つけてあります」

「あぁ、影から報告を受けている。男爵令嬢なのだろう?」

「ソフィアは男爵令嬢ですが、すばらしい女性です!」

「すばらしい女性か・・・男を籠絡する事に長けているようだな」

「父上、彼女を侮辱しないでください。それに、ソフィアのお腹には私との子がいるのです」

「・・・はぁ・・・愚かだな。疑いもせんとは・・・よかろう」

「で、では、ソフィアを婚約者に!」

「半年だ」

「半年とは?」

「すぐに王太子妃教育に入ってもらう」

「待ってください、子が宿っていると申したでしょう!無理はさせれません!」

「座って話を聞いて知識を詰め込めはいいのだ。なんの無理がある。それにお前との時間をとる事はできない、つまり会う事はできないぞ?猶予は半年だ。半年で全ての教育を済ませてもらう。それができなければ婚約は認めん」

「そ、そんなの・・・無理に決まってるではないですか!ナディアが5年もかけて学んだものを半年だなんて」

「何を言っておる。ナディア嬢は10歳の幼子の時に始めた事だぞ?学園を卒業し、淑女教育を済ませている歳の娘になら容易かろう?」

「し、しかし・・・」

「とにかく異論は認めん。それと、今回の事で、王家とナディア嬢は接見禁止を申し出された。ナディアの了承がなければ会うことは叶わん。その事で、ナディアを気に入っておった王妃は、心を痛め倒れた。サファイア宮は静養の為、立ち入り禁止だ」

「・・・母上が・・・」


アルフレッドは国王の言葉に事の重大さに気付くも、ソフィアが教育をすませることができれば認めてもらう事ができるという一抹の望みに賭けた。



ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

それだけだと思うか?

お前は、何も知らないのだな・・・



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