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運命の始まり
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翌朝、私が起きたのはちょっと遅めの朝だった。
見慣れない布団で迎えた朝はトリップが夢じゃないんだってストンと胸に落ちた。
あれ、いつもの香りがする。
匂いをたどってリビングへ向かうと私のいつもの見慣れた朝食が並んでいた。
「シーザーサラダにエッグベネディクト、ヨーグルトはアロエ入り。これでおーけーだったよな?」
「…悔しいけど、認めてやらなくもないわね。」
「お嬢様ー。顔はにやけていますよー、と。」
それはわかってる。わかってるわよ!
だってアキの手料理よ?
よくよくリビングを見ると、アキが出した料理本や走り書きのレシピメモ、アキとコラボしてる調味料がたくさんある。
さすが料理男子って感じで整頓はされてるわね。
「食わねーなら下げちまうけどー?お嬢様ー?」
「食べる!いただきますぅ!」
ピンポーン。ピンポーン。
「宅急便白犬ウミトですー!」
「んぁ?朝っぱらからだりぃ…。食ってていいからな。」
だるそうに玄関へ向かったアキを見送り朝食に手をつける。
文句なく美味しい。
「でええぇえええええええ!!!??」
「うっさいわね!なによ!」
玄関から少し大袈裟に割れ物注意と書かれた段ボール箱を小脇に抱えて、興奮したようにバタバタと廊下を鳴らしリビングに駆けてきたアキに文句を言ってやった。
「これ!ネコ吉先生から!おま!」
…。なになに?
百瀬秋輔さま・古賀朱音さま宛 ネコ吉より
今日中に私のところに来るか、もう1通の手紙を読んでください。
じゃあ。
「…なにこの人?頭湧いてんの?」
「違うんだよ!このネコ吉先生は有名なシナリオライターで素性が一切わからないゴーストライターなんだよ。」
「へぇ。それでそのゴーストライターさまがなんだってのよ?」
本題はそこ。だってアキ宛ならわかるけど、私にも宛ててあるし、そもそも私が今ここにいるってのは誰も知らないはずだしおかしい。
「けっこー重たいんだ、この段ボール。」
「ふーん怪しいわね…。おかしいもの。きっと誰かのいたずらよ。開けない方がいいんじゃないかしら。」
ふともう一通の封筒が目に入った。
「アキ、こっち、読む?なんかもう一通の方読めって書いてあったし。」
たからのちず
ここをみぎにまがって
そこをみぎにまがったら
つぎをもういっかいみぎ。
たからのしるしがはってあるところ。
「「はあ?」」
「ネコ吉先生のお宝か!?」
「やりましょ、アキ!取り分ははんぶんこでどう?」
「ああ、いいぜ!いくぞ!」
「「はぁ、はぁ、ぜぇ…。」」
「ねぇアキ。」
「OKわかってる。」
「「なんでお隣さん!?」」
あんなに張り切って走って出かけて、
結局見つからずにとぼとぼと帰ってきたら。
アキの部屋のお隣さんにネコ吉って張り紙が…。
「行きはなかったよな?」
「えぇ。見かけなかったわね。私たちを弄ぶなんて…いい趣味してんじゃない。」
苛立ちなのかからかわれている恥ずかしさなのか二人とも顔を赤らめ、お互いを見て、うなずいた。
「「突入!!」」
「待ってたのん。よく来たね、朱音ちゃん。アキくん。」
バタンと勢いよく開いた玄関にクックッと笑いながら立っていたのは、銀髪というより白髪に近い髪を一つにまとめ紫の着物に身を包み背を丸めたおばあさんだった。
「あ、あんたがネコ吉先生なのか?」
アキが目をキラキラとさせ興奮気味におばあさんに尋ねてるけど、私、この人、どっかで見たような気がする。
「そう。ネコ吉と名乗ってもいまする、今はね。」
私を見つめながら嬉しそうに名乗ったおばあさん。
なんだろう…暖かい人…。
「アキくん、朱音ちゃん。私の本名はまた今度ね。朱音ちゃんが帰る時に教えてあげますね。」
「え…!私が帰るって…なんで知ってるの!?私帰れるの!?」
私のことを知ってる、帰れる手がかりを知ってるおばあさんに思わずすがりついて激しく問いただす私にアキがストップをかけるくらい動揺してしまった。
「知ってまする。そのためにあなたたちを呼んだのん。こちらへおいで。」
その人は優しく微笑み、アキと私を部屋の奥に招き入れてくれた。
「お邪魔しまーす…。」
「お邪魔されまーす。ほい、こっち。これこれ。」
そう軽く言って見せてくれたのは小さな植木鉢。
でも花が咲いてないどころか葉っぱ一枚ないただの枝にしか見えない。
「これが世界樹の枝。私があなたたちに託すもの。これに毎晩二人で水をあげてちょうだい。うまくいけばすぐに葉っぱを二枚つけるはずなのん。頑張ってね。」
見慣れない布団で迎えた朝はトリップが夢じゃないんだってストンと胸に落ちた。
あれ、いつもの香りがする。
匂いをたどってリビングへ向かうと私のいつもの見慣れた朝食が並んでいた。
「シーザーサラダにエッグベネディクト、ヨーグルトはアロエ入り。これでおーけーだったよな?」
「…悔しいけど、認めてやらなくもないわね。」
「お嬢様ー。顔はにやけていますよー、と。」
それはわかってる。わかってるわよ!
