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13章 平和に向かって

257話 ケイト君帰還

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「さてお別れはすんでいるかしらケイト君」


とうとう勇者君の帰還の日です、ほんとはもっと早く出来たんだけど、どうしても最後の一手を考えてしまって出来なかったの、でもそれもやっと終わり明日にはそれをしてくるわ。


「はい学園の友達には帰ることを伝えました」


少し寂しそうね、可哀そうなことをしてしまったかも、何かしてあげたいわね。


「でもほんとに平気なんですか?皆さんに迷惑は掛からないのでしょうか」


「それは平気よ、ちゃんと聖女様には話を付けているの、もし何か言ってきてもしっかりと対処するわ」


あの大会の援助とか国の繁栄とか色々してあげたから話は付けてあるの、髭モジャの大臣はかなり嫌な顔してたけど、聖女様の召喚が必要ないって説明して何とか納得してくれたわ。

もし何かしてきても私がそれを許さないわよ。


「そうですか・・・じゃあチュー助、チュン太僕の肩から降りて」


ケイト君がそう言ったら二匹が渋々私の所に来ました、これはお別れを言わせてあげたいわね。


「ケイト君この指輪を着けてくれる」


即席で作りました、これで二人の言葉が分かるはずよ。


「何ですかこれ?」


「俺っちの言葉が分かるかいケイト」


チュー助が話していますね、私には念話以外はチュウチュウ言ってるだけに聞こえますね・・・私も着けよ。


「チュー助!?」


「お!?解ったチュね、マコッチ様ありがとうございまチュ」


チュー助が私に礼をしました、チュン太も話してあげなさい。


「良かった、最後にお別れが言えそうだわ、ケイト向こうでもしっかりやるのよ、泣いてばかりじゃダメだからね」


「チュン太・・・うんありがと」


ケイト君の眼から涙がこぼれてるよ、きっと学園の友達の時も泣いたんだろうね、ほんとにごめんね、私がもっと早く帰すことが出来ればこんな別れをしなくて済んだのに、ほんとにごめんね。


「じゃあお別れチュが、最後に言っておくチュよケイト」


チュー助が何か言いたい事があるのね。


「チュン太は雌だチュ、だからチュン子とかにしてやれチュ」


「ぶっ!?」


ああそれね、確かにそうなんだけど、話が出来ないんだからしょうがないわよ。


「そ、そうだったんだね、チュン太ごめんね」


「いいのよ、これからはチュン子って呼んでね」


1人と2匹が楽しそうに話してるわ、そうねちょっと試してみようかしら、これが成功すればケイト君の為にもなるわ。


「じゃあスキルを使うけど、このネックレスと鞄、それと指輪とイヤリングを身に着けてくれるかしら」


出来得る限りの付与を付けた指輪とイヤリング、それとマジックバッグを持たせました、これは向こうでも有効かどうかの実験ね、そしてそれがダメでも最悪ネックレスが有効ならそれでいいわ。


「こんなに、色々ありがとうございました」


「いいのよ鞄の中にはケイイチさんの手紙もあるからちゃんと渡してね、じゃあ向こうでもしっかり、スキル使用『帰還』」


スキルを使うとケイト君が光に包まれて消えていきました。


「行ったわね、じゃあ二人ともこれを着けて」


私はケイト君が着けたネックレスと同じ物をチュー助とチュン子に渡しました、これで帰還が通じれば成功したって事よね。


「じゃあ行くわよスキル使用『帰還』」


そう言ったら2匹が光に包まれ消えていきました。


「やったわ!?元の姿って設定だったから無理かもとか思ったけど出来たわね、これでケイト君は安心だわ向こうで仲良くしてあげてね」


DPを見たら2兆消費してましたよ、でも成功して良かったわ、ケイト君は元の世界に帰せたけど、無事帰ったかは今の私には知る由もないです、まぁもう少しで分かるけどね。



《そして帰還した啓斗は》



「うぅ・・・ここは」


僕が気づくと見たことのある道に立っていました。


「ここは!?ほんとに帰って来たんだ」


僕は急いで家に帰りました、早く会いたいんだ。


「お母さん!」


家のドアを開けて中に入るとエプロンを着けて掃除をしているお母さんがいました、ほんとにお母さんだ。


「どうしたの啓斗?」


「お母さん!!」


僕は勢いよく飛びつきました、お母さんはどうしたのかと思っただろうね、でも僕にとってはすごく久しぶりでほんとはもう二度と会えなかったんだよ。


「どうしたの啓斗、学校に行ったんでしょ」


「そうなんだけど、凄くお母さんに会いたかったんだよ」


「そうなの?ふふふ甘えん坊ね」


そう言って頭を撫でてくれました、あぁほんとに帰って来たんだね。


「あら!?啓斗これはどうしたの?」


僕の耳にイヤリングが付いていたからお母さんが聞いてきました、言っても信じてくれるか分からないけど、言うしかないよね。


「あのね、僕すごい冒険をしてきたんだ、信じて貰えるか分からないけど聞いてくれる?」


お母さんはすごい困った顔をしていたけど、リビングに移動して僕の話を聞いてくれたよ。


「信じられないけど、このイヤリングがあるものね、啓斗は悪い子じゃないから何処からか取ってきたって事もないだろうし」


凄く悩んでるよ、僕も逆の立場だったら悩んじゃうよね、でも指輪やイヤリングは分からないかもだけど、この魔法の鞄は違うよ。


「じゃあこの鞄の中の物を・・・ちょっと待って!?やっぱりやめた」


僕は手紙を出そうと鞄の中に手を入れてビックリして咄嗟に止めたんだ、だって中にはこっちにないエリクサーやクリスタル、それに宝石とか金塊が頭に浮かんだんだよ、出したら大変な物だって僕でも分かるよ、こんなの出せないよマコッチさん!


「どうしたの啓斗!?きゃあぁーネズミー!!」


僕が冷汗をかいているとお母さんが悲鳴をあげました、僕の肩にネズミとスズメがいつの間にかいたんですよ。


「ケイト俺っちの言葉が分かるチュ?」


「う、うん分かるよ、この指輪の効果こっちでもあるんだね、でもどうして二人がいるの?」


お母さんが気絶しちゃったよ、今のうちに聞いておかないとね。


「マコッチ様が私たちをあなたの所に送ったの、一緒にいてあげてってね、だから今後も一緒よ」


「そうなんだ、嬉しいよ」


今後も2人と一緒なんだね凄く嬉しいよ、お母さんはチュー助が苦手みたいだけど、こんなに可愛いしちゃんと話せば分かってくれるよね。


「それにしても俺っちを見て気絶チュか、何とか話をしておいてチュねケイト」


「うん、分かってるよ・・・でもダメだったら隠れてね」


「ふふふ、そうなったら仕方ないわね、じゃあマコッチ様に報告をするわね」


チュン子がそう言ってきたよ、連絡が取れるの!?っとか思ったけど、戻せないって言われた僕を戻してくれた人だもんね、きっとこれが普通なんだよね。


「それとケイト、鞄の中身は気を付けて扱うチュ、下手をしたら大変チュ」


「うんそれは分かってるよチュー助・・・これからもよろしくね二人とも」


こうして鞄の中身は話さないまま目を覚ましたお母さんに手紙を渡してなんとか分かってもらいました、異世界に行っていたって事は何となく信じてくれたみたいです、鞄の中身は僕が大人になるまでそのままかもですね。
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