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12章最終決戦

242話 魔王の愚痴

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「やはりあのダンジョンにジュンという愚か者がいるな」


余は城に戻り、ゴブリンが持ってきた手紙を読んでみた、気になって残しておいて良かったが失態だ。

ダンジョンマスターが思考を持っているなど聞いたことはなかったが、あの鎧の者を見ればいるのだろう、後手に回ってしまったが見ていろよ。


「いかがいたしますかミルドラスゴーン様」


「そうだなアーロス」


あのダンジョンを使い西の戦力を割いたが、最後の黒い鎧の者が来たと言う事は、西の魔族たちはダンジョンマスターに痛手を与えてないと言う事だろう、あの戦力で打撃を与えられないとなると。


「お前とギャンタス、それとファンファンの3部隊でダンジョンの入り口に向かえ、そして情報伝達部隊を侵入させるのだ」


「はっ畏まりました」


ファンファンの情報伝達隊ならば少しは情報が来るだろう、それまでは突入してはダメだ、あの軍勢でもダメだったのだからな。


「ダンジョンはコアを破壊するかマスターであるモンスターを討伐すれば崩壊する、だが最下層にいるのだ」


それを考えれば討伐は難しい、だが余の悲願を無にしたのだゆるさんぞ、絶対にな。


「相手の弱点を見つけだし必ず討伐してくれるわ!」


「まおうしゃま」


余が怒りながら作戦を考案していると、四天王の最後の1人であるペルテが部屋に入ってきた。


「どうしたペルテ、余は今忙しい手短に話せ」


「あい、ちょじょうがきまちた」


ペルテが手紙を余に向けながら言ってきた、ちょじょう?書状か?


「ふむ、誰からだ」


「あい、ひがしのまおうからでちゅ」


「なに!?」


ベルズからだと!?


「それを早く言え・・・なるほどダンジョンに入るなと言うんだな、しかも相手の作戦か」


「どうちまちゅ」


やはり何かあるのだろう、だがそいつは余の怒りを買った、息の根を止めねば収まらん。


「やることは変わらない、ベルズには承知したと送っておけ」


「あいでちゅ」


チビデーモンのペルテが飛んで行った、さてどうしたものか。


「ベルズの情報だ無視はできんが、ダンジョンマスターを倒すにはダンジョンに入らんといかん、これは絶対だ」


どんなに被害を受けても必ず倒してくれる、余の悲願を邪魔したのだなんとしても撃ち滅ぼす。


《それから2週間後》


「ふむ、300階以上のダンジョンか難解だな」


それも何処まで下があるかわからん、これは相当に準備が必要だ。


「た、大変です魔王様!」


「ん?どうしたファンファン今お前の部下からの報告書を」


「ダンジョン入り口で待機中の部隊が謎のモンスターたちに襲撃されました」


謎のモンスターだと!?


「分かった今から援軍を送る、それまで持ちこたえろ」


「そ、それが突然背後からの攻撃だったため、ほとんどの兵士がやられ、残った者もダンジョンに連れて行かれました、残ったのは我々四天王とその直轄部隊だけです」


「な!?」


信じられん、余の部隊の主力100万を送っていたのだぞ、それがほんの数時間で全滅だと。


「相手はゴーレムやリザードマンが主体でその数は莫大です」


「莫大とはどういうことだ、しっかりと数を言え」


「そ、それが見える範囲の陸地全てに敵モンスターがいたのです魔王様」


それほどの戦力か、これはまずい、まずいぞ。


「至急残った者で守りを固めろ、こちらを攻めて来るぞ」


「はっ」


ファンファンが急ぎ城の守りに入った、他の四天王もだが、それほどの戦力が相手だ、残った100万の兵でどれだけ持ちこたえられるか。


「どうして攻めてこない、相手は何を考えているんだ」


それから2週間が経った、なのに相手からの攻撃が無い、一体どうなっているんだ。


「まあいい助かった、あと少しで」


「まおうしゃま!ひがしからえんぐんがきまちた」


おお!間に合ったな、余は城の守りを固めた際にベルズに救援要請を送ったのだ、ベルズはあまり考えないで救援を送ってくれると思ったからな、あいつはそう言うやつだ。


「直ぐに城に入れろ、作戦会議を開き進軍する」


「あい」


くそ、どうしてこうなった、こうなったらベルズの部隊を使い必ず報復してくれるわ。


「やぁ君がミルドラスゴーンだね」


「な!?ベルズ・ドイ・バレントルドどうしてここに」


まさか魔王自ら援軍に来るとは、いったいなぜだ!


「何故って君がまた攻め込むと思ったからさ、我じゃないと意見出来ないだろ?」


「ぐっ」


そう言う魂胆か、自分の部隊を使われることを阻止したと、こんなに頭が回る奴だったか?


「さて分かった所で、どうだろうかここは中間を狙うというのは」


「中間?」


「そうだ、攻めるでもなく守るでもない、あのダンジョンの範囲を固めるのだ」


何を言ってるのだこいつは、それをして余の部隊は全滅しかかったのだぞ。


「そんなこと」


「出来るのだよ、ダンジョンの入り口から3キロ地点ならな」


3キロ地点、確かに余の部隊はダンジョンの入り口付近で待機していた、だがどうしてそんな事を知っている。


「ははは、不思議そうだな、だが調査隊を持っているのはそなただけではないとだけ言っておくぞ」


「なるほど、最初にくれた情報もそれでか・・・分かったベルズの作戦を取ることにしよう、それでそこに陣でも構えるのか?」


「ああそうなるな、だが部分的にではなく壁を築き3キロ地点すべてを囲む」


なんだと!?そんな事向こうが黙って見ているはずがないぞ。


「かなりの戦になるな」


「そうだな、その為の我の部隊なのだよ、物資も十分用意した」


くっいつの間に、このタイミングで援軍に来てくれたことは喜ばしい事だったが、もしあの後で余がベルズに攻め込んでいたら、果たして勝てただろうか、読みの深さが尋常ではない。


「よし、では早速向かうぞ」


「ああ、だがその前に報酬の話だ」


「へ!?」


余は変な声を出してしまった、これから起こるであろう死闘を前に報酬の話し合いとは、この男どこまでを読んでいるのだ。
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