7 / 211
7、国王陛下
しおりを挟む
テオドールとバージルは謁見申請をし、翌日国王の執務室へと向かった。
コンコンコン。
「入れ」
「失礼します、第二騎士団・騎士団長テオドール・ジャンクが参りました」
「同じく第二騎士団所属、バージル・ユリシールです」
「ああ、よく来てくれた、そっちにかけてくれ」
テオドールとバージルは、国王と向かい合ってソファにかける。
「ジャンク騎士団長、先日の夜会警備の件、人員を借りて助かった」
「いいえ、お力になれて幸いです」
「ミーティアが第二騎士団に押し掛けたようで迷惑をかけたな」
「いえいえ、男ばかりのむさ苦しい所です、明るい王女殿下が来られる事で、賑やかで花が咲くと騎士達も喜んでいますよ」
「そう言ってくれると父としては嬉しいな」
「第二騎士団は、主に市井の町の警備が主な仕事ですから、こういう事でもなければ、お目にかかる機会もありませんから、騎士達の士気も上がります」
「そうか、では騎士団に立ち入る事を咎めはできぬな」
国王はバージルに視線を移しじっと見据える。
「・・・君がバージルか」
「はい、バージル・ユリシールと申します」
「・・・バージル・・・ユリシール」
(そんなに見ないでくれよ・・・)
バージルは冷や汗が出て、緊張で眩暈がしそうだった。
「話はミーティアから聞いている、娘の好みがこういう男だったとは知らなかったが、君は役職にはついていないな?王宮に出入りもあまりなかったのではないか?」
「は、はい、私は、王宮にもあまり立ち入っておりませんでしたので、つい数日前までミーティア王女殿下のお顔も存じ上げませんでした」
「では、どうやって知り合ったのだ?」
「王女殿下が私をお知りになったのは、10年前の王宮での茶会の際だと聞いております」
「10年前というと、ミーティアが5歳ほどの時ではないか?しかし、君の家名はユリシールと言ったな?」
「左様です」
「ユリシール家には息子が2人おったはず。君はミーティアと同じ茶会に出るような歳には見えんが?」
「はい、私は茶会の参加者ではありません。
当時、入団したての見習い騎士でした。
王宮や庭園などの配置を覚える為に周っていた際、茶会の会場付近を通ったようです」
「付近を通ったようだとは、会場にいたわけではないのか?」
「ええ、会場には立ち入っておりません、王女殿下を初めてお見かけしたのは、庭園の生垣の迷路の中で泣いていらっしゃった時です」
「ミーティアが泣いていたとは?」
「茶会に参加していた姫様方の婚約者候補の令息のどなたかに、心ない事を言われたようで、傷ついていらっしゃったそうです」
途端に国王の眉間に皺がよった。
コンコンコン。
「入れ」
「失礼します、第二騎士団・騎士団長テオドール・ジャンクが参りました」
「同じく第二騎士団所属、バージル・ユリシールです」
「ああ、よく来てくれた、そっちにかけてくれ」
テオドールとバージルは、国王と向かい合ってソファにかける。
「ジャンク騎士団長、先日の夜会警備の件、人員を借りて助かった」
「いいえ、お力になれて幸いです」
「ミーティアが第二騎士団に押し掛けたようで迷惑をかけたな」
「いえいえ、男ばかりのむさ苦しい所です、明るい王女殿下が来られる事で、賑やかで花が咲くと騎士達も喜んでいますよ」
「そう言ってくれると父としては嬉しいな」
「第二騎士団は、主に市井の町の警備が主な仕事ですから、こういう事でもなければ、お目にかかる機会もありませんから、騎士達の士気も上がります」
「そうか、では騎士団に立ち入る事を咎めはできぬな」
国王はバージルに視線を移しじっと見据える。
「・・・君がバージルか」
「はい、バージル・ユリシールと申します」
「・・・バージル・・・ユリシール」
(そんなに見ないでくれよ・・・)
バージルは冷や汗が出て、緊張で眩暈がしそうだった。
「話はミーティアから聞いている、娘の好みがこういう男だったとは知らなかったが、君は役職にはついていないな?王宮に出入りもあまりなかったのではないか?」
「は、はい、私は、王宮にもあまり立ち入っておりませんでしたので、つい数日前までミーティア王女殿下のお顔も存じ上げませんでした」
「では、どうやって知り合ったのだ?」
「王女殿下が私をお知りになったのは、10年前の王宮での茶会の際だと聞いております」
「10年前というと、ミーティアが5歳ほどの時ではないか?しかし、君の家名はユリシールと言ったな?」
「左様です」
「ユリシール家には息子が2人おったはず。君はミーティアと同じ茶会に出るような歳には見えんが?」
「はい、私は茶会の参加者ではありません。
当時、入団したての見習い騎士でした。
王宮や庭園などの配置を覚える為に周っていた際、茶会の会場付近を通ったようです」
「付近を通ったようだとは、会場にいたわけではないのか?」
「ええ、会場には立ち入っておりません、王女殿下を初めてお見かけしたのは、庭園の生垣の迷路の中で泣いていらっしゃった時です」
「ミーティアが泣いていたとは?」
「茶会に参加していた姫様方の婚約者候補の令息のどなたかに、心ない事を言われたようで、傷ついていらっしゃったそうです」
途端に国王の眉間に皺がよった。
2
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
一途な溺愛が止まりません?!〜従兄弟のお兄様に骨の髄までどろどろに愛されてます〜
Nya~
恋愛
中立国家フリーデン王国のたった一人の王女であるプリンツェッスィン・フリーデンには六つ上の従兄のヴァール・アルメヒティヒがいた。プリンツェッスィンが生まれてこの方親のように、いや親以上にヴァールが彼女のお世話をしてきたのだ。そしてある日二人は想いが通じるが、一筋縄ではいかない理由があって……?◇ちゃんとハッピーエンドなので安心して見れます!◇一途な溺愛が止まりません?!シリーズ第二弾!従兄×従妹の話になります!第一弾の「一途な溺愛が止まりません?!〜双子の姉妹は双子の兄弟にとろとろに愛されてます〜」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/721432239/761856169)の続編になります。第一弾を見なくても一応話は通じるようにはしてますが、第一弾を読了後だとなお分かりやすいと思うので、是非第一弾も読んでみてください!◇※本番以外の軽度描写は☆、本番Rは★をタイトル横につけてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる