スイセイ桜歌

五月萌

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第4章 ゆいなの歩く世界

14 ビオと月影

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「カナ、柳川さん、来たまえ」
「陛下、お気づきになられたのですか」
「その程度で隠れたなんて言えないよ」

 ローリは部屋の中に入っていった。

「お邪魔します」

 ゆいなは挨拶しながら寝室に入る。

「豪華ですね」

 ゆいなが部屋に入って目に止まったのはガラスケースの中にある甲や鎧や剣だ。遠くに大きなテレビとソファやワインセラーやグラス、綺羅びやかなものでいっぱいの部屋だ。椅子はダイヤモンドなどのような飾りがついてある。絢爛豪華とはまさにこのことだ。

「これってアルバム?」

 ゆいなは敷いてある布団の隙間から小さめな本を出した。

「何してるの? エロ本だったらどうするの?」
「僕がそのようなものを読むか!」

 ローリは頬を紅潮させた。
 ゆいなは本を開くと、藍色の髪の赤ちゃんが若かりしルコに抱かれている写真が目についた。読めない文字が下に書かれている。

「僕の生まれて間もない頃の写真だよ。母上からこの本がネニュファールを渡って僕が回収しようと思っていたのだけれど、忙しくて忘れていたよ。返してくれたまえ」
「もうちょっとだけいいじゃないですか」
「だめだよ」
「もうちょっとだけ、シャチョさん」
「カナ、調子に乗るんじゃないよ」

 ゆいながカナに渡そうとして本を取り逃して、本が開き、一瞬ローリの女装姿の写真が目に飛び込んできた。本はパラパラと開いて太陽や美優や翔斗やアスや美亜やガウカ、そしてローリの集合写真が開いたまま床に鎮座した。

「今、何か見たかい?」
「いえ、素敵な集合写真ですね」

 カナは口早に言うと、ゆいなへアイコンタクトする。

「よく撮れてますね」

 ゆいなは頷きつつ、女装したローリのことはタブーだと気がつく。

「母上にいえば撮ってもらえると思うよ。パース」
 本人は安心した様子でアルバムを箱の中にしまう。ついでに巻物を取り出した。

「そういえば女王はどこに?」
「地下室にいる、ネニュファールとじゃれあっている、君らも彼女たちと遊んでてくれるかい? 僕の追体験したことはもう二人に話したから二人に聞いてくれたまえ、ゆっくり眠るために巻物は閉じさせてもらう」
「陛下も大変ですね」
「わかりました」
「3時間位したら開通させるよ。ウォレ」

 ローリは布団の横に巻物を開いて置くと、バイオリンを出した。

 演奏する曲は言わずもがな、『キイちゃん』だ。
 澄んだ音で一曲を弾き切る。
 ゆいなは余韻に浸る。

「それでは、おやすみ」

 ローリはニコニコ笑いながら、階段になった巻物をさっさと巻き戻したいようで、2人を急かす。

「「おやすみなさいです」」

 2人は階段を降りていった。
 降りきった階段はすぐさま消えた。

「えっと、ネニュファール! ガー様、どこ?」

 カナはあたりを見回す。
 周りは白を基調とした光のある空間だ。

 不意にピアノの音が2人に届いた。

「楽器庫まで行くぞ!」

 駆け足のカナは発破をかけるのでゆいなも走っていく。

ワン!

 向かい側から黒と白の色をした犬が2人に走り寄ってきた。

「シルバーストラ!」
「あ、この子が例の!」

 ゆいなは中型犬くらいの大きさの犬を抱き上げた。

「おっこの曲は、エリック・サティの最後から二番目の思想だね」

 哀愁あふれるその曲にゆいなは唖然とした。素敵な演奏だ。
 誰が弾いてるのか見に行くと、驚くことにネニュファールだった。グランドピアノがまるで鞭打たれる馬のように調教されているかのような音を出す。
 ゆいなは座り、弾き終えるまで待った。
 カナも座り込んだ。
 ピアノの最後を告げる音がなった。

パチパチ!

