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12章最終決戦

閑話 勇者君引き取り

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「では我が国の勇者様をよろしくお願いします、テンサル殿」


「はいお任せください、私が責任をもってお世話をいたしますよ」


私テンサル、今セルフィルデイルの使者さまから勇者様を預かりました、もちろん国王様にも会っていただきましたよ、その際に私が預かることになったのです。


どうしてそうなったかと言いますと、師匠が国王様に進言したそうでそれが通りました。


「まったく師匠には困ったものです、事前に教えてほしかったですよ、心臓に悪いです」


セルフィルデイルの人たちが国王様に謁見中に、私に振って来るものだからみんなの注目が集まってしまったんです。


「ここが我が屋敷ですよ勇者様」


馬車で移動中に愚痴を言っていましたが勇者様は聞こえてないようでした、外の世界がとても珍しいようでずっと窓を眺めていましたね。


「広いお屋敷ですね、さすがこの国の参謀様です」


「参謀様なんてよしてください勇者様」


「じゃあ僕の事も勇者様はやめてください、僕はただ召喚されただけなんですから、力だってないんです」


すごく真剣に言ってきました、何か訳があるのでしょうねあの必死な感じは。


「分かりました、ではケイト殿とお呼びします」


「ありがとうございますテンサルさん、それで僕はここから学園に行くんですよね?」


「そうですね、馬車を使いますがそうなります、時間は20分位でしょうか」


そう言っておきました、馬車の移動は絶対ですからね、貴族なら当然です。


「そうなんですね、それとお話があるんです後でお時間をいただけますか?」


「良いですよ、では部屋に行きましょうか」


聞かれたくない話でしょうか?きっとそうですねあの顔は。


「ここが僕の部屋ですか、ほんとに広いですね」


「貴族としては狭い方ですよ、上級貴族のお子様はこの倍くらいあってもおかしくないんです、それでお話しというのは?」


私は紅茶を入れながら聞きました、まぁ予測は付いています、きっと師匠の話ですよ。


「まずですね、この子たちをこの部屋に置いてほしいんです」


ケイト殿がそう言って鞄からラットと鳥を出してきました。


「チュチュ」


「チュンチュン」


ラットと鳥が片方の手を挙げています、鳥は羽ですが・・・まぁ挨拶ですね。


「僕の友達なんです、お願いします」


「良いですよそれ位、他には?」


「マコッチという人を知っていますか?」


本題が来ましたね、ですが私との関係は知らないのですね。


「ええ知っていますよ、私の恩人でもあります」


「そ、そうなんですか・・・それでその人はどんな人ですか?」


「すごい方ですよ、優しくて博識です」


師匠はほんとにすごい人です、いつの間にか国王様の信頼も勝ち取っていましたし、この国の村がモンスターに襲われなくなったのも師匠が手をまわしてくれたからです。


「その人を信じていいんでしょうか?」


「もちろんです、ケイト殿が何を話したのかは知りませんが、あの方は信頼できますよ」


私はケイト殿の眼をじっと見て言いました、ほんとの事です、あの方がいなければこの国はここまで繁栄しなかったでしょう。


「そうなんですね、良かった・・・じゃあ僕も頑張らないと」


「そうですよ、明後日には学園に入学です、しっかり勉強しましょう」


「はい・・・でもその前に少しだけ」


ケイト殿が無限収納からリバーシとショウギ、それとトランプを出しました、遊ぶ気ですね。


「ダメですよケイト殿、まずはお勉強からです」


「少しだけ、お願いします」


潤んだ目で言ってきました、これは!?


「し、仕方ないですね、では私が相手です」


ケイト殿の眼はかなり危険です、あの目でお願いされたら抱きしめたくなります、私にはその気はないんですよ、そのはずです。


「えー僕が大人に勝てるわけないよぉ」


「いいじゃないですか、ではリバーシから」


こうして私は無理やりリバーシを始めました、ケイト殿の肩にラットと鳥が乗っていますが、それがまた可愛いです。


「そ、そんなバカな!?」


しばらくして私は負けました、信じられないです。


「手加減しなくても良いんですよテンサルさん、僕が弱いのは知ってるんですから、ねぇチュー助」


「チュッチュッチュ」


ラットと話をしています、それに自分が弱いと勘違いをしていますね、これでも私はリバーシは得意なんですよ。


「ちなみにケイト殿、いつもは誰とリバーシをやっているのですか?」


「え、それはチュー助とチュン太だよ、ね」


「チュチュー」


「チュン」


ラットと鳥が胸を張って頷いています、そうなんですか。


「信じられませんが、これは逸材ですね・・・ケイト殿魔法盤をしましょう、私が教えます」


ケイト殿はきっと戦うよりもこっちの方が合う気がします、もしかしたら師匠はそれを見越して私に預けたのかもしれません。


「えー!僕こっちの方が好きなんですけど」


「そう言わずやりましょう、これは学園でもやるので勉強にもなります、さぁやりましょう」


強引に始めました、最初は良く解っていませんでしたが、やはり見どころがあります、これはきっと良い参謀になりますよ。
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