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26、月夜のデート
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ミーティアがライアンに襲われる事件が発生した。
お互いの存在と温もりを確かめるように寄り添って過ごした。
陽も落ちて暗くなった頃。
「ティア、月夜のデートにお誘いしても?」
「うん!」
「ははっ、寒いからあたたかくしてな」
二人は昨晩と同じ庭園に向かい、ベンチに並んで座ると静かに星を眺めた。
バージルは、どう話を切り出すか思案していた。しばらくして、バージルは自分の不安と揺らいでる気持ちを露わにするようにミーティアに問いかける。
「ティア・・・」
「なに?」
「俺はしがない子爵家の次男で、跡取りでもない」
「そうなのね」
「騎士団でも役職にも就いてないし、目立った功績もない」
「知ってる」
「歳も10離れてる」
「そうね」
「先に死ぬかもしれない」
「そんなの時が経ってみないとわからないわ」
「地位も名誉も、何も持ってない男だぞ」
「ジルがいてくれればいい」
「・・・」
あまりにも当たり前のように返答してくるミーティア。バージルは意を決して話を進める。
「陛下がデビュタントの夜会で、ミーティアの婚約を発表するらしい」
「何よそれ、聞いてないわ!」
「陛下のお考えで」
バージルの言葉を遮り、感情を露わにする。
「お父様ったらわたくしに何も聞かずに決めるなんて!ジル以外認めないって今日話したばかりなのに!わたくしお父様に抗議してくるわ!」
立ち上がり駆け出そうとするミーティアを、バージルは腕を引いて抱き止める。
「待て」
「あんまりよ・・・」
ミーティアのサファイアのような瞳が次第に潤み出し、耐えきれず涙が落ちた。
「ティア、最後まで聞け。まだ何も話してない」
「うっ・・・いや・・・聞きたくない」
「じゃあ、夜会のエスコートはできないな」
「うっ・・・バージルがいい、バージルじゃなきゃダメなの」
「陛下はな・・・夜会のエスコートを任せる事に、条件を出された。覚悟ができたならエスコートをもって意を示せと」
「条件って?お父様は何を?」
何も言わないバージルをミーティアが不安そうな顔で覗き込む。
「・・・ジル?」
「陛下は・・・陛下からのお言葉だ。ミーティアが選んだ男を婚約者とする。お前に覚悟ができたなら、夜会でのエスコートをするようにと」
「それって・・・」
「ティアが選んだ俺を認めて下さっている。夜会で婚約発表を行い、周知すると・・・」
「ジル・・・は、嬉しくないの?」
「嬉しいよ・・・だが・・・」
バージルはあと少し、あと少しの、一歩を踏み出す為の勇気が欲しかった。
ーーーーーお知らせーーーーー
近日、新作投稿開始します
仮タイトル
【影、落ちました】
王家の侍従で影としての裏の顔も持つノアール。ある日、落ちてしまう。屋根から!?
感情を表に出さないノアールは、ある1人の令嬢から絆され、感情に抑えが効かなくなってしまう。
別人のようになってしまったノアールは、独占欲丸出しの、まるでじゃれつく大型犬!?
女性にべったり独占欲丸出し、怖がり甘えたな年上男子が好きな方は是非!!
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「なに?」
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「何よそれ、聞いてないわ!」
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「待て」
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「うっ・・・いや・・・聞きたくない」
「じゃあ、夜会のエスコートはできないな」
「うっ・・・バージルがいい、バージルじゃなきゃダメなの」
「陛下はな・・・夜会のエスコートを任せる事に、条件を出された。覚悟ができたならエスコートをもって意を示せと」
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何も言わないバージルをミーティアが不安そうな顔で覗き込む。
「・・・ジル?」
「陛下は・・・陛下からのお言葉だ。ミーティアが選んだ男を婚約者とする。お前に覚悟ができたなら、夜会でのエスコートをするようにと」
「それって・・・」
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