2人は拍手していた。

「悪いのですが、静かにしてもらませんこと? ようやくガー様が眠ってくれましたの」

 ネニュファールは立ち上がる。奥を見る。
 楽器庫の床に敷かれている木の上でガウカがよだれを垂らしながら眠っている。

「そういえば寝てなかったね、女王」

 カナは苦笑いしていた。

「ネニュファールは寝なくて平気なの?」
「もう十分寝ましたわ」
「怒ってる?」
「はい? わたくしが?」
「むにゃむにゃ、わしはこのわたが食べたいのじゃ、むにゃむにゃ」

 ガウカはよく眠っているようだ。
 ちなみにこのわたとは、ナマコの腸を塩漬けにしたものだ。
 皆がガウカを起こさないようにシルバーストラを連れて更に奥へ移動した。

「それで、陛下の話したことを教えてくれますか?」
「わかりましたわ」

 ローリが話したことをネニュファールは復唱する。

月影のこと
・半月の影の中から半月の影の中に移動すること。
・始め白い小さなダニの月影は血を吸うと、赤い50センチくらいの大きなダニの姿になるということ。
・そのダニに刺された半月は老いていきいずれ死ぬこと。
・太陽の光から逃れるために影に潜んでいること。
・半月の血を吸ったダニの月影は大きくなっていき、ビオの弾くハープの元へ集まっていき、ビオの仲間が背中を掻っ捌いて血液から金貨などを調達すること。
・リコヨーテにそのダニの月影の卵は3個落ちてきたこと。いずれも場所は町に降ってきたため、特定をすることは不可能だが、ビオのハープには反応すること。
・夜の7時頃に最大50個の卵を生むこと。

ビオのこと
・比較的ビオのそばには願い石で使わせているチンピラがいること。
・そのチンピラとリコヨーテで音楽を弾き、願い石で月影を落としたこと。
・リコヨーテの一箇所に仲間が集まっていること。
・ビオは半月でないため自由に動き回れること。

「最後にビオさんは今日の夕暮れ時の5時にはここにいますわ」

 ネニュファールはメイド服のエプロンから紙切れを差し出した。

「どこなの? カナ」
「これは、城の裏側を進んでいきT字路を右に曲がったところですね」
「それじゃあ最後のチャンスになるのね」
「ローリ様にはこの虫が相性が悪いのですわ、頼ることは難しいと言ってましたの。ビオさんを捕まえる事は協力するとは言ってましたの」

ピリリリリ!

 ネニュファールのポケットに入っていた電話がなる。

『はあい、あたしよ』

 どこかで聞いていたかのようにルコが会話に入ってきた。

「皇太后様、いかがなされましたか?」
『ビオに言っておいて、あたしの身体は不老不死なの、残念だったわねって』

バーン!

 何かが近くで爆発した音がした。
 ネニュファールはびくりと首を動かす。

『あと月影1体だから、こっちは任せておきなさい。城の探索チームで見つけるわよ』
『なぜわたくし達の話を傍受できるのですか?』
『それは秘密よ』
『後2時間くらい缶詰状態ですが、何かすることお有りですか?』
「ゆっくり寝ておきなさい」

ブツンッ!

 ルコは言い捨てるように言うと、乱暴に電話を切った。

「寝ておきます?」
「布団もないのに眠れないよ」




2時間後。
「グゥウウウ!」
 カナは大きないびきをかいて眠っているようだ。
 ゆいなとネニュファールも少し寝ていたが、カナのいびきに起こされた。しばらくローリの話をしていた。

「カナ! そろそろ時間だよ」

 ゆいなが揺すっても起きない。起きる気配すらない。
 ローリが階段を作り、仲間とともに降りてきた。オーケストラで楽器を弾いていた皆も一段落ついた様子だ。ゴブリン達は鉱山に行っているのか、いない。

「グゥウウウ!」
「カナさん! でしたら、ハイドン、交響曲94番驚愕、第2楽章で起こしますわ」
「びっくりシンフォニー、わしも手伝うのじゃ、ウォレ」

 ガウカはいつの間にか起きていて、顔のよだれの跡を拭いている。

「なんだかよくわからないけど、演奏するなら僕らも手伝うよ、ウォレ」
「「「ウォレスト」」」

 ローリが作った、オーケストラはあっという間に出来上がる。

「ネニュファールは指揮を頼むよ」
「はい」






バーーン!
 シンバルがなった途端、カナは目を開け、覚醒した様子であたふたと起き上がる。

「あ。あれ、私、寝て、いた? 皆なんで起こしてくれないの!」

「陛下、続けますか?」

 ネムサヤの声に頷いたローリ。



バーーン!
「いや、もう起きてますってば」

 カナは耳をふさぐ。周りに囲まれているのでこの曲から逃れられなかった。
 曲は終りを迎える。
「カナ、眠りこけすぎだよ」
「恥ずかしい起こし方しないでくださいよ。陛下」
「それでは、ビオさんを皆で捕まえに行こうじゃないか」
「オー!」

