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5、望む理由
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応接室に入った4人は、テオドールの横にトーマス、ミーティアの横にバージルで向かい合って座る。
「しかし、10年前と言うと、ミーティア王女殿下が5歳頃の事でしょうか?」
テオドールがミーティアに伺う。
「そうよ、わたくし達姉妹の婚約者候補や側近候補を集めたお茶会があった日よ」
「そうなりますと、バージルと王女殿下では、10歳離れていますので年齢があいませんね。当時15歳だったバージルが、そのお茶会に参加していたとは考えにくいのですが・・・」
「そのお茶会で、ある男の子にお姉様達のお名前は花の名前なのに、何でお前だけ花の名前じゃないんだ?親から可愛がられてないんだって言われたの」
「心ない事を言う令息がいたものですね」
少しずつ当時を思い出してきたのか、バージルが話し出す。
「ああ、そう言えば、あのくらいの年齢の男の子によくありがちな、気になってる子に振り向いてほしくて意地悪するっていうあれかとか思ったんだっけ」
「それで、誰も咎めてもくれないし、悲しくて、辛くて、庭園の迷路に逃げ込んで、一人で泣いてたの。
そしたらバージルが見つけてくれて、わたくしの名前は流星、流れ星だって、わたくしを星の妖精姫なんだって言ってくれたのよ!」
「バージルもそんなロマンチックな事が言えるんですねぇ」
トーマスがニヤリと笑い、面白そうに言う。
(やめろ、やめてくれ・・・)
バージルは恥ずかしくなって、居た堪れない気持ちになった。
「それだけなら、本で読んだ王子様みたいって思っただけだったかもしれないわ。
でもバージルは、そのあと、近くを通ったメイドに、お茶会であった事を説明して、お茶会会場には戻さないほうがいいって話してくれて、私、嬉しかったわ!
誰も守ってくれなかった、優しくしてくれなかったのに、バージルだけは味方になってくれたもの!
だから私の騎士様なのよ!」
「それで、好きだったバージルを探していたと言う事でしたか」
「ええ、でも、中々会えないから、あれは夢だったのかしらって、すごく落ち込んだわ」
「侍女かメイドにでも話していただければ、すぐにお調べできたでしょうに」
「あの時、また会える?って聞いたら、バージルは、きっと会えますって言ったの、だからすぐ会えると思ってたの。
護衛騎士につく事があるかもしれないって待ってたわ」
「配属次第では、顔を合わせない事もありますね。
バージルは入団後、第二騎士団に所属しておりますから、王族の護衛や王宮警備にはつきませんので、これまで会うことがなかったという事でしょうね」
「テオ、これはバージルの出世欲のなさが招いた事だねぇ」
「出世欲ってどういうことかしら?」
「バージルは、剣の才は全ての騎士団の中でも、5本の指に入るくらいに実力があります。
戦略などの策も群を抜いて優秀なのですが、いかんせん、地位や名誉に興味が無いのですよ。
もしそこに少しでも欲を持てば、こいつなら軍師や副騎士団長にはすぐなれますよ。
そうしていれば、ミーティア王女殿下の目のつく所にしばしば居合わせたかもしれませんね」
「そうでしたのね。わたくしあの日から、茶会も夜会も怖くて出てないの。
もうすぐデビュタントがあるのだけれど、人前に出るのはあの日の茶会以来なのよ。
あまりにも人前に出ないものだから、深窓の姫、幻の姫なんて言われて、噂が独り歩きしてるわ」
「確かに、王宮に出入りするものでなければ、王女殿下のお顔を存じ上げないのも納得出来ますね」
「だからバージルは、ミーティア王女殿下がわからなかったというわけだねぇ」
「えっ、俺のせい!?」
「そういう事になるねぇ」
出世をしなかったお前が悪いと言われたバージルだった。
「しかし、10年前と言うと、ミーティア王女殿下が5歳頃の事でしょうか?」
テオドールがミーティアに伺う。
「そうよ、わたくし達姉妹の婚約者候補や側近候補を集めたお茶会があった日よ」
「そうなりますと、バージルと王女殿下では、10歳離れていますので年齢があいませんね。当時15歳だったバージルが、そのお茶会に参加していたとは考えにくいのですが・・・」
「そのお茶会で、ある男の子にお姉様達のお名前は花の名前なのに、何でお前だけ花の名前じゃないんだ?親から可愛がられてないんだって言われたの」
「心ない事を言う令息がいたものですね」
少しずつ当時を思い出してきたのか、バージルが話し出す。
「ああ、そう言えば、あのくらいの年齢の男の子によくありがちな、気になってる子に振り向いてほしくて意地悪するっていうあれかとか思ったんだっけ」
「それで、誰も咎めてもくれないし、悲しくて、辛くて、庭園の迷路に逃げ込んで、一人で泣いてたの。
そしたらバージルが見つけてくれて、わたくしの名前は流星、流れ星だって、わたくしを星の妖精姫なんだって言ってくれたのよ!」
「バージルもそんなロマンチックな事が言えるんですねぇ」
トーマスがニヤリと笑い、面白そうに言う。
(やめろ、やめてくれ・・・)
バージルは恥ずかしくなって、居た堪れない気持ちになった。
「それだけなら、本で読んだ王子様みたいって思っただけだったかもしれないわ。
でもバージルは、そのあと、近くを通ったメイドに、お茶会であった事を説明して、お茶会会場には戻さないほうがいいって話してくれて、私、嬉しかったわ!
誰も守ってくれなかった、優しくしてくれなかったのに、バージルだけは味方になってくれたもの!
だから私の騎士様なのよ!」
「それで、好きだったバージルを探していたと言う事でしたか」
「ええ、でも、中々会えないから、あれは夢だったのかしらって、すごく落ち込んだわ」
「侍女かメイドにでも話していただければ、すぐにお調べできたでしょうに」
「あの時、また会える?って聞いたら、バージルは、きっと会えますって言ったの、だからすぐ会えると思ってたの。
護衛騎士につく事があるかもしれないって待ってたわ」
「配属次第では、顔を合わせない事もありますね。
バージルは入団後、第二騎士団に所属しておりますから、王族の護衛や王宮警備にはつきませんので、これまで会うことがなかったという事でしょうね」
「テオ、これはバージルの出世欲のなさが招いた事だねぇ」
「出世欲ってどういうことかしら?」
「バージルは、剣の才は全ての騎士団の中でも、5本の指に入るくらいに実力があります。
戦略などの策も群を抜いて優秀なのですが、いかんせん、地位や名誉に興味が無いのですよ。
もしそこに少しでも欲を持てば、こいつなら軍師や副騎士団長にはすぐなれますよ。
そうしていれば、ミーティア王女殿下の目のつく所にしばしば居合わせたかもしれませんね」
「そうでしたのね。わたくしあの日から、茶会も夜会も怖くて出てないの。
もうすぐデビュタントがあるのだけれど、人前に出るのはあの日の茶会以来なのよ。
あまりにも人前に出ないものだから、深窓の姫、幻の姫なんて言われて、噂が独り歩きしてるわ」
「確かに、王宮に出入りするものでなければ、王女殿下のお顔を存じ上げないのも納得出来ますね」
「だからバージルは、ミーティア王女殿下がわからなかったというわけだねぇ」
「えっ、俺のせい!?」
「そういう事になるねぇ」
出世をしなかったお前が悪いと言われたバージルだった。
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