だってアキの手料理よ?
よくよくリビングを見ると、アキが出した料理本や走り書きのレシピメモ、アキとコラボしてる調味料がたくさんある。
さすが料理男子って感じで整頓はされてるわね。
「食わねーなら下げちまうけどー?お嬢様ー?」
「食べる!いただきますぅ!」
ピンポーン。ピンポーン。
「宅急便白犬ウミトですー!」
「んぁ?朝っぱらからだりぃ…。食ってていいからな。」
だるそうに玄関へ向かったアキを見送り朝食に手をつける。
文句なく美味しい。
「でええぇえええええええ!!!??」
「うっさいわね!なによ!」
玄関から少し大袈裟に割れ物注意と書かれた段ボール箱を小脇に抱えて、興奮したようにバタバタと廊下を鳴らしリビングに駆けてきたアキに文句を言ってやった。
「これ!ネコ吉先生から!おま!」
…。なになに?
百瀬秋輔さま・古賀朱音さま宛 ネコ吉より
今日中に私のところに来るか、もう1通の手紙を読んでください。
じゃあ。
「…なにこの人?頭湧いてんの?」
「違うんだよ!このネコ吉先生は有名なシナリオライターで素性が一切わからないゴーストライターなんだよ。」
「へぇ。それでそのゴーストライターさまがなんだってのよ?」
本題はそこ。だってアキ宛ならわかるけど、私にも宛ててあるし、そもそも私が今ここにいるってのは誰も知らないはずだしおかしい。
「けっこー重たいんだ、この段ボール。」
「ふーん怪しいわね…。おかしいもの。きっと誰かのいたずらよ。開けない方がいいんじゃないかしら。」
ふともう一通の封筒が目に入った。
「アキ、こっち、読む?なんかもう一通の方読めって書いてあったし。」
たからのちず
ここをみぎにまがって
そこをみぎにまがったら
つぎをもういっかいみぎ。
たからのしるしがはってあるところ。
「「はあ?」」
「ネコ吉先生のお宝か!?」
「やりましょ、アキ!取り分ははんぶんこでどう?」
「ああ、いいぜ!いくぞ!」
「「はぁ、はぁ、ぜぇ…。」」
「ねぇアキ。」
「OKわかってる。」
「「なんでお隣さん!?」」
あんなに張り切って走って出かけて、
結局見つからずにとぼとぼと帰ってきたら。
アキの部屋のお隣さんにネコ吉って張り紙が…。
「行きはなかったよな?」
「えぇ。見かけなかったわね。私たちを弄ぶなんて…いい趣味してんじゃない。」
苛立ちなのかからかわれている恥ずかしさなのか二人とも顔を赤らめ、お互いを見て、うなずいた。
「「突入!!」」
「待ってたのん。よく来たね、朱音ちゃん。アキくん。」
バタンと勢いよく開いた玄関にクックッと笑いながら立っていたのは、銀髪というより白髪に近い髪を一つにまとめ紫の着物に身を包み背を丸めたおばあさんだった。
「あ、あんたがネコ吉先生なのか?」
アキが目をキラキラとさせ興奮気味におばあさんに尋ねてるけど、私、この人、どっかで見たような気がする。
「そう。ネコ吉と名乗ってもいまする、今はね。」
私を見つめながら嬉しそうに名乗ったおばあさん。
なんだろう…暖かい人…。
「アキくん、朱音ちゃん。私の本名はまた今度ね。朱音ちゃんが帰る時に教えてあげますね。」
「え…!私が帰るって…なんで知ってるの!?私帰れるの!?」
私のことを知ってる、帰れる手がかりを知ってるおばあさんに思わずすがりついて激しく問いただす私にアキがストップをかけるくらい動揺してしまった。
「知ってまする。そのためにあなたたちを呼んだのん。こちらへおいで。」
その人は優しく微笑み、アキと私を部屋の奥に招き入れてくれた。
「お邪魔しまーす…。」
「お邪魔されまーす。ほい、こっち。これこれ。」
そう軽く言って見せてくれたのは小さな植木鉢。
でも花が咲いてないどころか葉っぱ一枚ないただの枝にしか見えない。
「これが世界樹の枝。私があなたたちに託すもの。これに毎晩二人で水をあげてちょうだい。うまくいけばすぐに葉っぱを二枚つけるはずなのん。頑張ってね。」
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