上 下
357 / 372
13章 平和に向かって

閑話 奇襲してきたアイツ

しおりを挟む
「ぬふふ~」


「機嫌がいいでござるなガランネ」


あたしたちは今鎧のドラゴンを倒して帰っている最中だ、かなりの死闘だと聞いていたがそれほどでもなかった、周りではかなり大きなフルプレートたちが戦っていたし、大きな空飛ぶ船が魔法の玉みたいな物を撃ってて確かにすごい戦いだった。

でもあたしたちにとってはそれほどでもないな、いつもより全然疲れてない。


「そりゃーそうだ、何せラクロナイトからのキスがもらえたんだからな」


「ぬぐ!?」


顔を赤くして馬車を引いてるよ、くくく可愛い奴だな。


「つ、次は負けないでござるよ」


「あたしだって、次も勝ってまた貰うぜ」


ラクロナイトと見つめ合った、こっちの方が恥ずかしいとあたしは思うんだがいつもこうなる、そしてあたしからキスをするんだ。


「それにしても他はまだ戦ってるな」


「そうでござるが、もう少しで終わりでござるよ」


空気を変えるために聞いたんだが、マコッチがこの後何かするようだ、まぁあの女神だからな。


「巻き込まれると拙者たちでもただじゃすまないでござる」


「へぇ~ラクロナイトがそこまで言う事か、それは・・・ん?あれはなんだ」


遠くに黒い鎧を着た奴がこちらに向かってきていた、あれは相当できるな。


「あれは!?ガランネじゃんけんでござる、勝った方が奴と戦うでござるよ」


ラクロナイトが嬉しそうに言ってきた、これは楽しめそうだな。


「「じゃんけん、ポン」」


あたしがパーでラクロナイトがチョキだ、負けたか。


「かぁ~負けか!ラクロナイトがそんなに嬉しそうにする敵なのに」


「ははは、あ奴がまさかこちらに来るとは思わなかったでござるよ、差し詰めデザートでござるな」


すげえ嬉しそうだ、だんだん近くなってきたが確かに強そうだな。


「ふむ黒龍の鎧でござるか、それに黒炎剣を装備してるでござるな」


目の前の敵を見てそう言っているが、あたしの聞いたことがない装備だな、きっとあたしたちがさっき使っていた物と同じくらいの物かもな。


「お、おまえたち、逃がさない」


そう言ったと思ったら間合いを詰めてきていきなり切りかかってきた、あたしたちは何もしなかった馬車の防御魔法で防いだからな。


「おおすげぇバリバリ言ってるな、ラクロナイトどう見る」


「ふむ、そうでござるな、早さは申し分ないでござるが」


確かに早かった、だがスピード系のスキルか武技を使っているのであればそうでもないぞ。


「ぬ、ぬぐぐ~」


「防御魔法を壊せないくらいの奴か?」


「そうでござる、おぬし名はあるでござるかな」


ラクロナイトが聞いているんだが、相手は攻撃の力を緩めないな。


「ダメだな、もういいんじゃないかラクロナイト」


「悲しいでござるな、仕方ないでござる」


そう言ってラクロナイトが武器を取って戦闘態勢だ、相手がすぐに離れたよ。


「し、死ね『ダークソード』」


相手の剣が黒い炎を纏い始めた、あれはかなりの強さだな、そして相手が消えた。


「やはり早いな・・・だが」


「そこでござる!」


「ぐっ」



あたしも見えている、早さはなかなかなんだがラクロナイトの軽めの攻撃をまともに受けたな、なんだその程度か。


「お、お前、ただ者じゃ、な、ないな」


「まだまだ始まったばかりでござるよ、はぁっ!」


今度はラクロナイトからだ、連続で切り付けているがほとんど当たっている、相手も頑張ってるんだがな。


「どうしたでござるか!その程度でこざるか」


「ぐっ・・・ど、どうして燃えない」


ふらふらになりながらそう言ってきた、そうかあの炎はそう言った物なんだな。


「それは当たり前でござる、この剣は光龍剣、主君が作った鉱石で作った最強の剣でござる」


そう言えばラクロナイトが嬉しそうに言ってたな、なんでもオリハルコンの上アダマンタイトの鉱石を更にすごくした物だとか言ってた、そんなのどうやって作ったんだろうなマコッチは。


「ぐっそ、それなら『黒炎爆雷剣』」


あたしには変わった風に見えなかったがラクロナイトが剣で受けたらそこから爆発したぞ。


「ラクロナイト!」


あたしは心配になった、あれはさっきのドラゴンたちの攻撃を遥かに超えている、何度も受けたらさすがにまずいからな。


「ど、どうだ、き、効いただろ」


煙の中から相手だけが飛んできた、ラクロナイトが心配だな。


「つ、次は、お、お前だ」


そう言ってあたしに剣を構えてきた、だがまだ早いぞ。


「おいおい、あたしのラクロナイトがあれくらいでくたばるわけないだろ、確かにすごい攻撃だったけど、それだけだ」


そう言って煙の方に顔を向けた、相手もそっちを見直し驚いている風だったぞ。


「なかなかの攻撃でござった、しかし拙者にはそれほどでござる」


「し、信じられない」


そう言って少し後ろに下がったな、もう打ち止めか?


「そろそろ主君の攻撃があるでござる、もう手がないなら拙者から行くでござるよ?」


「くっま『魔力暴走』『狂乱』」


あたしは相手のスキルを聞いて驚いた、あれは。


「死ぬ気か!?ラクロナイト気を付けろ!」


「暴走系のスキルでござるか」


「グ、グルルルゥ~」


それからは更に早く、そして力強い攻撃が繰り出された、ラクロナイトはそれを受けながら何やら考えてる様子だったな。


「そこまでしてその程度でござるか」


「グ、グギュルゥ~」


「やはり拙者たちと違うでござるな、そなたの主はそんな姿を望んでいるでござるか?」


何やら相手に言ってるな、良く聞こえないがとても悲しそうな顔をしてとどめを刺していたよ。


「お疲れラクロナイト」


「終わったでござるよ、さぁ帰るでござる」


戦った後なのにすごく暗い、こんなラクロナイト始めて見たな。


「どうしてそんな顔してるか分からないけどさ、元気出せよ」


馬車を引こうとしてるラクロナイトに後ろから抱き着いてそう言ってやった、何だか心配なんだ。


「ありがとうでござるガランネ・・・そうでござるな、悩んでいてもしょうがない事でござる」


「そうだぜ、早く帰ってラネアノスを抱きしめたい」


あたしたちみたいに戦い好きに育つと良いんだが、何せあたしたちの子供だからな。


「ガランネ」


「ん?なんだラクロナイト」


「愛してるでござるよ」



そう言って抱きしめているあたしにキスをしてきた、ほんとに珍しい事をしてくるな、あの敵に何か思うところがあったんだな。


「あたしもさ、さぁ帰ろうぜ」


「了解でござる、飛ばすでござるよ」


こうしてあたしたちは戦場から離脱した、その少し後になるんだが、空から降ってきた攻撃はすごかったな、かなり遠くだったのに光の柱みたいだったよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】彼女を妃にした理由

つくも茄子
恋愛
ファブラ王国の若き王が結婚する。 相手はカルーニャ王国のエルビラ王女。 そのエルビラ王女(王妃)付きの侍女「ニラ」は、実は王女の異母姉。本当の名前は「ペトロニラ」。庶子の王女でありながら母親の出自が低いこと、またペトロニラの容貌が他の姉妹に比べて劣っていたことで自国では蔑ろにされてきた。今回も何らかの意図があって異母妹に侍女として付き従ってきていた。 王妃付きの侍女長が彼女に告げる。 「幼い王女様に代わって、王の夜伽をせよ」と。 拒むことは許されない。 かくして「ニラ」は、ファブラ王国で王の夜伽をすることとなった。

single tear drop

ななもりあや
BL
兄だと信じていたひとに裏切られた未知。 それから3年後。 たった一人で息子の一太を育てている未知は、ある日、ヤクザの卯月遥琉と出会う。 素敵な表紙絵は絵師の佐藤さとさ様に描いていただきました。 一度はチャレンジしたかったBL大賞に思いきって挑戦してみようと思います。 よろしくお願いします

[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。 果たして恋人とはどうなるのか? 主人公 佐藤雪…高校2年生  攻め1 西山慎二…高校2年生 攻め2 七瀬亮…高校2年生 攻め3 西山健斗…中学2年生 初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!

愛された事のない男は異世界で溺愛される~嫌われからの愛され生活は想像以上に激甘でした~

宮沢ましゅまろ
BL
異世界ミスリルメイズ。 魔物とヒトの戦いが激化して、300年。 この世界では、無理矢理に召喚された異世界人が、まるで使い捨てのように駒として使われている。 30歳になる、御厨斗真(トーマ)は、22歳の頃に異世界へと召喚されたものの、異世界人が有する特殊な力がとても弱かった事。色々あり、ローレンス辺境伯の召使として他の異世界人たちと共に召し抱えられてることになったトーマは時間をかけてゆっくりと異世界に馴染んでいった。 しかし、ローレンスが寿命で亡くなったことで、長年トーマを狙っていた孫のリードから危害を加えられ、リードから逃げる事を決意。リードの妻の助けもあって、皆で逃げ出すことに成功する。 トーマの唯一の望みは「一度で良いから誰かの一番になってみたい」という事。 天涯孤独であり、過去の恋人にも騙されていただけで本当の愛を知らないトーマにとっては、その愛がたとえ一瞬の過ぎたる望みだったとしても、どうしても欲しかった。 「お前みたいな地味な男、抱けるわけがないだろう」 逃げだした先。初対面でそう言い切った美丈夫は、トーマの容姿をそう落とした。 好きになれるわけがない相手――本当ならそう思ってもおかしくないのに。 トーマはその美丈夫を愛しく思った。 どこかやさぐれた雰囲気の美丈夫の名前は、フリードリヒという。 この出会いが、誰にも愛されなかったトーマの人生を変える事になるとは、この時はまだ知らなかった。 辺境の国の王太子×内気平凡異世界人 ※二章から二人の恋愛に入ります。一章最後当て馬(?)がちらりと出るあたりでちょっとムカつくかもしれませんので、気になる方は二章始まるまで待機をお勧めします。◆平日は1回更新、休日は2回更新を目指しています。 イラスト:モルト様

完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!

音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。 頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。 都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。 「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」 断末魔に涙した彼女は……

巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛
ファンタジー
 主人公である鳳(おおとり) ユウマは、いつもと違う帰宅コースを通り帰宅中に従姉妹達が交通事故に会いそうになるところに遭遇、奇跡的に助けることに成功した。  それと同時ぐらいに何か普通では考えられない事がおきて、その子達と共に見知らぬ部屋の中にいた。そこはどうやら神の部屋らしくそこで重大な話を聞きユウマ以外は確実的に異世界へ転移する事になる。  しかしユウマ自身は、この場所に巻き込まれてやったて来ていたので、元の場所に戻る事もできたが、知り合いの子達を見捨てる事ができず共に異世界に行く事にしたのだ。  そして、ユウマに関わった人や生物?の運命を変えることになり、そして自重を知らない転移者達は、周りを巻き込みハチャメチャな事を行うことになっていくのであった。

邪悪な魔術師の成れの果て

きりか
BL
邪悪な魔術師を倒し、歓喜に打ち震える人々のなか、サシャの足元には戦地に似つかわしくない赤子が…。その赤子は、倒したハズの魔術師と同じ瞳。邪悪な魔術師(攻)と、育ての親となったサシャ(受)のお話。 すみません!エチシーンが苦手で逃げてしまいました。 それでもよかったら、お暇つぶしに読んでくださいませ。

悩ましき騎士団長のひとりごと

きりか
BL
アシュリー王国、最強と云われる騎士団長イザーク・ケリーが、文官リュカを伴侶として得て、幸せな日々を過ごしていた。ある日、仕事の為に、騎士団に詰めることとなったリュカ。最愛の傍に居たいがため、団長の仮眠室で、副団長アルマン・マルーンを相手に飲み比べを始め…。 ヤマもタニもない、単に、イザークがやたらとアルマンに絡んで、最後は、リュカに怒られるだけの話しです。 『悩める文官のひとりごと』の攻視点です。 ムーンライト様にも掲載しております。 よろしくお願いします。

処理中です...