 ゆいなは1人手を挙げる。周りを見て慌てて下げる。

「「「オー!」」」

 皆が空気を読んでくれたので、ゆいなはホッとした。その後、慌ただしく階段を登ってレンシと合流した。
 レンシは分厚い唇にたるんだ肌、体つきも脂肪だるまだった。

「まず僕が話します、半月ではない人達で捕まえましょうか?」
「ふむ。そうすると戦力外通告じゃな、わしら」
「そういえば先程、太陽君達がリコヨーテに到着したようだよ。僕は本当は嫌だけれど、ダニの月影をあたってみるよ」
「それじゃあ頼んでみます」
「応接間にいるぞ、陛下の大切な友人に失礼のないようにな」
「ありがとう、ドーリー」

 カナが答える。
 ゆいなは横で名前を覚えるのに必死だった。応接間までカナに使用人の名前と特徴を聞きながら、 レンシに案内してもらった。
「半月でない人は村社小春さんとリンドさんとイセリさんとバコタさんとアリアさんとレンシ君とカナと」
「その辺にしときな、頭がパンクするよ」
「うん」
「こちらです」

 レンシが立ち止まる。

「お! レンシさん、柳川さん発見、です! 良かった」

 太陽は名前らしく明るいオーラで包まれている。

「失礼でしょうが! 何よ、発見、ですって」

 隣りにいるのは美亜。翔斗、美優、アイ、アス。

「とっさに言っちゃったんだからいいだろう。そんなんだからモテないんだよ」
「はあ? それとこれとは関係ないよね? 大体あたし、告白されたこと何度もあるわよ」

 美亜は口をとがらせて怒り出す。
 見慣れた風景だ。
「14人もいればビオを捕まえる事ができますよね?」
「うーん、どうだろうね」
「作戦会議しよう」
「まず誰がビオちゃんを脱がすか決めよう」
「言っとくけど、あんたは戦力に含まれていないから。13人の間違いね」

 美亜の刺々しい言葉に皆が震えている。
 かくして、作戦はたてられたのであった。




 そして、5時、15分前に皆は小舟で湖を渡った。
 レンシ、ゆいな、ガウカが対峙するので残りの10人はゆいな達の後を追う。
 公園まで歩いていった。
 ビオはベンチに座っている。

「よくここがわかりましたね?」
「ビオ、俺が悪かったよ、妻のお見舞いに行こうよ」

 レンシが言うとビオはため息がちに言う。

「重篤なんです。母は。はあ。願い石を使って、今健康状態を保っていますが。またいつ倒れられるかもわからないのです、もっと多く願い石を集められれば安泰にこしたことはありません」
「願い石は人の命を使って集めているのだろう? 月影ならいいが、人はだめだ。陛下の願い石も返してもらう」
「もう使い果たしました。あなた達はきっと半月ではないのでしょう? だったら対人間の人達で戦力を削るうっわ」

 ビオが言った途端にビオは宙に浮いていた。
 ドスン!
 レンシの投げ技の体落が決まった。

「今だ」

 太陽達はロープやタオル、手錠を持って出てきた。

ウィリリリリイリリ

 ビオが片手に持った防犯ブザーを鳴らした。

「今です!」

 ビオが目をやる先に大勢のガラの悪そうな青年達が集まって来た。
 レンシが驚いている隙にビオは逃げ出す。足は遅いが距離をどんどんとっていく。
 不良達は高校生くらいだ。

「もしかして魔法音楽学校の人達?」
「そうだとしたらなんなんだ?」
「ここは俺ら城組に任せろ、ビオを追え! ウォレスト」

 リンドは具現化したチェロを上に引き抜いて、剣と盾にした。

「武楽器を使えるのはお前らだけじゃないぞ、ウォレスト」

 相手の1人はバイオリンを出すと、やはり上に引き抜いて剣と盾にする。チンピラは全体で10人くらい居た。

「「「ウォレスト」」」
「「「ウォレスト」」」

 武楽器と武楽器の戦いが起こりそうだった。
 ゆいなを含めた、城で使えていない人達はビオを追うことになった。
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