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2章 

27話 よし! 帰ろう!!

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 「ふぅぅうう~ご馳走様でした!!」

 黒い炎の魔力を全て平らげ、人間に戻った。

 いやぁ~、この感動はリヴィアサンのお肉を食べた以来だよ!!

 ああ…あのお肉も美味しかったなぁ~また食べたいなぁ~どこにいるのかな~?

 「な、な、な、なんじゃ!? 寒気が止まらんのじゃー!!」

 少し前に、海底の神殿でリュークとあったリヴィアサンは突然の寒気に、恐怖した。


 「ん?」

 何か、黒い炎の魔力を食べたせいか…出来そうな気がする。

 「煉獄」

 と…呟くと、手の平から黒い炎が吹き出し、最初と同じように床いっぱいに黒い炎が溢れた。

 え!? もしかして食べ放題!?

 「頂きます!!」

 すぅ~と、黒い炎を口に含む。

 モギュモギュ…。

 う~ん。

 別に美味しくな~い…。

 ため息を吐き…ここから出ようと魔力を使おうとする。

 「あ、やっぱり使える!」

 黒い炎を、僕の物にしたせいかな? 魔力が使えるようになったし、ここから出ようかな?

 【風魔法】のフライで飛び立とうとすると…。

 「ちょっと!! 待ちなさいよ!! 私をあんな目にあわせておいて、タダで帰れると思ってるの!?」

 あ…エンヴィーさんだ。

 「じゃあ、はい! これあげる!」

 僕は、また、黒い炎に包まれている、エンヴィーさんに向けて、おまんじゅうを丁寧に投げ…綺麗にエンヴィーさんの手の平に落ちた。

 黒い炎の魔力の美味しさに、興奮しちゃってエンヴィーさんを、吹き飛ばしちゃったのは覚えてたからね!!

 あの時は、黒い炎の魔力が最優先だったからね!!

 だから、お詫びの印として、残り少ないおまんじゅうをあげるんだ!!

 「こ、こ、こんなのいらなーーー「食べ物を粗末にしたら怒るよ?」」

 「あ…ごめんなさい」

 あっ…エンヴィーさんが、おまんじゅうを捨てようとしたから、つい強めに魔力をぶつけちゃった。

 「じゃあ、僕はもう行くけど、もう2度と悪いことしたら駄目だからね!! バイバーイ~!」

 【風魔法】フライで上へと飛んだ僕は、小さくなるエンヴィーさんや、他の悪魔さんに手を振りながら…ぐんぐんスピードを上げて、あっという間に、ラストさんがいる浮島まで辿り着いた。

 そこには、涙を流す雌豚メスブタさんと、顔を伏せた、部下の悪魔さん達がいた。

 その、しんみりとした様子に、首を傾げつつも皆の前に着地し…手を大きく上げた。

 「たっだいま~!!」

 あれ? 皆どうしてそんな、驚いているの?

 アハハハハ!! お魚さんみた~い!

 「ご主人様~!!」

 「リューク様!!」

 「うわぁ!?」

 飛び込んできた、雌豚メスブタさんに後ろに押し倒された。

 その後ろから、ぞろぞろと…部下の悪魔さん達が押し寄せてきた。

 「どうした? 皆…僕、行ってくるって言ったでしょ? あの下から美味しそう匂いがして、行ってみたら、スンゴォォイ美味しい魔力が詰まった黒い炎があったんだよ!!
 もう、これがすんごく美味しくて、美味しくて! 止まらなかったんだ!!」

 …あれ?

 何か皆の、僕を見る眼が変わった?

 「はぁ~リューク様…儂等は心配したんじゃよ? 急に煉獄の底に行くなどと…寿命が縮まった気分じゃったわい」

 むぅ…何さ! 皆してため息吐かなくてもいいじゃない!!

 「ハァハァ…スンスン…ご主人様の匂い…ハァハァ……! これは! 乳無し悪魔の匂い!! 大丈夫でしたか!? あの女に変な事はされませんでしか!?」

 「うん? 変なこと? ってそれよりいい加減に離れて!」

 背に地面がついた僕を、雌豚メスブタさんは今にも、涎が垂れてきそうで、両手を前に出し…突き飛ばした。

 「アン!! ご主人様~もっと強く! 今より10倍ぐらい強くお願いします!! ご主人様~!!」

 「もう! しつこいよ!!」

 ハァハァしながら、近づいてくる雌豚メスブタさんを、スライム触手で縛りあげる。

 「ンンッ! この体を締め上げる縄の強さ!! たまりませんわ!! ハァハァ…」

 『うわぁ…』

 ん? 悪魔さん達どうしたのかな?

 まっいっか!

 「よし! じゃあ僕は人間界に帰るけど、皆はどうする?」

 悪魔さん達の中から、セバスンさんが前に立ち…一斉にひざまづいた。

 「儂等36人の悪魔、リューク様についていく事をお許し願えませぬか?」

 『お願いします!!』

 そんなの…決まってるよ!!

 「うん! これから宜しくね!!」

 そう言うと、悪魔さん達は、顔を上げて喜んでくれた。

 「ご主人様~」

 「よし! じゃあ行こうか!!」

 『はい!!』

 「ご主人様!! 待ってワタクシを置いていかないでくださ~い!! ハッ! まさか…放置プレイ? 後で迎えに来てくれるんですね? ハァハァ…。流石ご主人様ですわ!!」

 こうして、僕は36人の良い悪魔さん達を連れて悪魔界から姿を消したのだった…。

 ただ1人を残して…。

 「ハァ~~ン!!」


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 新作執筆中…。お楽しみに!
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