流星姫は平凡騎士をご所望です

６０、昔恋人だった二人

流星の祝祭。


昔恋人だった二人は、長い長い時間をかけて、やっと夫婦になれました

昔恋人だった二人が、城の一室で、二人の時間を取り戻す。


「ハリー・・・」
「エリー・・・」
「子ども達に、勝手にその先を決められたわ」
「あぁ、驚いたよ。私達の子ども達は、未来予知ができるらしい」
「・・・未来予知？」
「物語の通りにしないと、嘘になってしまうんじゃないか？」
「・・・ハリー！！」

王妃がハリーの首に腕をまわし飛びつくと、しっかりと抱きとめた。

「もう、オジサンになってしまったよ。こんな私でもいいのかな？」
「それを言うなら私だって歳をとったわ・・・」
「いや、君は美しいよ。何年経っても、これからもそれは変わらない」


陽も落ちて、星の飾りに灯りがつき、たくさんの星が煌めいていた。


「ねぇ、ジル・・・お母様達、うまくいったかしら？」
「あぁ、きっと大丈夫だ」
「勝手に未来を決めてしまったわね」
「嘘には悪い嘘といい嘘がある。いい嘘をついたら、本当になった。それだけだ」
「毎年、お祝いしましょうね」


ミーティアの瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。


「かわいいお姫様、なぜ泣いているのですか？」
「・・・嬉しくて、幸せで、涙が止まらないのです」
「あれ、セリフが違うな」
「だっていじめる男の子はもういないもの。いるのはわたくしの心優しい騎士様だけよ」
「ふっ、間違いないな」



二人には三人の子が産まれた。第一王子のレグルス。第一王女、スピカ。第二王子、アークトゥルス。三人とも春に誕生した。



流星の祝祭で、再度想いが通じ合った王妃エリアナと、ユリシール子爵ハリー。王妃エリアナと国王アルフレッド・レクノールとの離縁が成立され、エリアナはユリシール子爵夫人となった。ユリシール領の屋敷で、侯爵夫人として過ごしている。子爵家は、繊維業が盛んだったが、ミーティアがレグルスを懐妊した時に、王家御用達の衣類や小物類を数多く手がけ、税収が上がり国に貢献したとして、侯爵位を賜ったのだった。子爵夫人になるべくハリーと結婚したエリアナは、ユリシール家で侯爵夫人となった。




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次回は最終回！！



亡き母へ、ありがとう

強かな明るい彼女は母上に