6 / 211
6、王女のお願い
しおりを挟む
出世欲のなさが引き起こした事、それは、バージルが目立たない普通の平凡な騎士になってしまった事。
「でも、夢じゃなくてよかったわ!バージルは実在したわ!あっそうだ、わたくしバージルにお願いがあるのだけれど・・・聞いてくれる?」
「内容によりますが」
「デビュタントのエスコートをお願いしたいの!」
「はぁっ!?俺がですか!?」
「バージルがいいの!」
ミーティアは、バージルからの了承の返事を、キラキラした瞳でワクワクして待っている。
(そんな期待する目で見ないでくれよ・・・)
「他の男に触れられるなんて虫唾が走るわ」
ぷいっと顔を背ける仕草はまだ幼さが見えて可愛らしく見えた。
「しかし、王女殿下、ダンスなどはどうするんです?他の令息達と踊らないというわけにはいかないでしょう・・・」
「断ればいいのよ、わたくしバージルとしか踊らないわ」
「ミーティア王女殿下、バージルが夜会に出席できるように、第二騎士団として調整は可能ですが、陛下はこの事はご存じでしょうか?」
「もし、お父様がいいって言ってくれたら、バージルはエスコートしてくれる?」
(ああ、これ、断れないやつだ・・・)
「・・・王女殿下のお心のままに」
「本当!?じゃあ、お父様に許可貰ってくる!許可が出たら、ジャンク騎士団長よろしくね!」
「かしこまりました、お力になりましょう」
ミーティアは、姿が見えなくなるまで何度も振り返って手を振った。
「まさかバージルが、ミーティア王女殿下にロックオンされていたとは驚いたな。
しかも、ミーティア王女殿下があんなに明るい性格だったとは、騎士団長として王宮に出入りしている俺も知らなかったよ」
「え?テオしらなかったのぉ?」
「ああ、遠目に見るだけの事が多かったし、挨拶程度で深い話はした事がなかったからね」
「なあ、やっぱ、俺、もうすぐ命日なのか?」
「そうならないように頑張るしかないようだな」
「バージルは、まずダンスの練習しなきゃねぇ」
翌日、バージルが騎士団の詰所の通路を歩いていると、金色の小さな塊が今度は横からぶつかってきた。
ドンッ!
「ぐえっ!」
今度は横に倒れる。
「あたたたた・・・」
「バージル見つけた!」
「お、王女殿下・・・お手柔らかにお願いします・・・」
「だって、早くバージルに会いたかったんだもの!」
(言ってることは可愛い・・・言ってることはな)
ミーティアは、サファイアのような瞳をキラキラさせてバージルを見ている。
そこへ騎士団長のテオドールが通りかかる。
「これは、ミーティア王女殿下、今日もバージルに会いに来られていたのですね」
テオドールがにっこりと微笑んで二人を見ている。
「こんにちはジャンク騎士団長、ちょうどよかったわ」
「どうされました?」
「昨日帰ってからお父様にお話ししたの、そしたら騎士団長と一緒にバージルを連れて来いって」
「陛下がですか」
「テオドール・・・俺の命日早まったらしい・・・」
「でも、夢じゃなくてよかったわ!バージルは実在したわ!あっそうだ、わたくしバージルにお願いがあるのだけれど・・・聞いてくれる?」
「内容によりますが」
「デビュタントのエスコートをお願いしたいの!」
「はぁっ!?俺がですか!?」
「バージルがいいの!」
ミーティアは、バージルからの了承の返事を、キラキラした瞳でワクワクして待っている。
(そんな期待する目で見ないでくれよ・・・)
「他の男に触れられるなんて虫唾が走るわ」
ぷいっと顔を背ける仕草はまだ幼さが見えて可愛らしく見えた。
「しかし、王女殿下、ダンスなどはどうするんです?他の令息達と踊らないというわけにはいかないでしょう・・・」
「断ればいいのよ、わたくしバージルとしか踊らないわ」
「ミーティア王女殿下、バージルが夜会に出席できるように、第二騎士団として調整は可能ですが、陛下はこの事はご存じでしょうか?」
「もし、お父様がいいって言ってくれたら、バージルはエスコートしてくれる?」
(ああ、これ、断れないやつだ・・・)
「・・・王女殿下のお心のままに」
「本当!?じゃあ、お父様に許可貰ってくる!許可が出たら、ジャンク騎士団長よろしくね!」
「かしこまりました、お力になりましょう」
ミーティアは、姿が見えなくなるまで何度も振り返って手を振った。
「まさかバージルが、ミーティア王女殿下にロックオンされていたとは驚いたな。
しかも、ミーティア王女殿下があんなに明るい性格だったとは、騎士団長として王宮に出入りしている俺も知らなかったよ」
「え?テオしらなかったのぉ?」
「ああ、遠目に見るだけの事が多かったし、挨拶程度で深い話はした事がなかったからね」
「なあ、やっぱ、俺、もうすぐ命日なのか?」
「そうならないように頑張るしかないようだな」
「バージルは、まずダンスの練習しなきゃねぇ」
翌日、バージルが騎士団の詰所の通路を歩いていると、金色の小さな塊が今度は横からぶつかってきた。
ドンッ!
「ぐえっ!」
今度は横に倒れる。
「あたたたた・・・」
「バージル見つけた!」
「お、王女殿下・・・お手柔らかにお願いします・・・」
「だって、早くバージルに会いたかったんだもの!」
(言ってることは可愛い・・・言ってることはな)
ミーティアは、サファイアのような瞳をキラキラさせてバージルを見ている。
そこへ騎士団長のテオドールが通りかかる。
「これは、ミーティア王女殿下、今日もバージルに会いに来られていたのですね」
テオドールがにっこりと微笑んで二人を見ている。
「こんにちはジャンク騎士団長、ちょうどよかったわ」
「どうされました?」
「昨日帰ってからお父様にお話ししたの、そしたら騎士団長と一緒にバージルを連れて来いって」
「陛下がですか」
「テオドール・・・俺の命日早まったらしい・・・」
3
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
【第一部完結】保健室におっさんは似合わない!
ウサギテイマーTK
キャラ文芸
加藤誠作は私立男子校の養護教諭である。元々は、某旧帝大の医学部の学生だったが、動物実験に嫌気がさして、医学部から教育学部に転部し、全国でも70人くらいしかいない、男性の養護教諭となった、と本人は言っている。有名な推理小説の探偵役のプロフを、真似ているとしか言えない人物である。とはいえ、公立の教員採用試験では、何度受けても採点すらしてもらえない過去を持ち、勤務態度も決して良いとは言えない。ただ、生徒の心身の問題に直面すると、人が変わったように能力を発揮する。これは加藤と加藤の同僚の白根澤が、学校で起こった事件を解決していく、かもしれない物語である。
第一部完結。
現在エピソード追加中。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
義妹のギャルに初恋を奪われた話
白藍まこと
恋愛
水野澪(みずのみお)は、先輩で生徒会長の青崎梨乃(あおざきりの)を尊敬していた。
その憧れの感情から自身も生徒会に入ってしまうくらいに。
しかし、その生徒会では度々だが素行不良の生徒として白花ハル(しらはなはる)の名前が挙がっていた。
白花を一言で表すならギャルであり、その生活態度を改められないかと問題になっていたのだ。
水野は頭を悩ませる、その問題児の白花が義妹だったからだ。
生徒会と義姉としての立場で板挟みになり、生徒会を優先したい水野にとって白花は悩みの種でしかなかった。
しかし一緒に生活を共にしていく中で、その気持ちに変化が生じていく。
※他サイトでも掲載中です。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる